第一章 「科学技術コーディネータ」・データベース ニーズ調査(事前調査)

1.調査の目的:

 「科学技術コーディネータ」・データベース(以下、「コーディネータ・データベース」という)の作成にあたり、利用が想定される関係者に対して、現時点までのコーディネータおよびコーディネート活動とのかかわりとともに、コーディネータ・データベースへの期待、要望等について把握をするために調査を実施した。

2.調査の対象:

 コーディネータ・データベースの利用が想定される関係者(企業、大学教官、コーディネータ)に対して調査を実施した。
a. 企業−JST 研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)
   平成13年度〜平成15年度採択企業担当者 165名
b. 大学教官−地域共同研究センター等国公立大学の産学連携機関専任教官等
   (大学ホームページより適任と思われる地域共同研究センター等の教官を無作為に抽出) 82名
c. コーディネータ−RSP事業(研究成果育成型)
   科学技術コーディネータ 48名

3.調査の手法:

 アンケート調査票による調査を実施
a. 企業、大学教官
−郵便にて調査票を送付、回収(平成16年1月13日発送、1月28日締め切り)
b. コーディネータ
−電子メールにて調査票を送付、回収(平成16年1月21日発送、1月30日(締め切り))

4.「科学技術コーディネータ」の定義:

 「科学技術コーディネータ」の定義は以下のとおりとした。
 「大学や独立行政法人の研究機関や公設試験研究機関等の公的研究機関の研究成果を発掘して商品化するまでの段階においてさまざまな支援を行う人材、または、その研究成果をもとにベンチャー企業の設立および育成の段階において経営支援も含めて支援を行う人材(養成中の人材も含める)とし、勤務形態は常勤、または、非常勤とし、活動の対価として謝礼を活動毎に支払う方等は除く(非常勤の場合でも週何日、月何日というように勤務形態が決まっていること)。なお、対象とする業種は、製造業および情報サービス業(通信・ソフトウエア等)に限る。
 例:「地域研究開発促進拠点支援事業(RSP事業)」科学技術コーディネータ、「研究成果活用プラザ」科学技術コーディネータ(JST)、「都市エリア産学官連携促進事業」科学技術コーディネータ、「大学地域共同研究センター」産学連携コーディネーター(文部科学省)、「TLO(技術移転機関)」特許流通アドバイザー(工業所有権情報総合情報館)、「NEDO養成技術者」(新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO))など」

5.回答者の属性:

 回収件数(回収率)
a. 企業 77名 (46.7%)
b. 大学教官 37名 (45.1%)
c. コーディネータ 39名 (81.3%)

6.調査結果:

6−1 コーディネータ(制度)の認知度と協力状況

6−1−1 企業および大学教官のコーディネータに対する認知度

 (1)企業の回答

コーディネータの制度を知っているか
項目 回答数 割合
よく知っている 16 20.8%
名前だけは知っている 33 42.9%
知らない 27 35.1%
その他 1 1.3%
合計 77  

いままでにコーディネータの協力を得たことがあるか
項目 回答数 割合
協力を得たことがある 21 27.3%
協力を得たことはない 56 72.7%
合計 77  

 企業回答において、コーディネータ制度の認知度は、「よく知っている」が20.8%、「名前だけは知っている」が42.9%となっており、認知度が決して高くないことがわかる。また、コーディネータの協力状況は、企業回答の27.3%が「協力を得たことがある」としており、認知度と関係があると言えそうである。

 (2)大学教官の回答
いままでに研究成果の製品化、起業化などコーディネータの協力を得たことがあるか
項目 回答数 割合
学内にいるコーディネータの協力を得たことがある 27 75.0%
学外にいるコーディネータの協力を得たことがある 11 30.6%
協力を得たことはない 6 16.7%
合計 36  

 大学教官回答の75.0%が「学内にいるコーディネータの協力を得たことがある」、30.6%が「学外にいるコーディネータの協力を得たことがある」としており、回答者のサンプルとして地域共同研究センター等の教官などを選んでいることから産学連携コーディネーターの協力を得たとして回答している割合が高いことが言えそうでる。


