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ナノワイヤ酸素センサ
~加熱不要の高速酸素センサ~

真島 豊(東京工業大学)

発明のポイント

  • ・従来の酸素ガスセンサのようにセンサ素子部分を加熱する必要がない
  • ・NOx排出の低い高負荷燃焼の制御に向いた高速な燃焼センサである
  • ・超小型(数ミリ角)である

発明の概要

酸化物半導体層(CeO2)の上に形成した幅10nm程度のPtナノワイヤに定電圧源を接続、または定電流源を接続し、酸化物半導体表面の酸素の分圧に応じた電流変化または電圧変化を測定する。

従来達成困難だった10秒@350℃の高速応答、5秒@350℃の高速回復を確認した。

従来技術との比較・優位性

既存の酸素センサの応答時間はヒーター加熱下で10秒~数十秒。産業界が期待する応答性に達していない。

概要 備考
固体電解質型
PDF資料
貴金属電極の触媒活性により一方の電極で酸素分子をイオン化し他方の電極で酸素イオンを酸素分子に戻す。電解質中の酸素イオン電導は両極の酸素分圧の差に依存し、これを電極間の起電力として取り出し酸素濃度に換算する。
車やボイラ等の燃焼制御用センサとして広く普及している。
応答時間:10秒程度

ただし、外部ヒータで電解質を600-900℃に維持する必要がある。
酸化物半導体型
特開2003-149189
表面の酸素濃度が変化すると酸化物半導体内の酸素空孔濃度が変化する。酸化半導体の抵抗率(電気伝導度)は酸素空孔濃度と1対1の対応関係があるため、酸化物半導体の抵抗を測定し、測定対象の酸素濃度に換算する。
応答時間:数十秒~数百秒
酸素濃度が変化した時の応答性に劣るため、現在のところ酸素センサの主流になっていない。

想定される用途

車輌エンジンや事業所、家庭用ボイラーの高負荷燃焼の制御で必要とされる高速応答性を初めて実現できる酸素センサとして、本発明は広い用途が期待できる。

車のEV化のためガソリンエンジンは成長市場とはいえないが、当面は巨大な市場規模にある。

ライセンス可能な特許

発明の名称:ガスセンサ
国際公開番号:WO2022/181400

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