4.研究開発課題の個別評価 (5)アルブミン回収型腹膜透析オートサイクラー

研究成果最適移転事業成果育成プログラムC(プレベンチャー)
(旧:新規事業志向型研究開発成果展開事業)
平成11年度採択課題事後評価報告書

平成14年12月

研究成果最適移転事業成果育成プログラムC(プレベンチャー)評価委員会
(旧:新規事業志向型研究開発成果展開事業選考評価委員会)

4.研究開発課題の個別評価

(5)アルブミン回収型腹膜透析オートサイクラー

リーダー 竹澤 真吾(鈴鹿医療科学大学医用工学部 教授)
サブリーダー 酒井 旭

1 )) 研究開発の概要
 腹膜透析の排液からアルブミン等を分離し、これを透析液に戻すことで従来の腹膜透析で用いているブドウ糖の使用量を少なくすることができる腹膜透析装置を開発する。高濃度ブドウ糖を使わないため長期利用が可能、かつ家庭用のコンパクトな腹膜透析液循環器として利用が期待される。

2 )) 事後評価内容
A)成果
 腎不全患者のクオリティライフ(生活の質)に資する改良型腹膜透析の手法と装置を開発するとともに、臨床的な試行も実施された。無菌コネクタ等の要素技術ついては今後開発を必要とする。装置および化学的処理法についての特許は出願された。これらの成果をもとに、株式会社メディカルシードを設立した。
 特許出願数:3件

B)評価
計画の達成度: 当目標とする機能を有する装置を完成し、臨床的な試行も実施し、目標はほぼ達成した。小型化等のユーザー志向の商品化に向けてブラッシュアップが必要である。
知的財産権: 国際特許を含め、装置および化学的処理法についての基本的な特許が取得されており、優位性は保たれている。競合出現を前提とした特許戦略が今後必要となる。
起業化計画: 臨床的な試行例からはよい評価が得られているが、治験や市販承認などを考えると、有力企業との提携などが必要であり、ビジネス戦略面での強化のためにも、事業化に精通して精力的動ける人材の確保が必要である。
新産業創出: 日本発の医療機器が少ない中で、国際的にオリジナリティのある構想であり、医療の効率化、在宅医療への希求等、患者のニーズに合致した方向を志向している。さらに、当初の目標を超えて血液透析への活用も考えられるなど、新しい医療技術産業創出への期待は大きい。
総合・その他: 本課題では腹膜透析中に腹水中のアルブミンを回収し、従来のブドウ糖の代わりにアルブミンを用いて除水するという原理に基づいて作製された、数少ない日本発の画期的医療技術である。今後、事業化のために、迅速な企業との提携、治療・承認などへの戦略が望まれる。現段階では幾つかの課題が残されているが、これを解決し成功する可能性は高い。

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