4.研究開発課題の個別評価 (4)抗肥満・抗脂血症薬

研究成果最適移転事業成果育成プログラムC(プレベンチャー)
(旧:新規事業志向型研究開発成果展開事業)
平成11年度採択課題事後評価報告書

平成14年12月

研究成果最適移転事業成果育成プログラムC(プレベンチャー)評価委員会
(旧:新規事業志向型研究開発成果展開事業選考評価委員会)

4.研究開発課題の個別評価

(4)抗肥満・抗脂血症薬

リーダー 鈴木 邦夫(理化学研究所 前肥満・脂血症研究ユニットリーダー)
サブリーダー 金子 恭庸

1 )) 研究開発の概要
 腹腔内脂肪及び血清脂質を減少させる作用を有する化学物質である5‐カンペステノン及びフィトステノンを用いた新しい作用機序を持つ効果の優れた抗肥満・抗高脂血症薬を開発する。今後増加が予想される肥満や高脂血症のより効果的な治療薬として期待される。

2 )) 事後評価内容
A)成果
 ラットを用いた実験で、安全な抗肥満薬となりうることを証明し、2型糖尿病の予防、治療効果を示すデータを取得した。その作用は2型糖尿病の増悪因子である血液中の遊離脂肪酸の低下に関係することを示唆し、この成果により「血糖降下作用」の特許出願に至った。また、競合技術・競合他社の調査の結果、5-カンペステノンは副作用などの面で安全性が高く、投与が容易であることから、新薬として期待できることが明確となった。研究開発期間中に行った調査結果から、5-カンペステノンに特徴的な薬効プロフィールに類似する医薬品はなく、優位性が高いと判断され、最先端の治療薬になる可能性を見いだした。これらの成果をもとに、有限会社テクノフローラを設立した。
 特許出願数:2件

B)評価
計画の達成度: 当初の予定である新薬となりうる物質の実証がほぼできたことに加えて、血糖降下作用も発見しており、達成度としては高いが、医薬承認の見込み、長期の安全性の問題、申請特許の成立などの課題が残っている。
知的財産権: 出願されている特許は、先行特許があるものの、調査の結果特に問題なく、特許成立の可能性は高く、国際出願もなされている。今後は事業を強化するため、さらに周辺特許を固め、強力なパテントポートフォリオを考えることが望ましい。
起業化計画: 製薬をターゲットとした事業計画であり、パートナーとの共同開発が前提となっている。計画実現に向けたスケジュールを明確にして、積極的に取り組んで欲しい。
新産業創出: 本課題はニーズの高い製品であり、事業の将来性が期待できるものである。先行品・競合品があり難しい面もあるが、今後事業計画を進めることで、製品の期待度は大きくなる。
総合・その他: 今後、ベンチャー企業として事業を成長させていくためには、大手製薬会社との提携、資金調達、特許成立の可否、医薬承認等の課題解決について積極的に進めることが必要な段階である。そのために、安全性確認試験や前臨床に取り組むことが必要であるが、資金的に十分でないため、活動を早く進めるためにも資金調達に工夫が必要となる。リーダーの所属機関との協力体制と支援が今後重要となる。

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