プロセスインテグレーションによる機能発現ナノシステムの創製
JST > ホーム > MORE > 寒川チームの成果が日刊工業新聞に掲載

高密度・均一量子ナノ円盤アレイ構造による発光およびミニバンド形成の確認
高効率・量子ドット太陽電池の実現に向けて大きな一歩!

平成23年6月15日

 東北大学・流体科学研究所・寒川教授グループはこの度、蛋白質を用いた自己
組織化による金属微粒子テンプレート技術と超高精度微細加工技術として独自に開
発した高効率低エネルギー中性粒子ビーム加工技術とを融合することでシリコン(Si)
基板上およびガリウム砒素(GaAs)基板上に面密度が約1012cm-2で均一でしかも損
傷のないサブ10nm量子ナノ円盤アレイ構造の作製に成功し、そのプロセス技術を確
立いたしました。更に、シリコン量子ナノ円盤アレイ構造を用いて欠陥に由来しない発
光(PL)現象を確認すると共に、シリコン量子円盤アレイ構造においてSiO2あるいは
SiCを中間層とした場合にシリコン量子円盤構造間の波動関数の重なりによるミニバ
ンドの形成を確認し、シリコン量子ナノ円盤アレイ構造は超格子構造であることを初
めて確認いたしました。特にSiCを中間層として用いた場合には量子ドット間のミニバ
ンドの形成がより強くなり、光の吸収効率が向上し、且つ、発生した励起子(電子、ホ
ール)の移動度が向上することを明らかにしました。この結果は、エネルギー変換効
率45%以上の超高効率量子ドット太陽電池の実用化に必要不可欠な特性であり、量
子ドット太陽電池の実用化に向けて大きな前進となります。
 このシリコン量子ナノ円盤アレイ構造が高効率太陽電池として期待される量子ドット
太陽電池を具体的に実現することを可能とし、再生可能な自然エネルギーシステム
の実現に向けて精力的に研究を進めていく予定です。
 本研究は独立行政法人・科学技術振興機構(JST)・戦略的創造研究推進事業CRE
ST「プロセスインテグレーションによる機能発現ナノシステムの創製」領域(研究総括:
曽根純一)により実施された成果であります。
 なお、今回の技術成果につきましては、6月20日から24日まで米国シアトルで開催
されるIEEE Photovoltaic Specialist Conferenceで報告予定です。


<この件に関する報道関係からのお問い合わせ先>
東北大学・流体科学研究所
教授 寒川誠二
TEL/FAX 022―217―5240(直)


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