CO2をトラップする電気化学有機金属錯体
~CCU(Carbon Capture and Utilization)~
石谷 治(東京工業大学)
発明のポイント
脱炭素社会を目指す上で、火力発電所やゴミ焼却場から排出されるCO2を削減する取組みが重要になってきている。しかし、燃焼ガス中に含まれるCO2の濃度は低い(多くても数十%)ため、アミンやMOF、フィルターなどによるCO2補足方法ではCO2濃縮という余分なプロセスが必要になる。
当電気触媒は、CO2濃度が低い状況下においてもCO2の捕捉と還元を同時に行うことができ、燃焼ガス中のCO2が低濃度であっても効率的に除去することができる技術である。
発明の概要

A. Re錯体電極触媒
- ■電気化学的還元により選択的にCOが得られる。
- ■低濃度CO2(0.03%~100%)から効率よくCO2を回収できる。
- ■加圧は必要ない。

B. 金属(M1)錯体電極触媒(M1=Mn、Ruなど)
- ■電気化学的還元により選択的にHCOOHが得られる。
- ■低濃度CO2(0.03%~100%)から効率よくCO2を回収できる。
- ■加圧は必要ない。
実験結果





Re錯体触媒によってCO2捕捉活性を向上することができる。
CO2の効率的かつ選択的な生成は、1%CO2下でも進行し、1%CO2下でのガス還元効率ηCOは、100%CO2下とほぼ同等との結果が得られた。
想定される用途
- ■当電極触媒によって、低濃度のCO2雰囲気中で、
CO2をCO、
又はHCOOH
に変換可能。 - ■得られたCOは、鉄鋼業やC1化学の分野で利用可能。
- ■得られたHCOOHは、燃料電池の燃料などへ利用可能。

ライセンス可能な特許
発明の名称:二酸化炭素の電気化学的還元
国際公開番号:WO2016/136433(移行国:日本、米国、中国)
登録番号:特許第6615175号(1.84MB)