6−1−2 企業および大学教官のコーディネータとの協力状況

 (1)企業の回答

コーディネータの協力を得ている内容について
項目 回答数 割合
研究者、企業等の紹介・引き合わせ 12 57.1%
国や地方自治体のプログラムへの応募支援 10 47.6%
研究結果の発掘 6 28.6%
技術の評価 6 28.6%
情報収集 6 28.6%
交流会・研究会等の開催 5 23.8%
技術指導 4 19.0%
ビジネスモデル作成支援 3 14.3%
ライセンシング 1 4.8%
特許化支援 1 4.8%
マーケティング支援 1 4.8%
金融関係支援 0 0.0%
経営支援 0 0.0%
その他 2 9.5%
合計 21  

 協力を得ている主な活動については、企業回答が「研究者、企業等の紹介・引き合わせ」(57.1%)、「国や地方自治体のプログラムへの応募支援」(47.6%)などとしている。

 (2)大学教官の回答

コーディネータの協力を得ている内容について
項目 回答数 割合
研究者、企業等の紹介・引き合わせ 21 70.0%
研究結果の発掘 19 63.3%
情報収集 19 63.3%
交流会・研究会等の開催 19 63.3%
国や地方自治体のプログラムへの応募支援 17 56.7%
特許化支援 12 40.0%
技術の評価 9 30.0%
マーケティング支援 5 16.7%
ライセンシング 4 13.3%
技術指導 4 13.3%
ビジネスモデル作成支援 3 10.0%
金融関係支援 0 0.0%
経営支援 0 0.0%
その他 2 6.7%
合計 30  

 大学教官回答は「研究者、企業等の紹介・引き合わせ」(70.0%)、「研究成果の発掘」、「情報収集」、「交流会・研究会等の開催」(ともに、63.3%)などとなっている。
 シーズである研究成果を提供する大学とニーズを製品化にむける企業の差はあるものの、「研究者、企業等の紹介・引き合わせ」がもっとも多いという共通点がみられる。


6−1−3 コーディネータの回答の活動内容と支援対象者

コーディネータの活動内容について
項目 回答数 割合
研究結果の発掘 39 100.0%
研究者、企業等の紹介・引き合わせ 37 94.9%
情報収集 36 92.3%
国や地方自治体のプログラムへの応募支援 35 89.7%
技術の評価 33 84.6%
特許化支援 31 79.5%
交流会・研究会等の開催 30 76.9%
技術指導 23 59.0%
ビジネスモデル作成支援 13 33.3%
マーケティング支援 11 28.2%
ライセンシング 8 20.5%
金融関係支援 2 5.1%
経営支援 2 5.1%
その他 5 12.8%
合計 39  

 コーディネータ回答においては、「研究成果の発掘」(100.0%)、「研究者、企業等の紹介・引き合わせ」(94.9%)、「情報収集」(92.3%)、「国や地方自治体のプログラムへの応募支援」(89.7%)、「技術評価」(84.6%)などが主な業務であり、「大学・高専等の教官」(100%)、「企業の研究者」(94.9%)、「公設試験研究機関の研究者」(79.5%)、「企業の経営者」(79.5%)がコーディネート活動の主な支援対象者となっている。


6−1−4 他のコーディネータとの協力状況(コーディネータの回答)

いままでに他のコーディネータと協力をして活動をしたことがあるか
項目 回答数 割合
協力して活動をしたことがある 34 87.2%
支援をしたことがある 24 61.5%
支援を受けたことがある 24 61.5%
特になし 3 7.7%
その他 0 0.0%
合計 39  

