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研究開発成果の定着に向けた取り組み 養育者支援によって子どもの虐待を低減する
システムの構築

友田 明美 福井大学 子どものこころの発達研究センター 教授

概要

福井大学子どものこころの発達研究センターでは「子ども虐待の発生メカニズム及び養育者支援に資するための科学的根拠」を研究し、さらに、この研究成果を現場でどう活用できるか、大阪府こころの健康総合センターを中心に自治体職員と検討を進めてきました。そして、職域や領域にかかわらず「マルトリートメント(大人から子どもに対する避けたいかかわり:マルトリ)」の概念を理解し、予防に取り組むことを目指して、研究成果にもとづく資材を枚方市・豊中市とともに開発しました。資材は「マルトリ予防WEBサイト」から無料で取得ができます。同サイトにアクセスした人が「マルトリ予防」「とも育て」を学習し、これらの概念を普及する担い手となることで「マルトリ予防モデル」を各地に広げます。

事業の目的

虐待より広義の「マルトリートメント」は、全ての家庭に起こり得る身近なものであり、科学的知見からも、脳の発達や将来の心身の健康にも影響することがわかっている。全ての市民が「マルトリ」の概念を共通理解し、気づき、「とも育て(きょうどう子育て)」の意識でかかわることで、養育者が「安全安心に子育てができる地域づくり」を理念に、「マルトリ予防®」「とも育て®」の言語と概念を全国に普及させることを目的とする。

事業内容

「マルトリ®」や「とも育て®」などの概念に対する認知度の低さや、同じ言葉でも専門領域(母子保健、精神保健、児童福祉など)により、その認識に差があるという現状から、「マルトリ予防®」「とも育て®」などの短い言葉を使用し、領域や、職種・専門性にかかわらずに共通言語・概念として広めるためにプロジェクトで開発した「支援者向け研修プログラム」「支援者向けQ&A集」「市民向け啓発資材」などを活用した「マルトリ予防モデル」システムを全国に普及する。

実施体制

一般社団法人日本家族計画協会(JFPA)がもつ全国規模の普及事業や支援者向け研修などを通して「マルトリ予防モデル」システムの中心となる「マルトリ予防WEBサイト」の活用を紹介し、「マルトリ予防®」「とも育て®」の共通言語や概念を全国に普及していく。

目指す社会の姿/今後の課題

この事業は、子どもの発達支援にとどまるものではなく、マルトリが全市民の心身の健康に大きく影響していることを啓発していくことに他なりません。妊婦や家族が「マルトリ予防®」や「ほめ育て」の意義を理解し、自らが幼少期に受けたマルトリによるトラウマから子育てストレスや不安が起きていることに「気づき」「見える化」することで対応の仕方を理解します。また、困難を感じたときには相談できる支援者との信頼関係が結べることで、自己肯定感が育まれ、我が子への虐待リスクも軽減されます。
そして最終的には、一般市民全体に「マルトリ予防®」「とも育て®」に関する概念の理解が広がり、養育者や支援者を「とも育て」出来る「安全安心に子育てができる地域づくり」を全国に普及することが、本PJの最終目標です。
※「マルトリ予防®」「とも育て®」は福井大学の登録商標です。

問い合わせ先

福井大学子どものこころの発達研究センター
〒910-1193 福井県吉田郡永平寺町松岡下合月23−3
TEL:0776-61-3111
atomoda[at]gmail.com  ※[at]は@に置き換えてください。