4.研究開発課題の個別評価 (3)精密微調機構用圧電アクチュエータ

研究成果最適移転事業成果育成プログラムC(プレベンチャー)
(旧:新規事業志向型研究開発成果展開事業)
平成11年度採択課題事後評価報告書

平成14年12月

研究成果最適移転事業成果育成プログラムC(プレベンチャー)評価委員会
(旧:新規事業志向型研究開発成果展開事業選考評価委員会)

4.研究開発課題の個別評価

(3)精密微調機構用圧電アクチュエータ

リーダー 宗片 睦夫
サブリーダー 樋口 俊郎(東京大学大学院工学系研究科 教授)

1 )) 研究開発の概要
 圧電素子と空気圧シリンダを組み合わせ、粗動・微動機構を一体化した、小型かつ高精度のアクチュエータ(位置決め機構)を開発する。発光・受光素子と光ファイバ、導波路との位置あわせやレンズやミラーなどの光学部品の組立の際の光路、光軸調整のためのアクチュエータとして利用が期待される。

2 )) 事後評価内容
A)成果
 開発したペンシル型圧電アクチュエータは、1億回作動後の性能劣化も発生せず、高精度(10nm)のシステムとして機能した。積層型圧電素子に関する開発は、試作を終了した。各種製品開発関係として、電源、コントローラの開発が完了し、ニーズに応じた多様化の段階に移行可能である。試作した微動ステージの性能は、目標に近い性能であるこが確認できた。起業化に向けた各種調査により、慣性力を用いた芯打アクチュエータ、芯打ち装置は既存製品と比較してもメリットを有し、ユニークであることが分かった。微動ステージに関しては、競合も多く性能面での競争が厳しいことが判明した。また、広範な市場展開の可能性が示され、展示会への出展においても期待の持てる反応が得られた。これらの成果をもとに、株式会社ナノコントロールを設立した。
 特許出願数:8件

B)評価
計画の達成度: 圧電素子と空気シリンダを組み合わせた位置決め装置の製品化を達成し、企業を設立したことから目標を達成した。
知的財産権: 位置決め装置の特許は十分に確保された。
起業化計画: 製品が完成したことで、販売など企業としてやらなければならないことが明確になってきた。応用範囲が広い研究課題であるため、製品化については予想外の展開になる可能性もあり、必要な情報を常に収集し把握することが重要である。ベンチャーキャピタルからの資本も入り、順調なスタートと思われる。
新産業創出: ナノテク分野の期待は大きく、本技術もその一翼を担うことが期待される。ナノレベルでの制御は将来有望な技術であり、本開発成果を核として更なる開発を積み重ねることで本技術を利用する分野への貢献度は大きい。
総合・その他: 計画された製品ができたということで目標を達成したといえる。多くのメーカーあるいはベンチャーキャピタルに声をかけ、援助を求め、資金を集めた行動力は、起業家として評価される。

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