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地域結集型共同研究事業

平成18年度事業終了地域事後評価報告書

平成19年3月
独立行政法人科学技術振興機構 産学連携事業本部 地域事業推進部


4. 地域別評価
4−2 千葉県
課題名 ゲノム情報を基本とした次世代先端技術開発
事業総括 山藤 清隆 (紫明半導体株式会社 代表取締役会長兼CEO)
研究統括 大石 道夫 (財団法人かずさDNA研究所 理事長兼所長)
新技術エージェント 富岡 登(財団法人かずさDNA研究所 知的財産コーディネーター)
中核機関 財団法人千葉県産業振興センター
コア研究室 財団法人かずさDNA研究所
行政担当部署 千葉県商工労働部産業振興課

1*事業目標の達成度及び波及効果並びに今後の展望

 技術基盤としてかずさDNA研究所がプロジェクト開始前より保有していたヒト長鎖cDNAの優位性を活かし、研究としては最先端を走っており、学術的な研究達成度は高いと言える。
 また、研究成果をもとにして、抗体、DNA/抗体マイクロアレイヤーなどが商品化され、cDNA研究開発を通じてバイオ産業の芽が出つつあることは評価でき、プロジェクト採択以来わずか5年でこのレベルまで到達したことは高い評価に値する。
 しかしながら、地域の関連企業を育成し、地域COEを構築し、産業化を目指すという事業目標に対しては、研究機関、企業の集積は必ずしも十分とは言えず、基礎研究の成果からビジネスを創出することは容易ではないが、さらなる仕組みづくりの検討が必要である。

2*研究開発目標の達成度及び成果並びに今後の展望

 かずさDNA研究所の保有するヒト長鎖cDNA技術から出発して、モデル動物(マウス)のcDNAの構造解析・抗体取得までの達成度は高く、先端研究で世界をリードしている点は大いに評価できる。また、外部発表、特許出願などの研究成果も多数あり、概ね研究開発は順調であった。cDNAを中心として、かずさDNA研究所の優位性を活用した研究開発目標はほぼ達成されたと言える。
 抗体、抗体アレイの作製については更に検討が必要であり、また、データベースをいかに活用するかなど今後の課題も残るが、ゲノムネットワークプロジェクトや地域新生コンソーシアムなど他府省の事業に橋渡しされ、今後の継続した研究開発が期待できる。

3*成果移転に向けた取り組みの達成度及び今後の展望

 企業の参画も多く、かずさDNA研究所の保有するcDNA技術を中心として、いくつかの技術について、商品化、実用化まで達成したものがあり、最先端の成果の移転をプロジェクト企業が行っており、さまざまなアライアンスに取り組んでいることは評価できる。
 海外企業との連携が推進され、技術移転の可能性も出ていることは評価できるが、そのためには、海外への特許戦略をより充実することが必要である。また、本来の目的である国内企業への技術移転や、地域のクラスター形成に役立つ成果移転が弱いため、ビジネスモデルの構築と地域の活性化戦略の構築がさらに必要と思われる。

4*都道府県等の支援及び今後の展望

 千葉県によるかずさDNA研究所を中心としたバイオクラスター形成への支援について、これまで果たした実績は大きく、特にかずさDNA研究所に対して多額の運営資金を負担してきたことについては、十分な支援と認められる。
 しかしながら、地域への成果移転、地域への経済的波及効果の広がりについてはまだ途上にあり、さらなる千葉県による戦略の構築と支援を期待する。cDNA技術のスピルオーバー型の技術移転に関するビジネスモデルの構築など、今後、企業に対する誘引力を高めることも必要と思われる。


◆ 研究開発の目標と達成状況

◆ 事業実施期間中における学術的、技術的、対外的活動実績

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