蛍光・化学発光タンパク質を応用した解析技術
単一分子も検出できる!高輝度・マルチカラー ナノランタン
永井 健治(大阪大学 産業科学研究所)
背景
蛍光・化学発光を標識とした光計測技術は、基礎研究、医療、産業応用、と幅広く利用されている。ただしその輝度や安定性、汎用性などにおいては依然解決すべき課題がある。我々は従来の蛍光・化学発光タンパク質を改良し組み合わせることで、課題の解決へと繋がるツール・手法を開発し、各種イメージング・計測技術への応用、さらには商品開発へと展開している。
高輝度化学発光タンパク質


蛍光タンパク質と化学発光タンパク質を組み合わせることで、高輝度化学発光タンパク質“e-ナノランタン”を開発した。
細胞から動物個体まで、化学発光による広範囲な観察を可能にした。
輝度の弱さから制限があった化学発光の用途可能性が拡がった。
化学発光観察システムの開発


化学発光を用いた観察におけるニーズ (長時間観察、薬液投下、光刺激との併用) に応える顕微鏡システムを新規開発し、市販化を予定している。
化学発光指示薬とスマートフォンカメラを組み合わせる事で、画像撮影による血中成分計測およびオンサイト診断が実施可能となる。
光る植物の作出

e-ナノランタン遺伝子を導入した発光植物の作出に成功した。
植物内分子動態の可視化や、発光植物を活用したインテリアデザインなど幅広い活用が期待される。
蛍光超解像イメージング法の開発


独自開発の光スイッチング蛍光タンパク質と偏光回転照明を用いた蛍光顕微鏡による超解像イメージング技術(SPoD-OnSPAN)を確立した。
光毒性が少なく細胞に優しい超解像イメージング観察を実現した。
ライセンス可能な特許
発明の名称:生体試料を生存状態で観察する顕微鏡および方法
国際公開番号:WO2017/164332(移行国:日本、米国、欧州)
登録番号:特許第6764469号(703KB)、米国11268906(1.10MB)
- 【その他大阪大学出願】
- 1. 発明の名称:生体物質の検出方法,それに用いる化学発光指示薬
国際公開番号: WO2018/139614(出願済:日本、米国、欧州) - 2. 発明の名称:蛍光タンパク質
国際公開番号: WO2017/155101(出願済:日本、米国) - 3. 発明の名称:蛍光蛋白質
国際公開番号:WO2015/037674(登録済:日本、米国、ドイツ)
その他情報
- ・さきがけ “ナノサイズ高輝度バイオ光源の開発と生命機能計測への応用” (2008-2014)
- ・先端計測(要素技術開発) “マルチモーダル発光イメージングシステムの開発” (2013-2017)
- ・CREST “超解像「生理機能」イメージング法の開発と細胞状態解析への応用” (2015-)
- ・先端計測(先端機器開発) ”オールインワン化学発光顕微鏡システムの開発” (2016-)
- ・START “化学発光タンパク質を利用したイルミネーション技術の開発” (2018-2019)