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アジア開発銀行 SATREPSインドネシアCCSプロジェクトに出資へ〜地球国際室の水間英城参事役がMOUに調印
2013年06月18日 インドネシア・ジャカルタ市 PERTAMINA本社


MOUを前に記念撮影に応じる署名者たち。右端は水間参事役

平成23年度採択SATREPSプロジェクト「インドネシア中部ジャワ州グンディ・ガス田における二酸化炭素の地中貯留及びモニタリングに関する先導的研究」(研究代表者、松岡俊文・京都大学教授)に対し、アジア開発銀行(ADB)がジョイントで出資する足かがりとなる覚書(MOU)の調印式が06月18日、インドネシアの石油ガス会社PERTAMINAのジャカルタ本社で行われました。SATREPSはこれまでに78プロジェクトが採択(条件付き採択を含む)されていますが、国際機関や企業など他のファンドが参入したプロジェクトはこれまでになく、実現すれば初めてのケースとして注目されます。

同プロジェクトは東南アジアで初めての二酸化炭素の地中貯留(CCS)と、その管理や漏えいモニタリングに関わる技術開発を目指しています。しかし、地中貯留そのものはSATREPSの枠組みを超えた大規模な取り組みで、石油・ガス採掘に伴う費用弁済か、他のファンドが必要とされていした。また、本プロジェクトは2012年07月から5年間ですが、地中貯留が実現するか否かでプロジェクト期間が見直される可能性もありました。

この度締結されたMOUによると、ADBがバンドン工科大学(ITB)に出資し、グンディ・ガス田におけるCO2貯留の実現可能性を調査します。その結果、地中貯留のサイトが決まり、インドネシア政府からの要請があれば、ADBが地中貯留に伴う費用を負担するとしています。ADBはすでにCCSのパイロット事業費として1000万〜1200万米ドルをインドネシア政府に出資できると表明しており、これが実現すれば、最大のネックだった地中貯留が実現し、プロジェクトが5年間存続する可能性が高くなります。

MOU調印式には、メーン署名者の▽PERTAMINA採掘部門の責任者のムハマド・フセイン氏▽ADBの気候変動専門官のプラディープ・タラカン氏▽JICAインドネシア事務所長の佐々木篤氏―のほか、Witness署名者の▽インドネシア・エネルギー鉱物資源省石油ガス総局長のエディ・ヘルマントロ氏▽同国教育省高等教育総局長のジョコ・サントソ氏▽同国国家開発計画局のモンティ・ギリアナ氏▽JST地球規模課題国際協力室長(参事役)の水間英城氏―の全署名者が出席しました。研究代表者の京都大の松岡俊文教授、インドネシア側の研究代表者(ITB副学長)のワワン・グナワン氏が見守るなか、全員がサインを行いました。

ADBのタラカン氏は昨年9月、同事業に対する出資の意思を表明しましたが、それからすでに9ヶ月が経過しています。この間、MOUの内容を巡り、関係機関と折衝を繰り返してきました。タラカン氏は「長い道のりを経て、この日を迎えることができて感慨深い。プロジェクトを前に進めていくため、今後もみなさまの協力をお願いしたい」とあいさつしました。

ADBが出資を申し出た背景には、ベトナム、タイ、フィリピン、インドネシアの東南アジア4カ国で進めてきたCCSの実現可能性調査があります。その結果、インドネシアがCCSの最有力国となり、石油ガス開発局にADBが協力を求めたところ、当時スタートしたばかりのSATREPSプロジェクトと合流するように求められ、今回のジョイントに至ったという経緯があります。今回の調印式で、日本からの渡航者も含め、署名者全員が一堂に会したことは、プロジェクトに対する関係者の期待が大きいことを示しており、今後、プロジェクトが順調に展開し、大きな成果に結び付くことが期待されています。

  • 【関連するリンク】
  • SATREPS
  • http://www.jst.go.jp/global/
  • 地球規模課題対応国際科学技術協力(Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)の略語。独立行政法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA)が共同で助成し、地球規模課題解決のために日本と開発途上国の研究者が共同で研究を行う3〜5年間のプログラムです。39カ国78のプロジェクトが実施されています。
  • SATREPSプロジェクト
  • 『インドネシア中部ジャワ州グンディ・ガス田における二酸化炭素の地中貯留及びモニタリングに関する先導的研究』
  • 研究代表者 松岡 俊文(京都大学 大学院工学研究科 教授)
  • http://www.jst.go.jp/global/kadai/h2305_indonesia.html
  • インドネシアでは、2020年までにCO2を26%削減することを計画しています。しかし、ガス田から天然ガスを採掘する際に空気中に放出される大量のCO2が問題視されています。そこでCO2の直接的な削減法として、採掘の際に出たCO2を回収して地中に封じ込めるCCS(Carbon Dioxide Capture and Storage)技術の体系化を目的に、中部ジャワ州で開発の始まるグンディ・ガス田において、CO2の地中貯留およびモニタリング技術の研究開発を進めています。
  • 具体的にはCCSの適用に不可欠なガス田の深部地層の地質評価技術の開発があります。また地下でのCO2の分布や挙動を知るためのモニタリング技術の研究開発も行う予定です。その成果により、天然ガスの生産に伴って発生するCO2を安全に地中貯留するCCS技術を体系化し、地球規模のCO2削減に貢献します。