生体粒子ボルト誘導体
~新規ナノカプセルの設計と利用~
田中 秀明(大阪大学)
発明のポイント
生体粒子ボルトにロイシン残基を付加し、ジッパー機能を付与した『ロイシンジッパーボルト(LZボルト)』を開発
ボルトの安定性と発現量が向上し、新規ナノカプセルとしてDDSへの応用研究を実施中
生体粒子ボルト
- ・生体内に存在する複合タンパク(86年発見)
- ・内部に薬効成分を包含するナノカプセルとしてDDSへ応用
- ・安定性と発現量の低さが実用化への課題
LZボルト
- ボルト開閉部分にロイシンを付加し、ジッパー機能を付与
- ⇒ 安定性と発現量が向上
- ⇒ 新規ナノカプセルとしてDDSへの応用を研究中
発明の概要
生体粒子ボルト
- ・生体内に存在する複合タンパク(86年発見、分子量約1000万)
- ・3種類のタンパク質と1種類のRNAで構成させるお椀型構造が、N末端で相互作用により結合し、樽型中空構造を有するナノ粒子
- ・内部に薬効成分を包含するナノカプセルとしてDDSへの応用が期待
- ・N末端での結合が弱く、不安定であり、発現量も低い
LZボルト
N末端開閉部にロイシンを付加してジッパー機能を付与
安定性と発現量が向上(発現量:15倍以上)
従来技術との比較・優位性
【既存DDS技術】
- リポソーム、高分子ミセル、・・・
粒子構造 | 特性 (赤字:課題) |
大きさ(nm)注) | ||
---|---|---|---|---|
ボルト (天然) |
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約40 × 約70 | |
リポソーム |
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粒子径:100以下 | |
高分子ミセル |
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粒子径:20~100 |
注)粒子径10~200 nmの薬剤が腫瘍組織に集積可能(10 nm以下:腎臓から排泄、200 nm以上:肝臓へ)
疾患の特性に合わせた粒子設計が重要
想定される用途
- ◎ 新規ナノカプセルとして医療分野におけるDDSへの応用
- ◎ 化粧品用ナノカプセルへの応用(有効成分を皮膚の奥深くまで届けるナノカプセルなど)
- ◎ 極小半導体基板として電子材料分野における新規材料への応用
ライセンス可能な特許
発明の名称:人工生体粒子およびその製造方法
国際公開番号:WO2014/077195
登録番号:特許第5591418号、米国9840540