[地球変動] 地球変動のメカニズム

戦略目標

環境にやさしい社会の実現」(PDF:14KB)

平成11年度採択分

化学的摂動法による大気反応機構解明

研究代表者(所属)
梶井 克純 (東京都立大学 大学院 工学研究科 教授)
概要
本研究では、対流圏のオゾン増加のメカニズム解明に焦点をあてて、大気化学反応の中心的役割を担っている と考えられている反応性微量ガスや中間体ラジカルの濃度測定装置の開発を行い、総合的な観測を通して大気反応機構解明を目指してきた。N2O5濃度測定に 東アジアで初めて成功し、夜間大気の酸性化の解明を行った。OHラジカル寿命測定からオキシダント生成効率を導き出し窒素酸化物濃度との関連を見出し、制 御に向けた科学的基礎を提示した。
 

衛星利用のための実時間海洋基礎生産計測システム

研究代表者(所属)
才野 敏郎 (名古屋大学 地球水循環研究センター 教授)
概要
実時間データ転送機能を持った水中自動昇降システムと、それに搭載する海洋基礎生産プロファイラーを開発 した。相模湾における試験運用で得たデータベースに基づいて同海域での日・深度積算基礎生産を推定するためのアルゴリズムを開発した。さらに、推定された 日・深度積算基礎生産を地球化学的手法で客観的に評価する手法を開発して実用に供した。これらによって、実時間で衛星基礎生産データを検証し、実利用する ためのパイロットシステムを構築した。
 

アジア域の広域大気汚染による大気粒子環境の変調

研究代表者(所属)
中島 映至 (東京大学 気候システム研究センター 教授)
概要
大気エアロゾル、雲、放射収支の観測とモデリングを通して、東アジアのような汚染の激しい地域では、人為 起源エアロゾルの直接日傘効果によって地表面日射量が1平方メーター当たり10ワット程度減っていることが明らかになった。また、全球平均では、大気下端 では1ワット程度、人為起源エアロゾルの直接日傘効果によって減少しており、大気上端ではエアロゾルが雲場を変える間接効果によって1ワット程度、地球の 反射率が増加していることが明らかになった。このことによって、温暖化の30%程度が人為起源エアロゾルの間接効果で相殺されていると結論できる。
 

太陽輻射と磁気変動の地球変動への影響

研究代表者(所属)
吉村 宏和 (東京大学 大学院 理学系研究科 助教授)
概要
本研究では、太陽磁場変動と密接に連動した太陽輻射変動が、地球気候の変動に影響を与えるかどうか、与え るとすれば、どの程度であるかを明らかにするため、研究代表者の磁場と輻射変動の非線形ダイナモ理論をもとに、過去の太陽輻射の変動を再現し、地球の気温 の変動と比較することを試みた。過去の太陽輻射変動の指標として太陽半径の変動を選び、過去100年間の太陽写真像の精密なデジタル化を可能にする機器を 開発し、太陽半径を測定し、その変動を検出した。
 

平成10年度採択分

熱帯林の林冠における生態圏―気圏相互作用のメカニズムの解明

研究代表者(所属)
浅野(中静) 透 (総合地球環境学研究所研究部 教授)
概要
林冠クレーンを建設し、東南アジア熱帯雨林に特有な一斉開花現象のメカニズムと森林の炭素水循環について 研究を行った。一斉開花は超年的な降水変動による乾燥を契機として起こっている可能性が高く、進化的には捕食者飽食、送粉促進、遺伝子流動促進などによっ て自然選択を受けている。炭素・水収支はフラックス、森林動態、植物の生理・生態などから、大きな生物生産をもつ東南アジア湿潤熱帯の観測値として貴重な 推定値を得た。
 

海洋大気エアロゾル組成の変動と影響予測

研究代表者(所属)
植松 光夫 (東京大学 海洋研究所 助教授)
概要
北太平洋を中心に陸、大気、海洋間を生成、循環、消滅するエアロゾルの化学的特性と物質循環の変化を把握 することを目的とした。海洋・大気の化学成分を自動採取分析するシステムを搭載した無人観測艇を開発した。船舶や島嶼での大気観測網によって海洋エアロゾ ルの主要化学組成の時空間変動を高精度に把握し、東アジア域でのエアロゾル化学成分の分布の再現とそれをもとにした化学天気図による予測への実用化を実現 した。
 

大気-陸域相互作用のモデル化と衛星観測手法の開発

研究代表者(所属)
小池 俊雄 (東京大学 大学院 工学系研究科 教授)
概要
チベット高原およびタイにおける集中観測および長期継続観測により得られたデータを用いて、衛星搭載マイ クロ波放射計による水文量(土壌水分、積雪、陸域降水)の算定手法、大気-陸面相互作用モデル、陸面データ同化手法を開発した。またこれらシステムによる 水循環過程の高次プロダクツ、モデルシミュレーション、および既存のデータ統合により、チベット高原における境界層発達のメカニズムを解明するとともに、 インドモンスーンオンセットのメカニズムを明らかにした。
 

