4.研究開発課題の個別評価 (9)機能性低分子を分散させた高分子制振材料

研究成果最適移転事業成果育成プログラムC(プレベンチャー)
(旧:新規事業志向型研究開発成果展開事業)
平成11年度採択課題事後評価報告書

平成14年12月

研究成果最適移転事業成果育成プログラムC(プレベンチャー)評価委員会
(旧:新規事業志向型研究開発成果展開事業選考評価委員会)

4.研究開発課題の個別評価

(9)機能性低分子を分散させた高分子制振材料

リーダー 住田 雅夫(東京工業大学大学院理工学研究科 教授)
サブリーダー 三浦 正

1 )) 研究開発の概要
 高分子材料の中に圧電性、誘電性、導電性を持つ低分子を加えることにより、振動エネルギーを電気エネルギーに変換し、さらに熱エネルギーに変換することにより振動を効率よく抑えることが可能かつ軽量な制振材料を開発する。自動車用の軽量制振材料や建築用の効果の高い防音材料としての利用が期待される。

2 )) 事後評価内容
A)成果
 材料特性として、損失係数(tan δ)が1.5以上で音響透過損失が3dB以上の性能で、高損失弾性率、性能劣化が小さい性能を有する構造材料を構築することを目標として研究開発を進め、これを達成した。また、開発材料の物性・構造解析を行うことで制振特性を支配する物性・構造因子の同定を行い、今後の高性能製品開発および高効率生産の実現に道筋をつけた。これらの成果をもとに、株式会社タイテックスジャパンを設立した。
 特許出願数:4件

B)評価
計画の達成度: 広範な周波数領域において、目標とする音響透過損失が達成された。
知的財産権: 材料、製造、用途等の特許を計4件出願し知的財産権の確保につとめた。今後の製品化の中でそれらの特許をどう活用していくかが課題である。
起業化計画: スポーツ用品から建設、自動車まで対象にしているが、事業初期にはもっと対象を絞り込む必要がある。特に代替品として商品を考える場合、コスト面の壁が大きいことを考慮すべきである。
新産業創出: 多くの制振材料は、価格の壁で挫折している。これならいけるという対象も絞りこまれておらず、このままでは大きな市場の創造は難しい。
総合・その他: ユニークな発想の技術であり、価格と性能のバランスが鍵である。このような材料開発ではこれぞという用途開発が不可欠であるが、具体的に見えていない。早急に有望な特定商品に絞り、集中的な商品化開発とマーケティングを同時に進める必要がある。

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