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L-アルギニン
~PolyQ病治療剤への応用~

永井 義隆(近畿大学)
皆川 栄子(京都大学)

発明のポイント

ポリグルタミン病(PolyQ病)の原因となるポリグルタミンタンパク質の凝集に対し、L-アルギニンに高い抑制効果を確認

  • PolyQ病治療剤として、L-アルギニンの医師主導治験を実施中
【異常タンパク質による神経変性疾患発症メカニズム】
  • ・アルツハイマー病
  • ・パーキンソン病
  • ポリグルタミン病(PolyQ病)
  • ・筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • ・前頭側頭型認知症 など

発明の概要

L-アルギニン :PolyQタンパク質のミスフォールディングを抑制し、脳内での凝集・蓄積を減少

【L-アルギニンによるPolyQ病発症抑制メカニズム】

L-アルギニン
経口投与されたL-アルギニンは血液脳関門を通過

PolyQタンパク質のミスフォールディングを抑制
(脳内の凝集・蓄積を抑制してPolyQ病の進行を抑制)

Brain 2020, 143, 1811-1825

L-アルギニンによるPolyQタンパク質凝集・蓄積抑制効果
蛍光タンパクによるCOS-7細胞の様子(左:無処理、右:L-アルギニン処理後)

L-アルギニン処理により、タンパク質の蓄積が減少

Brain 2020, 143, 1811-1825

発明の効果

PolyQ病に対する効果(マウスを用いた試験)

  • ・遺伝性脊髄小脳失調症1型(SCA1):緩徐進行性の小脳性運動失調で、歩行時のふらつきや構音障害などの主症状あり
  • ・球脊髄性筋萎縮症(SBMA):筋肉を動かすための神経が徐々に減少する神経疾患で、筋肉が痩せるなどの症状あり

【SCA1マウスに対する効果】

ロータロッド試験
(平均値)
平均台歩行試験
(平均値)

Brain 2020, 143, 1811-1825

両試験において、L-アルギニン投与SCA1マウスは、無投与SCA1マウスに比べ、運動能力の改善を確認

【SBMAマウスに対する効果】

オープンフィールド試験
(水平方向、平均値)
オープンフィールド試験
(垂直方向、平均値)

Brain 2020, 143, 1811-1825

両試験において、L-アルギニン投与SBMAマウスは、無投与SBMAマウスに比べ、運動能力の改善を確認

想定される用途

  • ◎ 新規PolyQ病治療剤(進行抑制剤)としての利用
  • ◎ 他の神経変性疾患(アルツハイマー型認知症など)の治療剤(進行抑制剤)への応用

ライセンス可能な特許

発明の名称:医薬品組成物
国際公開番号:WO2017/222040
登録番号:特許第6933380号

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