他のコーディネータと一緒に行った活動内容について
項目 回答数 割合
研究者、企業等の紹介・引き合わせ 29 80.6%
研究結果の発掘 25 69.4%
情報収集 24 66.7%
国や地方自治体のプログラムへの応募支援 22 61.1%
技術の評価 20 55.6%
交流会・研究会等の開催 19 52.8%
特許化支援 18 50.0%
技術指導 13 36.1%
ビジネスモデル作成支援 4 11.1%
ライセンシング 3 8.3%
マーケティング支援 2 5.6%
経営支援 1 2.8%
金融関係支援 0 0.0%
その他 5 13.9%
合計 36  

 コーディネータ同士の協力については87.2%とほとんどの回答が「協力して活動をしたことがある」としているが、RPS事業(研究成果育成型)では各地域で複数(2〜4名)のコーディネータを配置していることを考えると、一部で連携関係に問題があると言えるかもしれない。他のコーディネータと協力をして行った活動内容については、「研究者、企業等の紹介・引き合わせ」(80.6%)、「研究成果の発掘」(69.4%)、「情報収集」(66.7%)、「国や地方自治体のプログラムへの応募支援」(61.1%)などとなっており、相手となるコーディネータとしては「RSP事業科学技術コーディネータ(JST)」が91.2%でもっとも多く、「産学連携コーディネーター(大学地域共同研究センター等)」(79.4%)、「特許流通アドバイザー(工業所有権情報総合情報館)」(55.9%)と続いているが、文部科学省の事業だけにかかわらずいろいろな他事業のコーディネータとの連携も行われつつあると言えそうである。

6−2 今後のコーディネータによる支援と問題点

6−2−1 コーディネータへの協力要望

 (1)企業の回答

今後、コーディネータの協力を得たいか
項目 回答数 割合
協力を得たい 32 41.6%
協力を得たいとは考えていない 4 5.2%
どちらともいえない 41 53.2%
合計 77  

 企業回答において、今後、コーディネータの協力を得たいという回答は41.6%とすでに「協力を得たことがある」の27.3%を上回ってはいる。
 しかし、まだ十分に多い数とはいえず、このことは企業回答者のコーディネータ制度の認知度が低く十分に理解されていないことがこの値につながっていると思われる。

 (2)大学教官の回答

今後、コーディネータの協力を得たいか
項目 回答数 割合
協力を得たい 34 91.9%
協力を得たいとは考えていない 1 2.7%
どちらともいえない 2 5.4%
合計 37  

 大学教官回答では、「協力を得たい」が91.1%と非常に高い値となっており、コーディネータの協力への期待が伺われる。


6−2−2 コーディネータの協力を得たい内容

 (1)企業の回答

コーディネータの協力を得たい内容について
項目 回答数 割合
情報収集 17 53.1%
マーケティング支援 14 43.8%
国や地方自治体のプログラムへの応募支援 12 37.5%
研究結果の発掘 12 37.5%
研究者、企業等の紹介・引き合わせ 11 34.4%
技術指導 11 34.4%
技術の評価 9 28.1%
交流会・研究会等の開催 4 12.5%
特許化支援 3 9.4%
ビジネスモデル作成支援 3 9.4%
ライセンシング 2 6.3%
経営支援 2 6.3%
金融関係支援 2 6.3%
その他 0 0.0%
合計 32  

 協力を得たいと考えている内容について、「情報の収集」(53.1%)、「マーケティング支援」(43.8%)などが高い値を示しており、すでに「協力を得たことがある」項目に対して、「マーケティング支援」(4.8% → 43.8%)、「情報収集」(28.6% → 53.1%)、「技術指導」(19.0% → 34.4%)が大幅に増加している一方で、「研究者、企業等の紹介・引き合わせ」が57.1%から34.4%へと大幅に減少をしている。

 (2)大学教官の回答

コーディネータの協力を得たい内容について
項目 回答数 割合
研究者、企業等の紹介・引き合わせ 29 85.3%
国や地方自治体のプログラムへの応募支援 27 79.4%
情報収集 27 79.4%
研究結果の発掘 26 76.5%
特許化支援 23 67.6%
技術の評価 21 61.8%
交流会・研究会等の開催 20 58.8%
ライセンシング 14 41.2%
マーケティング支援 12 35.3%
ビジネスモデル作成支援 10 29.4%
技術指導 7 20.6%
金融関係支援 6 17.6%
経営支援 4 11.8%
その他 0 0.0%
合計 34  

