JST(理事長 沖村憲樹)は、委託開発事業の開発課題「三次元超微細構造プラスチック光学素子」の開発結果を、このほど成功と認定しました。
本課題は、大阪府立大学名誉教授 岩田耕一氏と同大学院機械システム工学分野助教授 菊田久雄氏の研究成果を基に、平成14年2月から平成16年9月にかけてナルックス株式会社(代表取締役社長 北川清一郎、本社 大阪府三島郡島本町山崎2丁目1番7号、資本金80百万円)に委託して実用化開発(開発費約316百万円)を進めていたものです。
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(開発の背景) |
本新技術では、波長と同程度の3次元的な微細パターンをプラスチックの表面に施して、屈折率、光学異方性、光分波等をコントロールする機能の光学素子を製造します。プラスチックを射出成形することにより素子の生産性を大幅に向上することができました。従来の光学素子では、ガラス、結晶や薄膜その組合せでこれらの光学機能を持たせていましたので、生産性が上がりませんでした。これを一挙に解決することができました。 |
(開発の内容) |
本新技術では、まず基材に光学素子の機能に応じて矩形、円錐形等が特定のピッチで配置されたパターンを電子ビーム加工により描画した後、エッチング処理を行い、金型を形成します。この金型を用いて、射出成形によりパターンを転写してプラスチック素子製品を得ます。本開発では、形状歪み発生のない金型材の選択や電子ビーム銃の劣化対策等により高い加工精度を達成し、その精度を長期間安定に維持する技術を確立しました。また、光学シミュレーションにより、加工精度の製品機能への影響を算出する品質管理技術を確立しました。これらハードとソフトの技術の確立により高品質の素子の生産の見通しを得ることができました。 |
(開発の効果) |
本新技術の確立により、高機能な光学素子が安価に多量生産できることから、光多重通信における波長分離フィルター、DVD/CD等の光学系に用いられる多層コートを用いたフィルターに変わる偏光分離素子、またモバイル機器の液晶に使用する反射防止機能板等の機能性光学素子として広く利用が期待されます。
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なお、本件についての問い合わせは以下の通りです。 |
独立行政法人科学技術振興機構 開発部開発推進課
菊地博道、永田健一(電話:03-5214-8995)
ナルックス株式会社 新事業開発G ナノテク2課
岡田真(電話:075-963-3066) |
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