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地域結集型共同研究事業

平成14年度事業開始地域中間評価報告書



平成17年3月
独立行政法人科学技術振興機構 地域振興事業評価委員会


4. 地域別評価
4−1 埼玉県
課題名 高速分子進化による高機能バイオ分子の創出
事業総括 大関正弘 (前日本薬学会 常任理事、元大正製薬株式会社 常務取締役)
研究統括 伏見 譲 (埼玉大学工学部 教授)
新技術エージェント 草木稔篤 (株式会社アムサイト 取締役)、
花田和紀 (元大正製薬株式会社 総合研究所 医薬研究統括部長)
中核機関 財団法人埼玉県中小企業振興公社
コア研究室 埼玉県産業技術総合センター内
行政担当部署 埼玉県労働商工部産学連携推進室
1 事業進捗状況及び今後の見通し
 高速分子進化による高機能バイオ分子の創出は、付加価値の高い新産業創出の可能性を秘めている。埼玉大学や(独)理化学研究所等のポテンシャルを活かした基盤研究には着実な進捗が認められる。今後、基盤研究を更に独創性を高めると共に、応用研究への適用を図るというテーマ間の連携を強めた推進を期待する。
 ただし、本事業を基礎的研究で終わらせないためには、事業化・産業化に向けた企業等との幅広い連携による事業展開が必要である。そのためには、創出したバイオ分子の優位性、有効性を把握した上での成果移転の戦略が必要である。また、実用化を目指して企業を引き入れるためには、高速分子進化の概念とそこから生まれる成果活用について、一般の人も理解できるように配慮した積極的なPRが必要である。

2 研究開発進捗状況及び今後の見通し
(総論)
 論文数45件と順調な成果を生みだし、基本計画通りの進捗と認められる。また、研究開発水準は高く、新規性・優位性が認められ、特に相同組換えによる抗体作成技術は特筆に値する。
 ただし、各テーマ間の連携が不足しているので、今後、総合力を発揮する体制を強化するためには、各テーマの位置づけ・関連づけを明確にして推進する必要がある。
 また、事業化・産業化に向けた取り組みを加速するためには、企業との共同研究を通じて、研究成果を活用した発展(新事業・新産業の創出)のための研究体制の拡充が必要である。

(各論)
サブテーマ名 留 意 事 項
1.高速分子進化のための基盤技術の開発
 ・ 高速分子進化の要素基盤技術を各小テーマに分けて進めており、着実な研究が展開されている。
 ・ 今後、応用研究への適用などテーマ間の更なる連携の強化が必要である。
 ・ 事業化のためには、開発した技術や方法を分かり易く説明することが必要である。
2.相同組換えによる高速ゲノム進化法の開発
 ・ 独自性の優れた研究開発を実施し、水準も高いと認められる。相同組換えによる抗体作成の成果は、特筆に値する。
 ・ 成果に基づくベンチャー企業創出における今後の発展を期待したい。
 ・ 今後、応用研究への適用などテーマ間の更なる連携の強化が必要である。
3-1.高速分子進化の福祉応用:生理的病理的に重要な蛋白質の解析と創出
 ・ 活動は活発で高水準な成果が含まれているが、より実用化を加速するためには、各小テーマ間での連携・総合力化が期待される。
 ・ DNAアプタマーなどの成果は出ているが、今後の達成度、実現の見通しを勘案して焦点を絞る必要がある。
 ・ 基盤研究であるテーマ1,2との関連づけ・位置づけを明確にし、連携を強化した推進が望まれる。
3-2.高速分子進化の福祉応用:環境浄化能等のある微生物・植物の分子育種
 ・ 耐熱性脱窒菌の取得などの成果は出ているが、本サブテーマは全体の課題との関連が乏しく、成果が出ている小テーマに絞る必要がある。
 ・ 基盤研究とのテーマ間関連づけ・位置づけを明確にし、連携を強化した推進が望まれる。

3 成果移転に向けた活動状況及び今後の見通し
 特許出願や論文発表などの研究成果の情報の発信に一定の進展は見られるが、事業化・企業化を促すような外部への積極的な働きかけが十分でない。技術の成果や優位性を明確にし、早急に製薬企業等の共同研究参画を促す戦略を立てることが必要である。
 また、事業化実施地域を埼玉県に限定せず、東京圏さらにはグローバル化まで視野を広げて、成果移転に向けた活動を進める必要がある。

4 都道府県等の支援状況及び今後の見通し
 埼玉県のSKIPシティ内のコア研整備などは評価できるが、研究成果を研究レベルに留めず産業化を含めた地域COE形成に繋げていくためには、具体的な戦略策定が望まれ、県の主体的関与によるリーダーシップ発揮が必要である。
 また、課題が地域密着というよりも汎用の科学技術であり、それに見合った地域COE拠点形成計画を作るべきである。SKIPシティ内にある埼玉県産業技術総合センターインキュベーションルームの有効活用により、東京圏から研究者が流入する仕組み作りを埼玉県に期待する。

◆(参考1)事業の目標・概要

◆(参考2)フェーズI における学術的、技術的、対外的活動実績

◆(参考3)フェーズI における研究項目と実施体制

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