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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムA(権利化試験)
における平成12、13年度採択課題の事後評価報告書


平成16年6月
独立行政法人科学技術振興機構
科学技術振興審議会技術移転部会権利化試験評価委員会


1.事後評価の主旨
 本プログラムは、大学、国公立研究機関等で生まれた研究成果のうち実用技術への展開が期待できる基本的特許が出願されているものについて、その特許に関する周辺特許等の知的財産権の権利化を図るものである。このことにより機構の技術移転諸制度を活用した新技術の育成や実用化開発につながることを期待している。
 今回の事後評価は、課題毎に、試験の実施状況、当該試験の成果等を明らかにし、今後の成果の展開及び事業運営の改善に資することを目的として、「研究成果最適移転事業成果育成プログラムA(権利化試験)の課題評価の方法等に関する達」(平成15年10月1日 平成15年達第61号)に基づき実施したものである。
2.評価の概要
 今回の評価対象となった平成12、13年度採択課題についての評価の概要は、次の通りである。

(1) 成果として出願された周辺特許は、平成12年度採択課題(14課題)については国内71件、海外(PCT)14件、平成13年度採択課題(5課題)については国内30件、海外(PCT)10件で(いずれも評価実施時、出願手続き中を含む)、当初目標を達成することができ、また試験による貴重な技術データ等を得ることができた。
(2) 平成12年度採択課題(14課題)では7課題、平成13年度採択課題(5課題)では3課題が、機構の他のプログラムや事業につながり、実用化への道筋を付けることができた。
(3) 今後は試験の成果として出願された特許の維持管理や得られた技術データのフォロー等を通じて、実用化へつながるよう機構としてできる限りのフォローを行っていくことが必要である。
3.事業のしくみ
 基本的特許の発明者である研究リーダーが、権利化試験構想に基づき、若手研究者、企業技術者等と試験チームを編成し、基本的特許に関する周辺特許等の取得に必要な試験を実施し、実用化関連技術の蓄積を図ると共に、得られた成果について特許出願を行う。
試験期間は2年を限度とし、試験費は設備費、材料費等の研究経費、機構が雇用する若手研究者、企業技術者等の人件費、旅費等で、一課題あたり2,000~4,000万円/年である。
 試験実施場所は、原則として、研究者が所属する研究機関とし、機構は試験チームが周辺特許の戦略的な出願をするためのアドバイスおよび特許出願に伴う事務手続き等を行う。
 試験終了後、機構の技術移転の諸制度を活用し、実用化開発に繋がることを期待している。
4.事後評価の進め方
 科学技術振興審議会技術移転部会権利化試験評価委員会において、各課題の研究リーダーから提出された終了報告書を参考に、被評価者からの報告、被評価者との意見交換等により、
  (1)権利化の状況
  (2)成果の実用化の可能性及び波及効果
  (3)新産業創出の期待度
等の面から事後評価を実施した。
5.評価委員*
委員長 川田 裕郎 元 工業技術院長
委 員 荒川 守正 (株)ナード研究所 相談役
大島 泰郎 東京薬科大学 生命科学部 教授
大野 栄一 三菱電機(株)顧問
笠原 敬介 元 (株)前川製作所 副社長
梶原 孝生 元 松下冷機(株)専務取締役
金原 和夫 (株)日立製作所 名誉顧問
齋藤 省吾 九州大学 名誉教授
桜井 宏 三菱マテリアル(株)社友
桜井 靖久 東京女子医科大学 名誉教授
清水 慶彦 京都大学 名誉教授
中居 哲 元 シチズン時計(株)取締役、研究所長
中尾 義雄 元 武田薬品工業(株)醗酵生産物研究所長
長岡 仁 元 (株)新潟鐵工所 副社長、技術開発センター長
額田 健吉 (財)神奈川科学技術アカデミー 名誉顧問
古澤 満 第一製薬(株)特別参事
保刈 大治 元 (社)日本分析機器工業会技術委員会 委員長
渡辺 知之 (株)植物工学研究所 取締役社長
(順不同、敬称略)
*)平成12、13年度採択課題の事後評価を行った委員
6.評価結果
1) 研究成果最適移転事業 成果育成プログラムA(権利化試験)平成12年度採択課題の事後評価結果(別紙1)
2) 研究成果最適移転事業 成果育成プログラムA(権利化試験)平成13年度採択課題の事後評価結果(別紙2)
7.まとめ(委員長所感)
 権利化試験は、大学等の優れた研究成果を将来の実用化へつなげるために、核となる基本特許をもとに、応用的な試験研究を行い、周辺の特許を取得しようとするものである。

 平成12、13年度の採択課題は、いずれも10倍以上の高倍率の中から選定されたものである。

 今回、事後評価を実施したところ、平成12、13年度の採択課題ともに、当初の計画に対して概ね予定通りの特許出願がなされたことがわかった。しかし、なかには、新たに出願した特許の権利範囲が狭くて実用化が難しそうなものやテーマ自体が実用化までの道のりが遠いと思われるものもあった。評価委員会としては、各試験課題に対して今後の成果の発展へ向けてのアドバイスをしたつもりである。本報告書には記載されていない部分も、面接の際には各委員から助言をしたが、今後、事務局もできる限りのサポートをしてもらいたい。

 特に、これらの成果を、科学技術振興機構の他の技術移転事業に結びつけ実用化の促進を図るべきである。平成12、13年度採択課題のうち10課題は既に機構の他の事業を活用しさらなる研究開発を進めているが、他の課題についても成果が結実するよう、研究者とともにフォローしてほしい。

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This page updated on July 15 2004

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