応力や粘度に応答する光機能分子 『FLAP』
~その特性と応用~
齊籐 尚平(京都大学 理学研究科)
発明のポイント
FLAP : 中心の柔軟な共役系環状構造と、中心から延びる剛直な両翼骨格をもつV字型分子
(Flexible Aromatic Photofunctional molecules)
FLAPの性質 : 粘度、応力、光などの刺激や環境変化

分子の羽ばたき運動で感知

V字型から平面型に構造変化

S. Saito* et al. J. Am. Chem. Soc., 2013, 135, 8842; Nature Commun., 2016, 7, 12094.


発明の概要、従来技術との比較・優位性、想定される用途
応用例1: 粘度プローブ
微小粘度変化のモニタリング用蛍光プローブ

不均一媒体のムラ、局所硬さ分布、相転移を可視化・定量できる。
(従来技術)
主として高粘度域のみ測定可
低粘度域(0.1–100cP (mPa・s))で測定可。LED照射でその場解析。
(想定される用途)
- ・ 粘度の分布、過程、変化等の可視化
- -不均一媒体等の局所粘度(ムラ)
- -接着材料の硬化過程
- -液晶やゲルの相転移過程
- ・ 高分子等の材料のナノレベル評価
- -材料の分子レベルの硬さや自由体積
応用例2: 応力プローブ
微小応力変化のモニタリング用蛍光プローブ

高分子材料中で1MPa未満の応力、不均一分布を可逆に可視化できる。
(従来技術)
ナノスケールの応力集中測定が困難
応力変形したポリマー中の、直線状に伸びた分子の比率を測定可能。
(想定される用途)
- ・ 高分子材料にかかる応力、圧力の可視化
- -フィルムにかかる圧力分布
- -材料破壊時の応力伝達、追跡
- -細胞培養ゲルなどにかかる応力の評価
- ・ 材料破壊前の微小応力を察知するセンサー
- ・ 高分子材料の応力分散用設計指針提示
応用例3: 光応答性材料
光照射により可逆な接着・変形可能な材料

融解と固化を制御できる接着材料、ゲル材料の開発の可能性がある。
(従来技術)
刺激応答性架橋高分子は未だ無し
集積した分子同士を、光照射のON/OFFにより可逆的に分離可能。
(想定される用途)
- ・ 光照射による各種物性制御可能な材料
- -接着性/除去性制御
- -硬さの自在制御
- -包含する分子、薬剤等の放出制御
- -流動性制御
ライセンス可能な特許
発明の名称:化合物及び該化合物を含む高分子化合物
国際公開番号:WO2019/172200
登録番号:特許第7387175号(8.51MB)、米国11560383(2.98MB)