[次世代AI・数理情報] 2023年度採択課題

飯田 慎仁

拡散モデルによる蛋白質の立体構造集団の生成

研究者
飯田 慎仁

北里大学
未来工学部
助教

研究概要

蛋白質の立体構造に関する研究は、近年により飛躍的に進歩した。しかし、現実に形成しうる蛋白質立体構造の集合(立体構造集団)の予測は、現在の課題として残されている。立体構造集団を調べるための手段として、分子動力学法が有効であるが、計算コストが高い。そこで、分子動力学法の代替として、蛋白質のリアルな立体構造集団を生成する「機械学習モデル」を構築すること目指す。

岩口 尭史

仮想現実のための水中物体の質感計測と再現

研究者
岩口 尭史

九州大学
大学院システム情報科学研究院
助教

研究概要

本研究の目的は水中環境の写実的な映像表現の実現です.水中では空間が媒質の水で満たされており,吸収・散乱の光学現象が起こるため実環境での計測が困難です.本研究では水中の物理現象を考慮し,質感パラメータの計測,および,自由視点生成に取り組みます.また,人間の知覚に適した表現を行うために空中画像へのスタイル変換や,質感編集についても研究を行います.

岩崎 悟

空間縮約理論に基づくサロゲートモデルの解析

研究者
岩崎 悟

大阪大学
大学院情報科学研究科
助教

研究概要

本研究では偏微分方程式に対する空間縮約理論を利用して、解釈性が高く理論解析もしやすいサロゲートモデルを構築することを目指します。研究目的を達成するために、(a)複雑空間領域上の偏微分方程式に対する空間縮約理論の数学的研究、(b)提案するサロゲートモデルの数値的な学習実験、(c)提案するサロゲートモデルの汎化誤差の理論的な解析、の3つの計画に基づいた研究を行います。

大古 一聡

構造を持つデータの学習可能性解析による巨大深層モデルの理解

研究者
大古 一聡

東京大学
大学院情報理工学系研究科
技術補佐員

研究概要

現実世界のデータを低次元性と局所的な複雑性とを併せ持つものと定式化し、ニューラルネットがそれらを効率的に学習できることを最適化理論と統計理論を両立して示します。この理論を巨大深層モデルの解析に用い、事前学習での最適化から下流タスクの推論までを統一的に議論します。巨大深層モデルの成功の背後にある要素を明らかにし、モデル圧縮やデータセット構成といった実用手法への還元を目指します。

加藤 祥太

製造プロセスの専門用語と数式を理解する物理モデル自動構築AIの開発

研究者
加藤 祥太

京都大学
大学院情報学研究科
助教

研究概要

プロセス産業におけるデジタルツインの実現には対象プロセスの物理モデルが必要ですが、物理モデル構築には専門知識と多大な手間が要求されます。本研究の最終目的は、関連文献の自動収集、文献からのモデル構築に必要な情報の自動抽出・編集、物理モデルの自動構築を行うAIの開発です。本研究では、製造プロセスの専門用語と数式に特化した言語処理技術を開発し、物理モデル自動構築AIの実現可能性を示すことを目指します。

金森 憲太朗

データ駆動型意思決定のためのアクション説明技術の研究

研究者
金森 憲太朗

富士通(株)
富士通研究所
研究員

研究概要

機械学習の予測に基づくデータ駆動型意思決定では,その信頼性を保証するために,予測結果に関する説明を提示できる説明可能性の実現が重要な課題となっています.本研究では,ユーザが望ましい結果を得るための行動指針(アクション)を提示する反実仮想説明法に着目し,データ駆動型意思決定の信頼性を向上させるアクション説明技術の実現方法を,モデリング技術と最適化アルゴリズムの観点から明らかにすることを目指します.

熊野 創一郎

拡張平均場理論を用いた敵対的訓練の理論的解析

研究者
熊野 創一郎

東京大学
大学院情報理工学系研究科
大学院生

研究概要

敵対的訓練は敵対的画像に対する有効な防御策として広く認知されていますが、頑健性が何に由来するのかなど、不明な部分も多いです。本研究ではまず、拡張平均場理論と呼ばれる、訓練後期のDeep Neural Networkを解析対象とする理論的枠組みを提案します。そして、この理論を用いた敵対的訓練の解析と保証を行います。本研究で提案される新たな理論と敵対的訓練の保証は、AIの社会的受容を促進します。

計良 宥志

大規模代数方程式系の学習と処理

研究者
計良 宥志

千葉大学
大学院工学研究院
助教

研究概要

本研究提案では,生成的機械学習により,従来では扱うことが難しい大規模な代数方程式系の処理・求解を実現します.まず代数的諸問題への有効性を網羅的に検証し, 標準的手法の対応範囲を明らかにします.検証から明確になった範囲外の問題に対して特化手法を考えます.特に大規模なゼロ次元代数方程式系の求解およびグレブナー基底計算を目標としており,数学的諸問題での生成的アプローチという新たな可能性を模索します.