 大学教官回答においては、「研究者、企業等の紹介・引き合わせ」(85.3%)、「国や地方自治体のプラグラムへの応募支援」(79.4%)、「情報収集」(79.4%)などが大きい値を示しているが、すでに「協力を得たことがある」項目に対してほとんどすべての項目について増加を示している。「国や地方自治体のプログラムへの応募支援」(47.2% → 79.4%)、「研究者、企業等の紹介・引き合わせ」(58.3% → 85.3%)など値が非常に増加しているが、とくに、「技術の評価」(25.0% → 61.8%)、「特許化支援」(33.3% → 67.6%)などについては非常に大きな期待がうかがえる。


6−2−3 他のコーディネータとの協力とその内容

今後、他のコーディネータと協力して活動を行っていきたいか
項目 回答数 割合
協力していきたい 36 92.3%
協力していきたいとは考えていない 0 0.0%
どちらともいえない 3 7.7%
合計 39  

協力して活動を行っていきたい内容
項目 回答数 割合
研究者、企業等の紹介・引き合わせ 31 86.1%
研究結果の発掘 27 75.0%
国や地方自治体のプログラムへの応募支援 25 69.4%
情報収集 25 69.4%
技術の評価 21 58.3%
特許化支援 19 52.8%
交流会・研究会等の開催 19 52.8%
ビジネスモデル作成支援 13 36.1%
ライセンシング 13 36.1%
マーケティング支援 13 36.1%
技術指導 12 33.3%
金融関係支援 3 8.3%
経営支援 3 8.3%
その他 2 5.6%
合計 36  

その他(具体的に)

 一方、コーディネータ回答においては、「今後、他のコーディネータと協力して活動を行っていきたいか」という質問に対して、「協力していきたい」が92.3%とほとんどが他のコーディネータと協力して活動を行っていきたいと考えている。その協力をしていきたい内容については、「研究者、企業等の紹介・引き合わせ」(86.1%)を筆頭に「研究成果の発掘」(75.0%)、「国や地方自治体のプログラムへの応募支援」(69.4%)、「情報収集」(69.4%)などが大きな値を示しているが、「ビジネスモデル作成支援」(11.1% → 36.1%)、「ライセンシング」(8.3% → 36.1%)、「マーケティング支援」(5.6% → 36.1%)が大きな伸びを示しており、今後とくに力を入れていきたい問題であると想像される。


6−2−4 コーディネータとの協力における問題点

 (1)企業の回答

コーディネータの協力を得る場合における問題点
項目 回答数 割合
とくに問題点はない 34 44.2%
適切なコーディネータの居場所がわからない 28 36.4%
どのコーディネータに相談すればよいかがわからない 27 35.1%
地域や省庁といった障壁があり、相談しにくい 6 7.8%
その他 8 10.4%
合計 77  

その他(具体的に)

 コーディネータの協力を得る場合の問題として、企業回答は「とくに問題はない」が44.2%ともっとも高くはあるが、「適切なコーディネータの居場所がわからない」(36.4%)、「どのコーディネータに相談すればよいかがわからない」(35.1%)についても大きな値を示しており、また、その他の回答として、情報の漏洩など、情報の機密性の問題について気にしている回答や「求めているコーディネータか否か?判断する情報が少ない」といったコーディネータの業務内容や専門分野がわからないといった回答が多くあった。

 (2)大学教官の回答

コーディネータの協力を得る場合における問題点
項目 回答数 割合
とくに問題点はない 25 67.6%
適切なコーディネータの居場所がわからない 4 10.8%
どのコーディネータに相談すればよいかがわからない 4 10.8%
地域や省庁といった障壁があり、相談しにくい 2 5.4%
その他 7 18.9%
合計 37  

