ナノ・プロドラッグ
~ナノ・キャリアフリーDDSの設計と効果~
笠井 均(東北大学)
小関 良卓(東北大学)
他
発明のポイント
ナノ・キャリアを利用せず、薬剤を標的細胞(組織)に選択的に運び届けるドラッグデリバリーシステム(DDS)を開発
薬剤投与
【問題点】
- 分子サイズのため、投与後の薬剤が全身に拡散
- ⇒ 薬効不足・副作用の懸念

ナノ・キャリアDDS
【問題点】
- ・ 細胞浸透性が低い
- ・ 薬剤担持率が低い(10%以下)
- ・ ナノ・キャリアによる副作用の懸念

ナノ・プロドラッグ(ナノ・キャリアフリーDDS)
【特徴】
- 薬剤成分のみから成るナノ薬剤
- ⇒ 薬剤担持率が高く、キャリアによる副作用の懸念がない

発明の概要

SN-38
- ・ トポイソメラーゼ阻害剤
- ・ 難水溶性(水溶解度:<5 ppm)
- ・ プロドラッグ(Irinotecan)が癌治療に使用
H. Kasai et al., Jpn. J. Appl. Phys. 1992
【SN-38 二量体の例】




従来技術との比較・優位性
【従来技術】

Irinotecan
- ・ SN-38のプロドラッグ
- ・ 癌治療に使用

Irinotecanは、SN-38に比べ、水溶性が向上
【本技術と従来技術の薬効比較】
a. 投与濃度とアポトーシス

SN-38二量体はIrinotecanに比べ、高い割合でアポトーシスを誘導
b. 局所治療法による抗腫瘍活性

腫瘍付近に薬剤を担持したフィルムを直接貼り付け、腫瘍体積の大きさを基に抗腫瘍活性を評価

SN-38二量体はIrinotecanに比べ、高い抗腫瘍活性
想定される用途
- ◎ ナノ・プロドラッグによるDDS代替技術としての低分子医薬品(抗がん剤など)の開発
- ◎ ナノ・キャリアを用いない新規DDS技術の開発
ライセンス可能な特許
発明の名称:薬剤多量体微粒子及びその製造方法
国際公開番号:WO2011/155501
登録番号:特許第5113958号(459KB)