小林 和馬

医師の臨床推論を支援するインタラクティブAI

研究者
小林 和馬

国立がん研究センター研究所
医療AI研究開発分野
研究員

研究概要

人工知能は、知的な臨床判断において専門医レベルの能力を発揮し、急速に医療現場へと普及してきています。しかしながら、一般的な医師にとって、人工知能の推論ロジックは理解困難なブラックボックスであり、本当に人工知能の出力結果を参考にして良いかの批判的吟味が出来ません。本研究では、医師に対して出力結果の根拠をインタラクティブに説明できる人工知能を開発し、これが医師の行動様式に与える効果を計測します。

近藤 亮磨

判決文を用いた法ナレッジグラフの構築および法ナレッジグラフ型マイクロAIの研究

研究者
近藤 亮磨

東京大学
大学院情報理工学系研究科
特任助教

研究概要

はじめに法ナレッジグラフのオントロジを設計し判決文データと法律データから法ナレッジグラフを自動的に構築する手法を確立する.つぎに法ナレッジグラフからグラフ構造に基づく判決文の構成要素の検索手法の検討を行う.この検索手法を応用して外部知識化された法ナレッジグラフを参照しながら回答を行う言語モデルの設計を行う.おわりに学習効率に関する評価,法実務的な評価,法社会学における通時的・共時的評価を行う.

齋藤 佑樹

インタラクティブ強化学習に基づく人間参加型適応的テキスト音声合成

研究者
齋藤 佑樹

東京大学
大学院情報理工学系研究科
講師

研究概要

深層学習に基づくテキスト音声合成(TTS)技術は、データ駆動で多様な音声を学習・合成できる一方で、一度の学習で得られた知識の範疇外の発話スタイルは再現できません。本研究では、(1)インタラクティブ強化学習に基づくTTSモデル学習アルゴリズムの開発と、(2)人間参加型の大規模方言TTS学習への応用展開により、人間との相互作用を通じて発話スタイルの適応・追加学習が可能なTTS技術を実現します。

曽我部 舞奈

正解ラベルのない生体情報のための逆問題的アプローチ

研究者
曽我部 舞奈

東京大学
大学院情報理工学系研究科
助教

研究概要

優れたAIを開発するには良質なデータセットが必要です。特に医学領域では、未知で変形を伴う現象、例えば正確な術中出血推定につながるデータセット取得は困難です。本研究では、正解ラベルを元に、精巧な質感を再現した模倣臓器から「ありうる入力データ」を逆問題的に生成、さらにActive Learningで弱点を特定しモデル精度を向上させることで、動物の犠牲を伴わない高品質なデータセット創出方法を探求します。

竹野 思温

実践的な人間参加型選好最適化法の構築とその理論保証

研究者
竹野 思温

名古屋大学
大学院工学研究科
助教

研究概要

定量的評価に比べ相対的な比較が容易な最適化問題は実践上数多いです。 そこで、選好ベイズ最適化は少ない比較回数でのサンプル効率的な最適化を目指します。 しかし、既存法はサンプル効率もしくは計算効率に問題があります。本研究は高いサンプル効率と計算効率を両立する乱択選好ベイズ最適化法の構築を目指します。さらに、実用性・信頼性を高めるため、より柔軟な選好情報の統合や提案法の理論保証の導出に取り組みます。

田中 恒彦

人間とAIが理解できるインタラクション設計文法の構築

研究者
田中 恒彦

早稲田大学
大学院基幹理工学研究科
大学院生

研究概要

ゲーム産業等制作では開発の複雑さと人手不足から、生成AI活用による生産性向上に注目が集まる一方で、生成AIの説明可能性の低さ・学習データにない新しいアイデアの活用力が課題となっています。本研究では、人間とAIの両者が理解しやすい文法を導入することで、既存AIの根本的課題を克服することを目指します。これにより、クリエイターがAIを完全に制御しつつ、創造性と生産性を向上させることができます。

近原 鷹一

公平な機械学習予測を志向した不完全データからの因果推論

研究者
近原 鷹一

日本電信電話(株)
NTTコミュニケーション科学基礎研究所
研究主任

研究概要

融資承認や人材採用など、人に対する意思決定を機械学習で支援するためには、性別や人種など、センシティブな特徴に関して予測が公平である必要がある。その実社会応用を加速させるべく、利活用の困難な実データ(不完全データ)から、変数間の因果関係の有無・方向(因果グラフ)、および因果関係の強さ(因果効果)を推定する因果推論の基盤技術を提案し、因果関係に基づく公平かつ高精度な機械学習予測の高度化に挑む。