 大学教官回答は「とくに問題はない」が67.6%と3分の2が回答をしており学内に産学連携コーディネーターなどが配置されていることによるものと想像されるが、一方で、コーディネータの技量不足やマンパワー不足等について懸念している回答も見受けられる。

 (3)コーディネータの回答

他のコーディネータと協力して活動を行っていく場合における問題点
項目 回答数 割合
とくに問題点はない 22 56.4%
適切なコーディネータの居場所がわからない 6 15.4%
どのコーディネータに相談すればよいかがわからない 8 20.5%
必要な情報のある場所がわからない 5 12.8%
地域や省庁といった障壁があり、相談しにくい 4 10.3%
その他 6 15.4%
合計 39  

その他(具体的に)

 コーディネータ回答にとっての他のコーディネータとの協力における問題については、「とくに問題がない」が56.4%となっているものの、「どのコーディネータと協力していけばよいかわからない」(20.5%)、「適切なコーディネータの居場所がわからない」(15.4%)、「必要な情報のある場所がわからない」(12.8%)、「地域や省庁といった障壁があり、協力しにくい」(10.3%)といった問題が他の回答にくらべて多く見受けられる。

コーディネート活動を行うにあたっての問題点
項目 回答数 割合
特にない 19 55.9%
具体的にお答えください 15 44.1%
合計 34  

 また、コーディネート活動を行ううえでの問題点について、「特にない」という回答が55.9%である一方、問題点として、「活動の性格上活動する地域が限定される」、「他事業や他機関との調整が必要」、「企業のニーズを引き出すことが難しい」といったことが複数の回答者からあげられている。

6−3 データベースの活用への希望

(1)企業の回答

コーディネータ情報が提供されれば活用したいか
項目 回答数 割合
活用したい 49 63.6%
活用したいとは考えていない 1 1.3%
どちらともいえない 27 35.1%
合計 77  

具体的に活用をしたい内容、利用方法について

 コーディネータ・データベースを作成したときに利用をするかの希望について、企業回答については、「活用をしたい」が63.6%、「どちらともいえない」が35.1%であり、「活用したいとは考えていない」は1.3%にすぎない。
 このように、多くの回答が作成をされたときにはコーディネータ・データベースを活用したいと考えていることがわかる。

 (2)大学教官の回答

コーディネータ情報が提供されれば活用したいか
項目 回答数 割合
活用をしたい 25 67.6%
活用したいと考えていない 0 0.0%
どちらともいえない 12 32.4%
合計 37  

具体的に活用をしたい内容、利用方法について

 コーディネータ・データベースを作成したときに利用をするかの希望について、大学教官回答については、「活用をしたい」が67.6%、「どちらともいえない」が32.4%であり、「活用したいとは考えていない」への回答者はいない。
 このように、多くの回答が作成をされたときにはコーディネータ・データベースを活用したいと考えていることがわかる。

 (3)コーディネータの回答

コーディネータ情報が提供されれば活用したいか
項目 回答数 割合
活用をしたい 29 74.4%
活用したいと考えていない 2 5.1%
どちらともいえない 8 20.5%
合計 39 100.0%

具体的に活用をしたい内容、利用方法について

 また、コーディネータ回答については、「活用をしたい」が74.4%ともっとも多く、「どちらともいえない」が20.5%、「活用したいとは考えていない」は5.1%となっており、多くの回答が作成をされたときにはコーディネータ・データベースを活用したいと考えていることがわかる。

6−4 コーディネータ・データベースへの掲載項目

(1)企業の回答

コーディネータ情報について提供を要望する項目
項目 回答数 割合
専門・得意分野 48 62.3%
コーディネート可能な分野 41 53.2%
研究シーズ情報 34 44.2%
プロフィール 33 42.9%
コーディネートの実績 31 40.3%
企業ニーズ情報 31 40.3%
提案公募型技術プロジェクト情報 25 32.5%
特許情報 18 23.4%
特に望むものはない 5 6.5%
その他 1 1.3%
合計 77  

