科学技術振興事業団報 第355号
平成15年9月16日
埼玉県川口市本町4−1−8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報室)
URL:http://www.jst.go.jp/

天然物をベースとした環境に優しい植物成長調整剤を開発


 科学技術振興事業団(理事長 沖村憲樹)は、瀬戸秀春氏(理化学研究所 植物機能研究室 先任研究員)ならびに禿(かむろ) 泰雄氏((有)バル企画 代表取締役)らの研究成果である「植物成長調整剤ジャスモン酸誘導体」を当事業団の委託開発事業の課題として、平成8年3月から平成15年6月にかけて日本ゼオン株式会社(代表取締役社長 古河直純、本社 東京都千代田区丸の内2-6-1、資本金 24,211百万円、電話:(03)3216-0542)に委託して開発を進めていた(開発費約8億円)が、このほど本開発を成功と認定しました。

(開発の背景)

 現在、各所で天然物を中心に新規の植物成長調整剤の研究が盛んになっています。しかし従来の植物成長調整剤は対象作物が限定されたり、作用効果も限られたものが多いなどの課題がありました。このため、幅広い作物に成長を促進させる効果を示し、かつ低温障害に対する抵抗性の付与などさらなる作用効果を持つ植物成長調整剤の実現が望まれていました。

(開発の内容)

 ジャスモン酸は、熱帯・亜熱帯産のモクセイ科植物であるジャスミンに含まれる天然の化合物であり、近年、その多様な植物生理作用についての研究が進み、新しい植物ホルモンとして認知されつつあります。
 新技術の研究者らは、ジャスモン酸の使用濃度を選ぶことにより、成長促進作用と抑制作用の使い分けが可能であることを見いだし、ジャスモン酸誘導体が植物成長調整剤として活用できる可能性を見いだしました。
 本開発では、分子構造を部分的に変えた各種のジャスモン酸誘導体を合成して実際の農場で有効な物質を探索した結果、植物への強い成長促進作用等を維持しつつ、農場で実用的に使用し得る新規のジャスモン酸誘導体(プロヒドロジャスモン)を見いだしました。さらに、薬効・薬害試験や安全性試験、環境への影響試験、残留性試験等を実施し、プロヒドロジャスモンを農薬登録するに至りました。

(開発の効果)

 プロヒドロジャスモンは低濃度でその効果を発揮し、環境に優しい安全な農薬であるため、今後、果実の収穫時期制御、着色促進への活用、さらに、果樹や茶の晩霜害防止、穀類やイモ類、野菜類などへの適用拡大が期待されます。

本新技術の背景、内容、効果の詳細
写真1:ジャスモン酸誘導体(PDJ,プロヒドロジャスモン)によるリンゴ(つがる)の着色促進
開発を終了した課題の評価


 (注)この発表についての問い合わせ先は以下の通りです。
科学技術振興事業団 開発部 開発推進課 菊地博道、永田健一[電話(03)5214-8995]
日本ゼオン株式会社 化学品販売部 腰山雅巳[電話(03)3216-0542]

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