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研究開発成果の定着に向けた取り組み 多様化する嗜癖・嗜虐行動からの回復を支援する
ネットワークの構築

石塚 伸一 龍谷大学 法学部 教授

概要

これまで、アディクション(嗜癖・嗜虐行動)からの回復において、当事者の主体性を尊重しながら支援者や協力者がそれぞれの立場から力をあわせる、 “えんたく”という回復支援スキームを開発し、実践してきました。また、ステークホルダーが協働する支援者のネットワーク構築に努めてきました。 今後は、一般社団法人刑事司法未来を中心に “えんたく”の普及と担い手の育成に努めます。

事業の目的

本事業の理念は、多様なアディクション(嗜癖・嗜虐行動)からの回復を支援する個人やグループの緩やかなネットワークを構築し、専門家や地域社会が“理性ある隣人(reasonable neighbor)”として支援することによって、最終受益者である当事者やその家族等がアディクションから“立ち直り”、「その人らしい生き方」を回復することができるという展望を社会に示すことである。
本事業が成功すれば、アディクションという問題を抱える当事者または家族等は、ATA-net(Addiction Trans-advocacy Network)のワンストップ相談に連絡し、トレーニングを受けたコーディネーターに相談する。コーディネーターは、当事者、家族、隣人、雇用主(教員)、福祉職員、ソーシャルワーカー、学識経験者等の支援者に声をかけ、当事者中心の“えんたく”を開催して、当事者の課題を共有する。支援者たちは、他の支援者と連携を取りつつ、当事者の“孤立”を解消する方向性を見つけ出し、穏やかに回復を支援する。
また、地域社会で依存問題が流行しているような場合には、家族や隣人、支援者や専門家等に声をかけ、可能であれば当事者を交えて、協働者も加わった“えんたく”を開催し、課題を共有して、継続的な話し合いの道を模索する。参加者たちは、問題状況への理解を深めながら、地域社会としてできることを共に考えていく。その際、必要があれば、行政や議会に働きかけて、事態改善のため法令等の改正や施策の改善を求める。
本事業の目的は、上記のような“えんたく”を全国に広げていくことである。

事業内容

“えんたく”を全国に普及させ、“えんたく”としてブランド化し、その知名度を向上させることにより、研修(初級)の参加者を増やし、より高度な研修(中級)を受講することを奨励し、その修了者には“えんたく”をコーディネートする資格を認める。コーディネーターには、毎年、継続研修受講とその技術と能力のリカレントを求める。このようにして養成されたアディクション回復支援専門家の全国的ネットワークを組織し、アディクションからの回復を支援する者たちを組織化する。

実施体制

ATA-net (Addiction Trans-advocacy Network)の活動を続けていくために設立した一般社団法人刑事司法未来(代表理事 石塚伸一)が主体となって事業を実施する。

目指す社会の姿/今後の課題

6年間のプロジェクト活動を通して、わたしたちは、最終的に“えんたく”とは「当事者(困っている人)」と「ステークホルダー(放っておけない人)」が課題を共有し、当事者の主体性を尊重しながら当事者によりそいながら、支援者や協働者をつなぎ当事者の回復する力をエンパワーメントするものであると定義づけました。“えんたく”を広げて、当事者やその家族等が「その人らしい生き方」を回復することができるという展望を社会に示していきます。

問い合わせ先

一般社団法人 刑事司法未来
info[at] cjf.jp ※[at]は@に置き換えてください。