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マネジメントの現場から

2014年5月9日(金)~10日(土)  サイトビジット(佐藤プロジェクト)報告

 平成24年度に採択された佐藤プロジェクトへの2度目のサイトビジットを実施しました(於:福島県二本松市)。1度目はこちら
   佐藤プロジェクトの主要コミュニティである浪江町は、福島第一原子力発電所事故により広域への分散避難を余儀なくされています。さらに浪江町を取り巻く環境は時々刻々と移り変わり、当初の見込み以上に長期的な避難が求められる状況になりつつあります。政府も、早期全員帰還の方針を転換しました(平成25年12月20日付閣議決定
 このように状況に翻弄される中で、佐藤プロジェクトでは、浪江町の外に分散して形成された町外コミュニティを包括的につなげる「ネットワーク・コミュニティ」のデザインを、避難されている町民の方々と進めています。

 今回のサイトビジットでは2日間に渡り、現地でプロジェクトの進捗状況を確認すると同時に、携わられている現地の方々の声を伺ってきました。
 初日は、まず、佐藤プロジェクトの全体会議に参加しました。浪江町をめぐる各種現状の報告の後、佐藤プロジェクトによるグループごとの進捗状況報告となりました。状況の変化に合わせ、町外コミュニティのデザインに焦点が当てられ、避難元と避難先の住民が連携してまちづくりを行う「連携復興まちづくり」を中心にまとめた浪江宣言14・05が紹介されました。そして、分散したコミュニティを結びつけるツールとして、移動サービス「新ぐるりんこ」の社会実験、地域包括情報システム構築のためのコミュニティーリーダーの育成等の取り組みが報告されました。これらの報告を受けて、原田雄一氏(浪江町復興塾長)からは「住民自身が主体性を持ってコミュニティに対するビジョンを持つことが重要」、川村博氏(NPO法人Jin代表)からは「主に生活力がない方を対象としたインフォーマルなサービスを充実させる仕組み作りが課題」との指摘がありました。
 その後、杉内多目的運動広場の仮設住宅にある浪江町サポートセンター杉内に場所を移し、実際に新ぐるりんこを利用されている高齢者の方のお話を伺いました。便利でありがたいとの声がある一方で、遊びに行くには申し訳ないとの声もあり、コミュニティの交流を目指す「新ぐるりんこ」を活用してもらうにはどうしたらよいか、いくつか提案がだされました。
 保健、医療、社会教育、福祉等の増進を目指して活動を続けるNPO法人Jinの現在の活動状況をお聞きした後、メンバー全体を交えた意見交換会となりました。ここでも、避難元と避難先を交えた町外コミュニティの形成に焦点が当てられました。避難元と避難先による連携した復興まちづくりは、公営復興住宅への移住が進むと更に重要となり、原田氏からは「コミュニティは閉じたものであってはならない」とのコメントがありました。全体を通じて、伝統・料理・芸能といった浪江町の文化を維持しながら、浪江町の方々が地域に溶け込みつつ、帰郷に向けた取り組みを続けるという方向性を感じるとることができました。


二日目は、浪江町復興まちづくり協議会に参加しました(於 福島県男女共生センター会議室)。各地域から自治会長が集まり、原田雄一氏のファシリテートの元、さまざまな意見が交わされました。午前中は浪江宣言14・05の概要の説明後、神長倉豊隆氏(NPO法人新町なみえ理事長)から、農業・商業など復興コミュニティに向けたプラットホーム構築について述べられ、高齢者でも様々な形で社会と関わりを持つことの重要性が強調されました。意見交換では、特にソフトの面を整備しなければならないとの指摘がありました。人の気持ちをどうつなげて、ハードにつなげるか。コミュニケーション、打合せ、仕掛け作り。そのために、住民が具体的に声を上げ、大きな力にまとめあげ、動きを見せることが重要であることを改めて実感しました。午後の部では、午前の内容を踏まえた総合討論のあと、本領域の平成22年度採択プロジェクト「ICTを活用した生活支援型コミュニティづくり」の取り組みが紹介され、避難地域でのみまもりに関して意見交換となりました。被災の有無に関わらず、コミュニティとしての互助機能の重要性を確認できたように感じました。 両日とも、「住民が具体的に動く」「元(浪江町)のつながりを維持したまま地域に溶け込む」の2点に言及されていました。地域の状況は様々ですが、佐藤プロジェクトでの取り組みは、住民主導のワークショップのあり方、分散したコミュニティの再生等、示唆に富むものではないかと、感じました。


今回のサイトビジットでは、浪江町民が避難されている二本松市に伺いました。

佐藤プロジェクトの取り組みをグループごとにご報告いただきました。

杉内仮設住宅にて、新ぐるりんこ登録会員の方々とお話をしました。

地域の方々も交え、意見交換の場となりました。

プロジェクトの支援のもと、浪江復興まちづくり協議会が開かれました。


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