HMGB1阻害オリゴ核酸
~ISM ODNを用いた炎症性疾患の抑制~
谷口 維紹(東京大学)
柳井 秀元(東京大学)
発明のポイント
HMGB1(High Mobility Group Box 1)と強く結合して炎症性疾患を抑制するオリゴ核酸(ISM ODN)を開発

HMGB1の機能を阻害
HMGB1
- 自然免疫受容体に認識され、シグナル伝達系を活性化
- ⇒ 炎症性サイトカインの誘導や炎症性細胞の遊走を促進

炎症性疾患の病態悪化
発明の概要
HMGB1:主に核内に存在するタンパク質
- ・クロマチン構造の安定化
- ・遺伝子の転写反応
などに関与
障害・ストレス⇒HMGB1
核内⇒細胞外へ放出
- 自然免疫受容体に認識され、シグナル伝達系を活性化
- ⇒ 炎症性サイトカインの誘導や炎症性細胞の遊走を促進

炎症性疾患の病態悪化
HMGB1の局在変化


(HMGB1は細胞内外に拡散)
ISM ODN:非免疫原性オリゴ核酸(ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド)(TCCATGAGGTTCCTGATGCT)

⇒ HMGB1と強く結合し、HMGB1の機能を阻害

炎症性疾患を抑制
今回の発明
発明の効果
【敗血症の抑制】
-LPS誘導性敗血症モデル
(LPS投与後、ISM ODNを投与)

ISM ODNの投与によって、LPS投与後の生存率が上昇
【肺障害の抑制】
-LPS誘導性ARDSモデル
(HE染色)


ISM ODNの投与によって、LPS誘導性の肺障害を抑制
【好中球浸潤の抑制】
-ConA誘導性肝炎モデル
(ConA投与後、ISM ODNを投与)

(ConA投与後、ISM ODNを投与)

ISM ODNの投与によって、ConA投与後のマウスの生存率が上昇し、好中球の減少を確認
注)
- LPS
- リポ多糖(大量投与により敗血症性ショック)
- ARDS
- 急性呼吸窮迫症候群
- ConA
- コンカナバリンA(大量投与により劇症性肝炎を誘導)
想定される用途
- ◎ HMGB1を標的とした炎症性疾患や自己免疫疾患の治療方法の開発
- ◎ 炎症性サイトカインとしてのHMGB1の役割や機能の解析方法の開発
- ◎ オートファジーとの関連性を含む、細胞質内HMGB1の生体防御メカニズムの解明
ライセンス可能な特許
発明の名称:HMGBタンパクによって仲介される免疫応答の活性化の抑制及びスクリーニング方法
国際公開番号:WO2012/036215
登録番号:特許第5686814号(2.61MB)、米国9186371(1.47MB)