ZIC5阻害剤
~新しい標的因子を阻害するがん治療薬~
佐藤 礼子(東京薬科大学)
発明のポイント
ZIC5(Zinc Finger of the Cerebellum 5)を標的因子としてこれを阻害する新規がん治療薬を開発
- 新規がん治療薬
- ・核酸
- ・低分子化合物 など
ZIC5の特長
- ・C2H2ジンクフィンガーを5つ持つZicファミリーに属するタンパク質
- ・ヒト正常細胞にはほとんど発現が見られない(脳と精巣のみで確認)
- ・種々のがん細胞で発現を確認(細胞増殖や細胞運動を促進)
ZIC5の発現抑制(阻害)により、種々のがん細胞の細胞死誘導が可能 ⇒ 新たながん治療薬として期待
発明の概要
【メラノーマにおけるZIC5の役割】
ZIC5により血小板由来成長因子(PDGFD)の発現が誘導 | |
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PDGFDが受容体型チロシンキナーゼ(RTK)を介し、FAK/Srcタンパク質を活性化(FAK/Srcは相互に活性化) | |
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Srcタンパク質はSTAT3を活性化 | FAKはBRAF阻害剤によって阻害されたMAPK経路を再活性化 |
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抗アポトーシスが活性化 | 抗アポトーシスが活性化 |
ZIC5を阻害することで、抗アポトーシスシグナルとMAPK経路の再活性化を阻害し、抗アポトーシスや薬剤耐性の抑制が可能
(メラノーマだけでなく、他のがん種でも同様の効果を確認)
⇒ ZIC5阻害剤は新たながん治療薬として期待

発明の効果
【メラノーマにおけるZIC5抑制効果】

- ・ZIC5抑制により細胞死誘導率が向上
- ・PLX4032との併用で誘導率は更に向上
Satow et al., Cancer Res., 2017
【胆管がんにおけるZIC5抑制効果】

【膵臓がんにおけるZIC5抑制効果】

- ・ZIC5抑制により、胆管がん/膵臓がんにおける細胞死誘導率が向上
- ・ゲムシタビンとの併用で誘導率は更に向上
in vivoでの効果確認試験を実施済み
想定される用途
- ◎ がん治療薬としての利用(単独使用または既存の抗がん剤との併用)
ライセンス可能な特許
発明の名称:腫瘍細胞の悪性化抑制剤及び抗腫瘍剤
国際公開番号:WO2016/178374
登録番号:特許第6806671号(1.97MB)、米国10669545(3.05MB)