[海洋バイオスフィア] 海洋バイオスフィア・気候の相互作用解明と炭素循環操舵

戦略目標

海洋とCO2の関係性解明と機能利用

研究総括

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神田 穣太(東京海洋大学 学術研究院海洋環境科学部門 教授)

概要

 本研究領域では、海洋と気候のシステムの変貌と相互作用を正しく理解するとともに、海洋における二酸化炭素吸収等の人為的制御技術の研究・開発を進めて、持続可能な温暖化抑制への貢献を目指します。
 海洋はその広大な面積をもって大気と接しており、熱および二酸化炭素をはじめとする物質の交換が存在するため、地球表層の気候システムを構成する極めて重要な要素です。特に、生物活動によって駆動される海洋の炭素循環システムは、海洋内部に二酸化炭素・有機物を隔離することで、地球の温度上昇を抑制する効果をもつことが知られています。しかし、近年、この海洋環境(「海洋バイオスフィア」)において、地球温暖化による海洋の物理構造変化と二酸化炭素溶解による海水酸性化が進行し、極端な気象現象の頻発化や海面上昇、成層強化による貧酸素化や表層への栄養塩供給制限など様々な変化がもたらされていることが明らかとなってきました。この海洋の変化が全球レベルの気候にどのような影響を与えるのか、海洋と気候のシステムの変貌と相互作用を正しく理解する必要があります。
 以上を踏まえ、本研究領域では、海洋と気候の相互作用の解明に関連する研究に加え、炭素循環などの人為的制御による温暖化対策の可能性を評価・開発する研究を進めます。ローカルからグローバルまでの多様な空間スケールと地質学的な過去から未来までの多様な時間スケールにおいて、環境学、気象学、海洋物理学、分析化学、生態学、生命科学だけでなく、データ科学、人工知能、情報通信、材料・デバイス工学における様々な先端技術を用いて、観測、理論解析、数値計算、室内実験、船上実験など様々な研究アプローチにより、炭素をはじめとする物質循環の理解とその制御を目指す技術開発に貢献します。また、戦略目標の達成に向けた成果を最大化するため、CREST「海洋とCO2の関係性解明から拓く海のポテンシャル」との連携を最大限に活用して進めていきます。

 本研究領域は、文部科学省の選定した戦略目標「海洋とCO2の関係性解明と機能利用」のもとに、2023年度に発足しました。

領域アドバイザー

安部 大介 (株)ウェザーニューズ サービス統括主責任者 常務執行役員
石坂 丞二 名古屋大学 宇宙地球環境研究所 教授
小川 浩史 東京大学 大気海洋研究所 教授
河宮 未知生 海洋研究開発機構 地球環境部門環境変動予測研究センター センター長
北澤 大輔 東京大学 生産技術研究所 教授
杉崎 宏哉 水産研究・教育機構 経営企画部 理事長補佐役
鈴村 昌弘 産業技術総合研究所 エネルギー・環境領域連携推進室 連携主幹
野尻 幸宏 国立環境研究所 客員研究員
原田 尚美 東京大学 大気海洋研究所 教授
脇田 和美 東海大学 海洋学部 教授

採択課題一覧

  1. 2023年度採択課題

プログラム

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