メソ対流系の構造と発生・発達のメカニズムの解明

研究代表者(所属)
吉崎 正憲 (気象研究所予報研究部 室長)
概要
水平数100kmスケールのメソ対流系をターゲットにして、梅雨期の東シナ海・九州と冬の日本海におい て、高層ゾンデ、ドップラーレーダー、航空機等による組織的な観測を行った。またそれを非静力学モデル(NHM)の結果と比較した。小さいスケールの地形 性降水などはNHMでは再現できなかったが、スケールが大きな梅雨期の寒冷前線や冬の帯状雲・海岸で停滞する降水バンドなどは中の降水までもっともらしく 再現した。そうした降水系についてその発生・発達のメカニズムまで明らかにした。
 

平成9年度採択分

黒潮変動予測実験

研究代表者(所属)
今脇 資郎 (九州大学 応用力学研究所 教授)
概要
衛星海面高度計と漂流ブイのデータを組み合わせることにより、黒潮や黒潮続流の流路変動をつぶさに記述す ることができた。海面高度計データを海洋数値モデルに同化することにより、日本南岸での黒潮流路の変動を1か月程度先まで予測することができた。実測した 黒潮流量の季節変動は、北太平洋上の風応力から予想される変動よりもかなり弱いことが分かった。琉球列島の東に顕著な北東向きの流れが存在し、日本南岸で の黒潮を涵養している可能性が高いことが分かった。
 

北西太平洋の海洋生物化学過程の時系列観測

研究代表者(所属)
野尻 幸宏 ((独)国立環境研究所 地球温暖化研究プロジェクト炭素循環研究チーム 総合研究官)
概要
西部亜寒帯太平洋定点KNOT(北緯44 度、東経155 度)において、国内観測船4隻による観測協力を得て、1998 年6月から2000年10月の集中観測期間に、27回の定点観測を行った。海水の炭酸系(全炭酸、アルカリ度、CO2 分圧)、栄養塩、溶存酸素、一次生産速度について、精度管理された時系列データを得た。その結果、亜熱帯海域の時系列観測点と比べてはるかに大きい生物生産季節変化を反映した炭素循環が確認され、観測結果が海洋生態系モデルで表現された。
 

超伝導受信器を用いたオゾン等の大気微量分子の高度分布測定装置の開発

研究代表者(所属)
福井 康雄 (名古屋大学 大学院 理学研究科 教授)
概要
超伝導受信機を用いた高感度・高精度の大気微量分子高度分布測定装置を開発し、南米チリにおいてオゾン層 破壊に密接に関連する一酸化塩素(ClO)分子の測定を行った。開発した装置は1GHzの帯域幅にわたって安定した周波数ベースラインのデータを取得する ことが可能で、高度15 km 以上の成層圏のClO 高度分布を測定することができる。高度40km付近のClOをわずか5時間ほどの実観測時間で定量することに成功し、既存の装置では困難であった一日内の ClO 量の時間変動を実測できる可能性を拓いた。
 

衛星観測による植物生産量推定手法の開発

研究代表者(所属)
本多 嘉明 (千葉大学 環境リモートセンシング研究センター 助教授)
概要
人工衛星データによる全球の植物生産量推定において不可欠なバイオマス推定アルゴリズムを半乾燥地の草原 植生に対して確立した。モンゴル、米国アリゾナ州、豪州の半乾燥地の草原において地表面スペクトルおよびバイオマスの実測を行い、植生指標と植生被覆率か らバイオマス高精度推定が可能であることを示した。これに伴い、従来不可能であった大面積のスペクトルおよびバイオマスの実測手法を確立し、砂漠化モニタ リングへの応用も可能にした。また、衛星センサによる多角観測データから植物の立体構造を反映する新たな植生指標を開発するとともに、全球をカバーする大 容量時系列衛星データ作成を短時間で可能とする分散処理手法を開発した。
 

オホーツク海氷の実態と気候システムにおける役割の解明

研究代表者(所属)
若土 正曉 (北海道大学 低温科学研究所 教授)
概要
オホーツク海の実態把握と、同海における大気-海洋-海氷システムを明らかにすることが本研究プロジェク トの目的である。ロシアの協力を得て、今まで進入することさえ不可能であった北西部大陸棚域を含めた、オホーツク海ほぼ全域における本格的な海洋観測や、 航空機を用いた海氷域上での大気・海氷観測、さらには、砕氷船による海氷域観測など、いずれもオホーツク海では最初の、「現場観測」の実施によるデータ取 得に最大の力点をおいた研究を推進してきた。研究対象が広範囲にわたることから、米国からワシントン大学海洋学部、スクリップス海洋研究所、ロシアから極 東水文気象研究所、太平洋海洋研究所、大気観測局などの研究者・技術者の参加により実施された。

 

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