堤 瑛美子

適応的学習支援のための教育的解釈性をもつ深層学習手法の開発

研究者
堤 瑛美子

法政大学
理工学部創生科学科
講師

研究概要

近年,オンライン学習システムを用いた学習が広まり,大量の教育ビッグデータを如何に有効活用するかが課題になっている.特に,人工知能分野では機械学習を用いて教育ビッグデータを分析することにより学習者の特性や成長に合わせて適切な学習支援を行うアダプティブラーニングが注目されている.本研究では高精度に学習者の習熟度変化を推定する,教育的なパラメータ解釈性をもつ深層学習手法を開発する.

角森 唯子

「ゼロから言語化」を支援するシステムの開発

研究者
角森 唯子

日本電信電話(株)
NTTコミュニケーション科学基礎研究所
研究主任

研究概要

「うまく言えないけどなんかモヤモヤする」という悩みを抱えたことはありませんか?本研究では、AI技術を活用し、このような悩みを解決するシステムを作ります。本システムと対話することで、ユーザ本人すら把握していない問題や解決策を言語化することができます。システムはユーザ一人一人の異なる状況や性質に合わせて、思考を促す質問や気づきを与えるような例示を織り交ぜた対話を行い、ユーザの言語化を支援します。

手嶋 優風

音響世界に住む生物の生態解明に向けた環世界モデルの構築

研究者
手嶋 優風

海洋研究開発機構
SIP海洋統括プロジェクトチーム
特任研究員

研究概要

本研究の目的は、音を主として環境を知覚しているコウモリの音の世界での生態を解明することである。しかし、生物の行動計測は、その生物の行動全体の一側面しか計測できない。そのため、コウモリが取得する音響情報を含めた行動計測とともに、多様な空間が自由に構築できる環世界モデルをベースとしたバーチャル空間のフレームワークを構築し、帰納的理解が可能な実験系を提案する。

長沼 一輝

マルチモーダル辞書学習による先端計測のための画像再構成

研究者
長沼 一輝

東京工業大学
情報理工学院
研究員

研究概要

本研究では、モデル化が困難な構造をスパースに表現する変換(辞書)をデータから学習するアプローチに基づき、「計測対象固有の構造」を再構成することを目指す。具体的には、「厳しく多様な劣化に対応できるロバスト性」と「複数ドメインの計測データを統合的に利用できる柔軟性」を備えたマルチモーダル辞書学習法を開発し、計測対象固有の構造を再構成する技術を確立することを達成目標とする。

橋本 和宗

深層STL生成モジュールを用いた自律制御システムの開発

研究者
橋本 和宗

大阪大学
大学院工学研究科
講師

研究概要

本研究提案では、自動運転を代表とする自律制御システムの経路計画問題に対し、多種多様なタスクを実行できる新たな深層学習アルゴリズムの開発を目指します。特に、時系列信号の様々な時間・空間的特性を表現できる信号時相論理(STL)に着目し、周囲の環境データからディープニューラルネットワークによりSTLを抽出する深層STL生成モジュールを開発することで、説明可能性及び自律性を向上する制御システムを構築します。

濱崎 甲資

2つのブラックボックス最適化手法を応用したコストを加味した育種計画の最適化

研究者
濱崎 甲資

理化学研究所
革新知能統合研究センター
基礎科学特別研究員

研究概要

農業において新品種を作出する上では、どの個体を選抜し交配するかなど、様々な意思決定を行う必要があります。また、その過程では、データ取得や人件費など様々なコストが生じると想定されます。本研究課題では、近年注目を浴びる2つのブラックボックス最適化手法を組み合わせることで、これらコストを考慮した上で、新品種作出による利益が最大となるように、選抜・交配戦略や育種計画全体に関連する戦略の最適化を目指します。

原 彰良

ヒトとAIを繋ぐ透明な双方向インタフェースの開発

研究者
原 彰良

大阪大学
大学院情報科学研究科
大学院生

研究概要

ヒトとAI・ロボットの協働社会が訪れると予測されていますが,ヒトとAI・ロボット間をつなぐために必要なインタフェースの研究が遅れており,これが協働社会全体の生産効率低下の要因となります.そこで本研究提案では,ヒトとAI・ロボット間の意図伝達の効率化を目指し,意識下応答を用いた「透明な双方向インタフェース」を開発し,移動時の衝突回避をターゲットに検証に取り組みます.

