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新規SN-38誘導体
~抗腫瘍活性と安全性を最大限高めたナノキャリアフリープロドラッグ~

笠井 均(東北大学)
小関 良卓(東北大学)

発明のポイント

  • ・腫瘍に多く存在するグルタチオン(GSH)の還元能を利用したプロドラッグ
  • ・薬剤自体をナノ粒子化することによりナノキャリアフリーを実現したDDS設計

高い抗腫瘍活性と安全性を実現
(医師主導治験に向けて準備中)

【既存のナノキャリアとプロドラッグの短所】 【SN-38誘導体の特長】
◎ ナノキャリア(LNP等)
  • ・肝臓集積性が高い(>90%)
  • ・標的細胞集積性が高い
  • ・有効成分の担持率が低い(<10%)
  • ・有効成分の担持率が高い
  • ・担体(有効成分以外)による副作用
  • ・有効成分自体をナノ粒子化(担体が存在しない)
◎ プロドラッグ
  • ・標的細胞到達前の代謝による薬効低下と副作用
  • ・標的細胞到達前には代謝を受けにくい(GSHにより代謝)

発明の概要

SN-38
・ トポイソメラーゼ阻害剤
・ 難水溶性(水溶解度:<5 ppm)
・ プロドラッグ(Irinotecan)が癌治療に使用

Irinotecan
  • SN-38誘導体(SN-38 SSリンカー二量体)
  • SS結合を含むリンカー(SSリンカー)を介したSN-38二量体
  • GSHのSS結合切断能(還元能)を利用したプロドラッグ
  • ・ 正常細胞ではGSHが少ないため、正常細胞への影響は低い
SN-38誘導体ナノ粒子
高い分散安定性

従来技術との比較・優位性

【本技術と従来技術の薬効・安全性比較】

a. in vivo試験結果(マウス*、静注)

* HCT116(ヒト結腸腺がん由来)細胞担がんマウス
**投与量:10 mg/kg/day

SN-38誘導体はIrinotecanに比べ、抗腫瘍活性が高い

b. 安全性比較(SN-38 vs. SN-38誘導体)

SN-38誘導体はSN-38に比べ、安全性が高い

想定される用途

  • ◎ 新規抗がん剤(肺がん、乳がん、大腸がん、子宮頸がん、胃がんなど向け)の開発

ライセンス可能な特許

発明の名称:SN-38誘導体、当該誘導体を含むナノ粒子医薬及び当該ナノ粒子の製造方法
国際公開番号:WO2022/190626

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