[量子協奏] 2022年度採択課題

赤城 裕

CP^Nスキルミオニクス―スキルミオンと情報の量子統合

研究者
赤城 裕

東京大学
大学院理学系研究科
助教

研究概要

従来の磁気スキルミオンの枠組みを超えたCP^Nスキルミオンの開拓とその新規物性の解明を行います。とりわけ、CP^Nスキルミオンの制御法を確立し、近年発展著しい情報分野への展開として、両者を量子の観点から統合・応用し、CP^Nスキルミオミクスという新規分野の開拓をします。スキルミオンの操作性の高さを十全に活かし、これを演算要素とする擾乱に強い量子計算を提唱し、量子コンピュータへの応用基盤構築を目指します。

浅場 智也

チューリング機構を用いたマヨラナ準粒子の創発

研究者
浅場 智也

科学技術振興機構
さきがけ研究者

研究概要

本研究では、最近発見されたチューリング機構による原子細線作製技術を活用して、(1)イジング磁性体の原子スケールY字ジャンクション、および(2) 超伝導体に接合したグラフェン・ナノリボンを作製することを目指します。そして、走査型トンネル顕微鏡によるトンネル伝導度測定から、原子細線の接合部やエッジにおいて、トポロジカル量子計算実現の鍵となるマヨラナ準粒子の存在を示すことを狙います。

稲田 聡明

物性と時空の融合による新規量子アンプの実現

研究者
稲田 聡明

東京大学
素粒子物理国際研究センター
助教

研究概要

ブラックホールの周囲では強力な重力により時空がゆがめられ、特異な物理過程が発現します。本研究では、物性系における超光速性の分散関係を利用することで、イベント・ホライゾン型量子アンプ等の新規デバイスを実現します。これにより、メタマテリアルや微細加工技術を用いた制御性の高い量子系において、時空の物理を動作原理とする新たな情報処理デバイスの開発基盤を構築します。

遠藤 護

光周波数コムによるマルチコア光量子コンピュータプラットフォーム

研究者
遠藤 護

東京大学
大学院工学系研究科
講師

研究概要

光量子コンピュータは他手法に比べて高速化が可能な方式です。その利点を最大限に活かすべく、光周波数コム技術を応用しプロセッサのマルチコア化を行います。また、光周波数コムと光子数識別器を巧みに利用した非ガウス型量子状態生成機構を開発し、誤り訂正と万能計算が可能な光量子コンピュータプラットフォームの確立を目指します。これらの実現は超高速な量子コンピュータ実現の第一歩となります。

黒山 和幸

電荷・スピン・光子のテラヘルツ量子インターフェース

研究者
黒山 和幸

東京大学
生産技術研究所
助教

研究概要

半導体量子ドットとテラヘルツ光共振器を用いて、電子のスピン自由度とテラヘルツ電磁波とのコヒーレント結合を実現します。さらに、トポロジカル効果によって狭帯域化した光共振器を導入し、電磁波の波長を超える距離を隔てた2つのスピンをコヒーレントに結合させることを目指します。それにより、テラヘルツ帯域での回路量子電気力学をスピンに対して実現し、スケーラブルなスピン量子ビット素子のための基盤技術を構築します。

高三 和晃

非平衡物質相を利用した革新的量子デバイス技術の創出

研究者
高三 和晃

東京大学
大学院理学系研究科
助教

研究概要

近年、光誘起超伝導や時間結晶などの「非平衡物質相」を実験で実現できるようになってきました。平衡状態のルールに縛られない非平衡物質相は、物質科学の限界を突破するポテンシャルを秘めています。本研究では、これまでの非平衡物質相の基礎研究を、量子情報理論・デバイス実験技術の知見と融合・深化させることで応用研究へと転換し、量子技術実現に向けた課題を解決するための新技術を理論的に提案することを目指します。

高島 秀聡

多光子量子もつれジェネレーターの開発

研究者
高島 秀聡

公立千歳科学技術大学
理工学部
准教授

研究概要

非常に多くの光子がもつれた状態(多光子量子もつれ)は、光子を用いた量子コンピュータ、量子ネットワーク、量子計測などの量子技術の実現に不可欠です。しかし、既存の技術では、このような状態を実現することは困難でした。本研究では、共振器を組み込んだ光ファイバと単一不純物欠陥を含むダイヤモンド粒子とのハイブリッドシステムを開発することで、多光子量子もつれを生成する革新的な量子制御技術の実現を目指します。

野口 篤史

イオントラップ技術による物性の創造

研究者
野口 篤史

東京大学
大学院総合文化研究科
准教授

研究概要

レーザー冷却されたイオン・電子ハイブリッドトラップ技術を開発します。この系はトラップイオンが格子点、トラップ電子が価電子・伝導電子となり人工固体を構成します。本研究では、こうした作られた人工固体において、固体としての物性を発現させ、それを評価することを目指します。この技術開発により、人工固体による量子シミュレーション技術が確立し、また電子トラップ量子コンピュータ実現への基盤技術を提供します。

森 貴司

散逸と非平衡外場駆動の結合による量子制御の理論構築とその応用

研究者
森 貴司

慶應義塾大学
理工学部
准教授

研究概要

散逸と非平衡外場駆動の結合効果を基礎理論的な立場から明らかにすることによって、新しい量子状態制御・量子動的制御法を開拓します。将来の量子多体系の制御技術に貢献するとともに、強結合領域における量子熱力学の構築や量子情報の観点からの非平衡ダイナミクスの解明など、非平衡物理学の基礎論のさらなる探究につながる成果を目指します。

山崎 雅人

固有状態熱化仮説の破れと場の理論の量子シミュレーション

研究者
山崎 雅人

東京大学
カブリ数物連携宇宙研究機構
教授

研究概要

物理学において熱化は多体系を記述する熱力学や統計力学の基礎をなす根源的な現象です。孤立系で熱化を説明するために導入されたのが固有状態熱化仮説ですが、興味深いことにその破れの例も知られています。本研究では、固有状態熱化仮説の破れの本質に、素粒子理論や格子ゲージ理論の量子シミュレーション、ホログラフィー・重力理論等を組み合せて多角的に迫り、その量子技術への応用可能性への道筋を示します。

山田 昌彦

量子と古典の境界に挑戦する行列積くりこみ群法

研究者
山田 昌彦

東京大学
大学院理学系研究科
特任講師

研究概要

行列積くりこみ群法は全く新しい量子多体系のシミュレーション手法です。従来のモンテカルロ法の持つ負符号問題を解決し、様々な格子上でほとんどの量子模型の基底状態・有限温度状態を計算することができます。行列積くりこみ群は無限系を直接扱え、ボンド次元が無限大の極限で熱力学量を正確に求めることができます。本研究ではこの行列積くりこみ群を用いて現代物理学の様々な未解決問題にアプローチします。

Lin Chaojing

Development of integrated quantum circuits with chiral Tomonaga-Luttinger liquids

研究者
Lin Chaojing

科学技術振興機構
さきがけ研究者

研究概要

トポロジカル量子材料における創発的な準粒子は、トポロジカル系に特有の物性を示すため、特徴的な量子情報処理を実現できる可能性があります。本プロジェクトでは、整数・分数量子ホール系でのカイラルなプラズモン準粒子を利用して、結合の強いプラズモン共振器量子電磁力学や、準粒子の分数化と再結合による準粒子干渉効果を探究します。これらの研究は、新しいトポロジカル量子情報科学の創成に繋がると期待されます。

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