4.研究開発課題の個別評価 (7)酵素抽出コラーゲンを用いた神経再生用医療用具

研究成果最適移転事業成果育成プログラムC(プレベンチャー)
(旧:新規事業志向型研究開発成果展開事業)
平成11年度採択課題事後評価報告書

平成14年12月

研究成果最適移転事業成果育成プログラムC(プレベンチャー)評価委員会
(旧:新規事業志向型研究開発成果展開事業選考評価委員会)

4.研究開発課題の個別評価

(7)酵素抽出コラーゲンを用いた神経再生用医療用具

リーダー 清水 慶彦(京都大学再生医科学研究所 教授)
サブリーダー 多根井 文男

1 )) 研究開発の概要
 従来行われている神経移植とは異なり、損傷神経を再生するための医療用具を開発する。生体内吸収材料であるポリグリコール酸のチューブの中央に、神経の再生を誘導する3次元の不織布状構造を持つコラーゲンを用いている。外傷等により損傷、切断された末梢神経の再生あるいは脊椎損傷の治療への利用が期待される。

2 )) 事後評価内容
A)成果
 臨床用末梢神経再生用神経管について製品を試作した後、安全性と効能を確認し、量産化の目処を確立するとともに、ヒトについての臨床例を実証した。中枢神経再生治療技術及び中枢神経再生用神経管の開発については、間葉系幹細胞から神経細胞を誘導する方法を開発し、動物実験で成功を確認した。また、新規に特許を申請し、神経損傷に関連する市場調査の観点から、臨床関係の実情調査を実施し、末梢神経関連の国内市場規模に関する見通しを得た。これらの成果をもとに、株式会社リメラを設立した。
 特許出願数:1件

B)評価
計画の達成度: 既存の再生医療技術を補うものとして、先ず末梢神経の再生に応用出来る資材を開発し、実験動物及びヒトでの有効性を確認したことから、目標は十分に達成した。また、ベンチャー企業としてこれらの医療用具を生産する為の環境が整えられ、一定レベルのサンプルについて量産化する目処がついた。
知的財産権: 原特許に加えて、神経管関連の特許申請がなされているが、今後、さらに製造特許を含め周辺特許を固める必要がある。
起業化計画: 技術、人材、施設、財政的資源などに関し配慮がなされており、改正薬事法への対応など、スケジュールの具体的性、費用計算、医療用具の製品化等を考慮した起業化計画は妥当である。但し製造認可を得るまでの数年間に必要な運転資金手当てをどう対処するかが残された直近の課題である。
新産業創出: 再生医療という新しい分野で、本成果は世界的な業績であり、世界をリードする国産技術に基づいた製品として新産業創出の期待度は大きい。
総合・その他: この様な生体適合性を考慮した新しい資材の開発が、再生医療技術の応用を促進することになれば、他の多くの起業家の開発意欲と活動を刺激する事になる。他方、将来、再生医療分野で、この種の機能性を持った補助用資材の有用性の認識が広まると共に、材料や製品の構造、製造技術等について、多様な発想の可能性がある。企業として成長するために、先発メーカーとして商品の品質とコストの両面で他の追随を許さない態勢を期待したい。

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