原田 翔太

順序でつなぐAIによる医用データセットの統合

研究者
原田 翔太

広島市立大学
大学院情報科学研究科
助教

研究概要

本研究では、複数の重症度分類データセットを統合して学習することを目指します。重症度分類では、同じ疾病であっても用途や年代に応じてアノテーション指標が変化します。従来研究は指標が同一であることを前提としていますが、本研究ではデータセットの指標が異なることを想定します。具体的には、「指標が変化してもサンプル間の重症度の大小関係は不変」であることを活用して、複数データセットを統合して学習します。

PARMAS PAAVO

Theory, algorithms and software toward hyper-efficient Monte Carlo gradient estimation.(モンテカルロ勾配推定の超効率化に向けた理論、アルゴリズムとソフトウェアの開発研究)

研究者
PARMAS PAAVO

東京大学
大学院工学系研究科
特任助教

研究概要

多くの機械学習アルゴリズムで確率的勾配降下法が使われていますが、その学習速度は勾配推定の精度に大きく影響されます。勾配の計算は長年バックプロパゲーションが用いられてきましたが、その手法自体を改良した研究は少ないです。本研究では、勾配推定の効率を格段に上げる新アルゴリズムの開発に挑んでいます。成功すれば、モデルの訓練コストを削減し、以前には学習が困難だったモデルも取り組める可能性が広がります。

ファン インゾウ

Incorporating Meta-information in Machine Unlearning for Large Language Models.(メタ情報による大規模言語モデルの機械アンラーニング)

研究者
ファン インゾウ

京都大学
大学院情報学研究科
特定助教

研究概要

本研究では、大規模言語モデルのための機械アンラーニングに着目します。訓練データに含まれる個人情報や偏見、差別などの有害情報は、プライバシーの漏洩や不適切な情報の拡散につながります。データベースから有害なデータを削除することは容易ですが、それを基に訓練されたモデルにはその影響が依然として残ります。これを解決するため、モデルから特定データの影響を除去する機械アンラーニングの開発を目指します。

松井 智一

生活行動の音声アノテーションと最適な介入に関する研究

研究者
松井 智一

奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科
助教

研究概要

従来の日常生活行動認識システムのほとんどは実験環境での利用が前提です。例えば、行動認識のための正解データを集めるために必要なアノテーションは単なる義務であることや、デジタルデバイスの操作を前提としているため、一般環境での受容性には課題があります。本研究では、行動認識システムの一般家庭での将来的な受容性を念頭に置いて、居住者を動機付けられる持続可能な音声アノテーションシステムの開発を行います。

松尾 信之介

アノテーション戦略の最適化

研究者
松尾 信之介

九州大学
大学院システム情報科学府
大学院生

研究概要

アノテーションコストとモデル性能 (エラー率 )にはある一定のトレードオフの関係がある.そこで本研究では,一定のアノテーションコストを条件として,エラー率を最小化できるアノテーション法の組み合わせを見出す.そのために,まずオンライン資源配分問題としての定式化とトイデータへの適用,次により実践的なタスクとして病理画像のセグメンテーション問題への適用,最後に精度保証に関する理論的考察を行う.

若山 智哉

現代的統計理論によるベイズ深層学習への挑戦

研究者
若山 智哉

東京大学
大学院経済学研究科
大学院生

研究概要

深層学習の医療や産業分野における実用化に向けて不確実性の定量化や解釈性の向上は必須となりますが、それらを可能にするベイズ深層学習は、精度が高くなりづらいという難点を抱えています。本研究では現代的な高次元統計理論を応用し深層学習の数理的な理解を深めることで、高精度なベイズ深層学習に必要な事前分布やモデルの特徴づけを目指します。

脇坂 遼

高性能かつ高信頼な大規模分散量子計算基盤を目指して

研究者
脇坂 遼

京都大学
大学院情報学研究科
大学院生

研究概要

量子インターコネクトによるスケーラブルな分散量子計算は、実用的な領域で量子アプリケーションを実現する技術として近年注目されています。これに伴い、制約の多い量子計算機上で分散計算を安全かつ効率よく行うためのソフトウェア基盤が必要とされています。本研究では、大規模分散量子計算のためのプログラミング言語・コンパイラとプログラム検証手法を開発し、高性能かつ高信頼な分散量子計算基盤の構築を目指します。

渡邉 知樹

Compositionalなモデル検査によるニューロシンボリックAIの安全性保証

研究者
渡邉 知樹

総合研究大学院大学
複合科学研究科
大学院生

研究概要

深層学習により得られた出力に従って制御を行うニューロシンボリックAIの安全性保証は重要な課題です。本研究では、近年提案者らが定式化したcompositionalなモデル検査を発展させ、ニューロシンボリックAIの安全性保証を実現します。具体的には、ニューラルネットをブラックボックス化された構成要素と見なす事で、compositionalにニューロシンボリックAIの安全性を保証することを目指します。

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