評価一覧評価目次 > 地域別評価 青森県
地域結集型共同研究事業

平成18年度事業終了地域事後評価報告書

平成19年3月
独立行政法人科学技術振興機構 産学連携事業本部 地域事業推進部


4. 地域別評価
4−1 青森県
課題名 大画面フラットパネルディスプレイの創出
事業総括 蝦名 武 (青森県 副知事)
研究統括 内田 龍男 (東北大学工学研究科長)
新技術エージェント 末永 洋一 (青森大学教授)
青木 茂雄 (元ホシデン(株)副社長 経営コンサルタント)
中核機関 財団法人21あおもり産業総合支援センター
コア研究室 青森県工業総合研究センター八戸地域技術研究所
行政担当部署 青森県商工労働部工業振興課

1*事業目標の達成度及び波及効果並びに今後の展望

 フラットパネルディスプレイ分野の下地がほとんどなかった青森県に、液晶技術をベースにしたクリスタルバレイ構想の流れを作り、事業化の基盤を整備したことは評価できる。クリスタルバレイ構想に関しては、ビジネス環境が急激に変化する中での困難も十分に予想されるが、今後の拠点となる液晶先端技術研究センターの設置により、地域への波及効果等、青森県のさらなるイニシアティブ発揮に期待したい。
 技術レベルが世界的に急速に進歩している中で、当初計画の最終目標であった大型ディスプレイから、医療分野を主たるターゲットにした高付加価値志向の小型化技術開発へと変更せざるを得ない状況があったためか、サブテーマによっては要素技術の開発成果にとどまり、企業誘致のインセンティブとなる技術段階にまでは到達していない部分もある。当該分野における国際的な競争に立ち向かうためには、さらなる基盤整備が人的にも設備的にも必要であろう。

2*研究開発目標の達成度及び成果並びに今後の展望

 液晶ディスプレイの低電圧化・高速化に際して配向欠陥を用いた初期配向転移法を導入するなど、ユニークな発想を多く採用した独創的技術が出来上がっているなど、研究開発目標の達成度は良好であり、技術レベルも高い。今後、この技術の継承と進展が課題である。
 当初目標であった大型ディスプレイの研究開発目標への進展を目指すためには、さらに集中した研究投資が必要であり、方針を変えてコンパクトな高性能FPDを完成させたことは妥当な選択であったといえる。当面は高付加価値用途に集中して優位性を明らかにしていくのが妥当と思われるが、当該分野における国際的な競合を考えると、コスト面も考慮した研究開発戦略も不可欠である。     

3*成果移転に向けた取り組みの達成度及び今後の展望

 プロトタイプ段階での製品の質は高く、地元の企業を中心として、企業化も成されてきている。クリスタルバレイ構想の中核としてこの事業を位置づけ、早期の液晶分野の企業への誘致を望みたい。
 ただし、現状では海外の特許がないことから、国内市場のニッチ分野に限定される可能性が高い。今後の事業成功には、技術優位性を明確に打ち出して、より大きな市場へのタイムリーな参入を可能とする企業との提携が必須である。競争が激しい分野なので、実用化の障害を排除するためには海外も含めた知財戦略をしっかり構築するとともに、事業パートナーを探るべきである。とくに液晶ディスプレイ分野で実績のある有力企業とのパートナーシップが不可欠であろう。     

4* 都道府県等の支援及び今後の展望

 クリスタルバレイ構想の推進や、県副知事が事業総括として陣頭に立つなど、県としての支援の姿勢は評価できる。ただし、技術開発の達成度に比べ、地域COEの形成及びクリスタルバレイを含め地域産業振興面では、達成度の観点からは十分とは言い難い。
 今後、東北大学を中心として行われた研究開発の成果を継続的に青森県に根付かせるためには、地域の大学・企業における技術と人材の両面での展開が必要である。特に、いかに地域産業界を巻き込むかが今後の展開に向けた重要課題といえる。産業クラスターとしての魅力あるインフラを構築して行くような、青森県としての継続的な取組に期待したい。


◆ 研究開発の目標と達成状況

◆ 事業実施期間中における学術的、技術的、対外的活動実績

目次に戻る 4.地域別評価−千葉県


This page updated on April 3, 2007
Copyright©2007 Japan Science and Technology Agency.