その他(具体的に)

 コーディネータ・データベースへの掲載を希望する項目について聞いたところ、企業回答からは、「専門・得意分野」(62.3%)、「コーディネート可能な分野」(53.2%)が半数を超える回答であった。また、「研究シーズ情報」が44.2%とそれに続いている。

 (2)大学教官の回答

コーディネータ情報について提供を要望する項目
項目 回答数 割合
専門・得意分野 25 67.6%
コーディネート可能な分野 25 67.6%
コーディネートの実績 23 62.2%
プロフィール 21 56.8%
企業ニーズ情報 17 45.9%
提案公募型技術プロジェクト情報 16 43.2%
特許情報 11 29.7%
研究シーズ情報 10 27.0%
その他 7 18.9%
特に望むものはない 3 8.1%
合計 37  

その他(具体的に)

 コーディネータ・データベースへの掲載を希望する項目について聞いたところ、大学教官回答については、「専門・得意分野」(67.6%)、「コーディネート可能な分野」(67.6%)については同様であったが、加えて「コーディネートの実績」(62.2%)、「プロフィール」(56.8%)が半数を超える回答であった。また、それに続く回答として「企業ニーズ情報」(45.9%)がある。

 (3)コーディネータの回答

コーディネータ情報について提供を要望する項目
項目 回答数 割合
専門・得意分野 33 84.6%
コーディネート可能な分野 25 64.1%
プロフィール 24 61.5%
コーディネートの実績 17 43.6%
企業ニーズ情報 15 38.5%
提案公募型技術プロジェクト情報 14 35.9%
研究シーズ情報 12 30.8%
特許情報 11 28.2%
特に望むものはない 2 5.1%
その他 5 12.8%
合計 39  

その他(具体的に)

 コーディネータ・データベースへの掲載を希望する項目について聞いたところ、コーディネータ回答についても同様に「専門・得意分野」(84.6%)、「コーディネート可能な分野」(64.1%)に加えて、「プロフィール」(61.5%)もあげられている。

6−5 まとめ

以上のアンケート調査の結果を踏まえ、下記のとおりのことがまとめとしていえる。

(1) 企業に対してはコーディネータの認知度が低く、またコーディネータがどこにいるか等わからないため、協力を得たいと思っても得られていないという現実がある。
→ まず企業にコーディネータ活動について知ってもらうことが重要である。
  
(2) コーディネータはこれまでに他のコーディネータと協力した実績が高く、今後も連携を希望している。
→ コーディネータは他のコーディネータとの連携を非常に重要と考えている。
  
(3) 企業・大学教官・コーディネータの6〜7割が、コーディネータ情報について提供されれば活用したいと考えている。
→ 活用したいと答えなかった回答の多くは、実際にどのような情報が提供されるのか現時点で不明であるためであり、コーディネータ情報へのニーズは高いと考えられる。
  
(4) コーディネータ情報について提供を要望する項目は、企業・大学教官・コーディネータとも、コーディネータの「専門・得意分野」が最上位であり、その他、企業は「研究シーズ情報」、大学教官は「企業ニーズ情報」提供の要望が比較的高い。
→ コーディネータの専門・得意分野或いは所有する研究シーズ・企業ニーズを知り、目的に合致するコーディネータに相談するという活用方法が考えられる。
  
(5) 企業からは、コーディネータの協力を得る場合に、「情報・機密性が不透明」という問題点が指摘されている。
→ 機密情報の漏洩についての不安を取り除く必要がある。
  
(6) 大学教官からは、コーディネータ情報について提供を要望する項目として、「ライセンスでのスタンス等」や「コーディネータの抱負」なども挙げられている。
→ コーディネータの考え方も重要である。
  
(7) コーディネータから、「蓄積したネットワーク、ニーズ、シーズを次世代のコーディネータに移転したい」との意見がある。
→ 次世代へ継承できるシステムが望まれている。

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