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ELGPナノポアDNAシーケンサー
~金属による堅牢なナノポアDNAシーケンサー~

真島 豊(東京工業大学)

発明のポイント

  • ・業界初の金属ナノポアによるDNAシーケンサー
  • ・堅牢なため洗浄によって繰り返し使用が可能なうえ、保存や使用条件の制約がほぼ無い
  • ・ナノポアDNAシーケンサーの課題であったポア通過時のDNAの絡み問題を解消
  • ・このためDNAを細分化する必要が無く、1本のDNAをそのまま解読可能

発明の概要

 ナノポアDNAシーケンサーとは緩衝液で満たされた槽を区分する基板にDNAの太さと同等の小孔(ポア)を形成し、ポアにDNAを通過させる際の緩衝液中のイオン電流の変化からDNA塩基分子を判別するものであるが、DNAの太さと同等の数nm径のポアを形成することが困難であった。数nm径の孔を有する環状蛋白質を合成してこれを実現したものはあるが保存や使用条件に制約があり、固体で形成されたポアの実現が望まれていた。
 これを解決したのが本発明であり、金属層に微細加工技術の限界である10nm程度の初期孔を形成し、これにELGPと呼ぶ特殊なAuメッキを施し、孔径を数nmにまで狭窄することで堅牢な金属ナノポアを実現した。

従来技術との比較・優位性

ナノポアDNAシーケンサーとして唯一実用化に成功しているOxford Nanopore Technologiesの持つ脆弱性を克服できる。

Oxford Nanopore 本発明
使用温度 室温 200℃まで可能
DNA絡み対策 無し
(詰まったポアは放棄)
高温で解離
電圧パルスで強制通過
DNAの読み直し できない 往復読み取り可能
繰り返し使用 不可。使い捨て 洗浄し何度でも使用可能
保存方法 冷蔵保存 通常保存
Oxford Nanopore Technologiesの蛋白質ポア

想定される用途

  • ◎ Long Readシーケンサー

ライセンス可能な特許

発明の名称:ナノポア構造体、ナノポア構造体を含む塩基配列解析装置
国際公開番号:WO2021/111987
登録番号:特許第7237388号

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