4.研究開発課題の個別評価 (6)紫外光による屈折率制御した光学用高分子材料

研究成果最適移転事業成果育成プログラムC(プレベンチャー)
(旧:新規事業志向型研究開発成果展開事業)
平成11年度採択課題事後評価報告書

平成14年12月

研究成果最適移転事業成果育成プログラムC(プレベンチャー)評価委員会
(旧:新規事業志向型研究開発成果展開事業選考評価委員会)

4.研究開発課題の個別評価

(6)紫外光による屈折率制御した光学用高分子材料

リーダー 宮田 清蔵 (東京農工大学 学長)
サブリーダー 梁 傅信

1 )) 研究開発の概要
 紫外線の照射強度により屈折率の変わる新しいニトロン系光感応性高分子を用いた屈折率分布型高分子光ファイバ、導波路、平面レンズ等の光学材料を開発する。異なる材料の多層構造により屈折率分布を持たせたものであり、オフィスや家庭内の光通信ファイバとして利用が期待される。

2 )) 事後評価内容
A)成果
 ニトロン系高分子の光ファイバに関しては、透明度はかなり向上し、紫外光照射条件を明らかにしたものの紡糸技術確立の課題が残った。ガラス上に上記高分子薄膜を付け、マスクと紫外光照射を組合せ、光導波路および回折格子が製作できることを実験的に確認した。膜材料について、伝送損失の少ない品質のものを得る見通しを得た。ニトロン系高分子合成法の改良については、合成時間の短縮および収率の大幅な向上を達成し、コスト低下の見通しを得た。また、これまで実験レベルであった本材料について、事業化レベルまではいかないものの、量産化のための生産性向上を達成できる見通しを得た。これらの成果をもとに、超技術開発者集団株式会社を設立した。
 特許出願数:6件

B)評価
計画の達成度: 当初目標とした光ファイバ開発の達成度は十分ではないものの、導波路・回折格子に対象を絞って開発を進めたのは適切であったが、製造法、マーケット開拓等の課題は残った。
知的財産権: 関連特許として、ポリマー光学成形体の屈折率制御法、他5件を出願中であるが、今後デバイスなどへの利用を含め応用面での特許出願が必要である。
起業化計画: 具体的なマーケット、材料販売か製品販売かがはっきりしておらず、その点で起業化計画は十分とはいいがたい。
新産業創出: 屈折率制御した高分子材料という新規な材料を活用した光学材料および光学部品であり、技術の大幅な改良とマーケットの開拓が進めば、光通信用への応用等、新産業の創出の期待度は大きい。
総合・その他: 開始した時期は、米国の光通信バブル景気の最中であり、その後のバブルが崩壊以後の環境の変化等で、光ファイバ分野への適用を断念したのは止むを得ないが、今後、可能性のある導波路と回折格子について、事業化に向けた調査を進めることを期待する。
研究者集団として起業したことを基本として、地道な活動により得られる優れた研究シーズを生かし、当初の目標を達成していくことを期待する。

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