採択プロジェクト
国際共同研究
日本-フィリピン「水の安全保障」研究領域
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)では、フィリピン科学技術省(DOST)と協力し、日本とフィリピンの研究者間で「水の安全保障」分野での国際共同研究を支援しています。
相手国協力機関
フィリピン科学技術省(DOST: Department of Science and Technology)
運営主幹 (PO)
古米 弘明(中央大学 研究開発機構 機構教授)
新着情報
採択課題一覧
※所属・役職は2025年1月現在の情報。
研究課題名 | 生物由来の前処理剤を利用した海水淡水化 |
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グラント番号 | JPMJNX24A1 |
研究期間 | 2025年1月~2027年12月(2024年度~2027年度) |
日本側研究代表者 | 奥田 哲士(龍谷大学 先端理工学部 教授) |
相手側研究代表者 | ラモン クリスチャン P. アウセビオ(フィリピン大学 ロスバニョス校 化学工学科 准教授) |
課題概要 |
本研究は、島しょ地域や災害時においても水源として保証される海水の淡水化法として、逆浸透膜を基幹技術、バイオマスを原材料とした前処理方法の開発と、再生可能エネルギーを原動力とするシステムの構築を目的とする。 具体的には、日本側チームはモリンガという植物由来の凝集剤と吸着剤により目詰まりが低減でき、バイオ燃料の利用も可能な膜処理装置の開発を行う。フィリピン側チームは、もみ殻を目詰まり低減のための吸着剤の作成に利用するほか、低圧運転可能な前処理用の膜の開発への利用にも挑戦し、それらにより太陽光発電のみで運転が可能な装置の開発を行う。 両国の研究チームによる共同研究を通して、電力供給の無い場所でも運転が可能で、かつ生物素材を活用した持続可能な海水淡水化システムの開発を目指す。 |
研究課題名 | 極端な気候変動下における持続可能な水資源とダム管理のための相乗戦略 |
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グラント番号 | JPMJNX24A2 |
研究期間 | 2025年1月~2027年12月(2024年度~2027年度) |
日本側研究代表者 | カントシュ サメ・アハメド(京都大学 防災研究所 教授) |
相手側研究代表者 | ジェフリー・ロイド バレング(イサベラ州立大学 工学部 教授) |
課題概要 |
本研究は、これまでに開発した長時間アンサンブル降雨予測およびアンサンブル気候予測データベースを統合し、スーパー台風に伴う極大洪水の発生や長期間の無降雨に伴う異常渇水を予測する。ルソン島北部のマガットダムの運用を高度化し下流のカガヤン川流域においてウェブベースのプラットフォームを開発し、フィリピン地域社会に研究成果を実装することを目的とする。 具体的には、日本側チームはリモートセンシングデータおよび衛星画像を用いて、地球規模の気候予測の地域・流域レベルへのダウンスケーリングを通じてダム運用のシミュレーションを実施する。フィリピン側チームは、これらの成果を、水の安全保障の指標やマスタープランの策定などを含む政策立案へ反映するべく、カガヤン川流域の地方自治体を対象に検討する。 両国の研究チームによる共同研究を通して、水文予測情報に基づく水資源管理の新しいガイドラインの確立を目標とする。さらに、ガイドラインを実装し、将来の気候変動に伴う極端気象の増大に対する適応策を強化する人材の開発にも力を注ぐ。 |
研究課題名 | フィリピンラグナ州の水源から飲用水にわたるペルフルオロおよびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)の体系的モニタリング調査 |
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グラント番号 | JPMJNX24A3 |
研究期間 | 2025年1月~2027年12月(2024年度~2027年度) |
日本側研究代表者 | 国末 達也(愛媛大学 沿岸環境科学研究センター 教授) |
相手側研究代表者 | アンナ カレン カラスコ・ラセルナ(デ・ラ・サール大学 中央機器施設 学術サービス教員) |
課題概要 |
本研究は、国際社会で問題視されているペルフルオロおよびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)を対象に、ルソン島中部のラグナ州の水源および飲用水中の残留レベルを明らかにし、ヒト健康リスクの評価とフィリピン国内における今後のPFAS規制に有用な基礎データを提示することを目的とする。 日本側チームは、ストックホルム条約に登録されている3物質に加え、36種の新興PFASのターゲット分析を行う。フィリピン側チームは、水源となる湧水、地下水、井戸水と浄水処理後の飲用水およびボトルウォーターについて、サンプリングとPFAS分析の前処理、精製を行う。 また、両国のチームが共同でノンターゲット分析を実施し、未同定のPFAS化合物の存在と挙動も解析することで、将来的なPFASの削減・処理対策を見据えた重要な基礎データの取得を目指す。 |
研究課題名 | フィリピン・ラグナ湖における未規制汚染物質の優先順位付けに基づく水道水質管理と水生生物保護による水の安全性の強化 |
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グラント番号 | JPMJNX24A4 |
研究期間 | 2025年1月~2027年12月(2024年度~2027年度) |
日本側研究代表者 | 栗栖 太(東京大学 大学院工学系研究科 教授) |
相手側研究代表者 | ジャニス・B・セビリア=ナスター(フィリピン大学 ロスバニョス校 環境科学管理学部 准教授) |
課題概要 |
本研究は、生活用水および養殖、灌漑用水の水源や、親水の場となっているラグナ湖を対象とし、フィリピンの水質管理において監視すべき有害化学物質の優先順位付けを目的とする。 具体的には、フィリピン側チームは、化学物質の輸入量などの統計データや現地企業からの情報提供に基づいて、調査すべき化学物質を検討する。日本側チームは、フィリピン側チームから得られた情報に基づき、高分解能質量分析計を用いた多物質のスクリーニング分析を行い、ヒトの健康や水生生物への影響が生じ得る有害性評価値に対し、有害化学物質が問題となる濃度で存在しているかどうか、評価を行う。 両国の研究チームによる共同研究を通して、未規制汚染物質の監視および管理のための優先順位付けの方法を開発し、行政におけるモニタリング方法を提示することで、安全な水資源の管理の実現を目指す。 |
研究課題名 | フィリピンにおける水の安全保障と公衆衛生の向上を目的とした水環境中および上下水処理システムでの新興微生物の汚染評価 |
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グラント番号 | JPMJNX24A5 |
研究期間 | 2025年1月~2027年12月(2024年度~2027年度) |
日本側研究代表者 | 原本 英司(山梨大学 大学院総合研究部 教授) |
相手側研究代表者 | マリゴールド・ウバ(デ・ラ・サール大学 生物学科 専任上級講師) |
課題概要 |
本研究は、フィリピンの水環境中における病原微生物と薬剤耐性菌・耐性遺伝子の汚染実態および浄水・下水処理工程での低減効果を明らかにし、水の微生物学的安全性を保障する新たな指標微生物を探索するとともに、下水疫学調査を用いた感染症の流行監視システムを構築することを目的とする。 具体的には、日本側チームは、病原微生物などの測定法の技術指導・技術移転を行うとともに、デジタルPCR法などの最先端の遺伝子検出技術を用いた測定や水系感染症リスクの評価などを実施する。フィリピン側チームは、現地での定期的な採水調査を実施し、微生物のモニタリング体制を構築する。 両国の研究チームによる共同研究を通して、効率的な水の微生物学的安全性の監視システムを構築し、微生物の排出負荷および感染症リスクを低減するための方策の提案へとつなげることを目指す。 |
報告書
後日掲載予定
事後評価
後日掲載予定