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地域結集型共同研究事業

平成14年度事業開始地域中間評価報告書



平成17年3月
独立行政法人科学技術振興機構 地域振興事業評価委員会


4. 地域別評価
4−2 三重県
課題名 閉鎖性海域における環境創生プロジェクト
事業総括 川喜田 貞久 (株式会社 百五銀行 取締役会長)
研究統括 加藤 忠哉 (三重大学 名誉教授)
新技術エージェント 松田 治 (広島大学 名誉教授)
中核機関 財団法人 三重県産業支援センター
コア研究室 三重県南勢志摩県民局志摩庁舎
行政担当部署 三重県科学技術振興センター
1 事業進捗状況及び今後の見通し
 英虞湾の環境創生に向けて、底質改善技術など実用化を視野に入れた成果が出ており、技術基盤は着実に形成されつつある。また、基盤形成でもっとも重要な英虞湾の環境を守るという地域の一体感も達成されつつある。漁業者との連携等によって地場のニーズを吸い上げ、実地での応用に直結した研究開発体制が構築されており評価できる。ただし、目標の達成に向けて、研究内容が分散しないように、研究テーマ間の連携をますます緊密にすることが求められる。
 本テーマは、地域・国・グローバルなニーズに応えられるものであるが、成果を実施するのは県であるので、事業を実施する視点をもって県が主体的に支援していくことが求められる。

2 研究開発進捗状況及び今後の見通し
(総論)
 環境創生という明確な目標に向けて研究開発は順調に進捗しており、地域に対して大きな貢献が期待される。生態学的な手法を積極的に取り入れた工法を中心にした研究手法も妥当である。
 ただし、研究が国内外の水準に比べて優れていることを示すために、研究論文の発表をさらに盛んにすることが求められる。また、研究成果には権利化出来る要素が多く見られるので、一層の特許化の促進が望まれ、これにより企業による事業化が容易になると期待される。
 既に結果が出ている研究テーマはフェーズI で終了し、細分化されすぎたサブテーマを整理統合することが求められる。

(各論)
サブテーマ名 コメント
1.沿岸環境創生技術の開発
 ・ フィールドでの実証研究を中心に進められているが、今後他地域への拡大や応用を進めるには、必須の手法である。
 ・ 今後の実用化に供するデータの蓄積と、現場での実績を積むことに、マンパワーの集中が求められ、ボランティア、NPOの協力も欠かせない。
2.底質改善技術の開発
 ・ 底質改善技術は本プロジェクトの成果として分かり易く、他地域への展開も期待できる。
 ・ サブテーマ2−1−2 「底質固化造粒技術の開発」については、実用化に近い特徴的な成果が出ているので、特許を取得して実用化に向けた戦略的な研究開発を促進することが求められる。
 ・ 効果の薄いテーマは中止するなど、選択と集中を進めることが求められる。
3.環境動態シミュレーションモデルの開発
 ・ 英虞湾のリアルタイム水質観測データがWeb上で情報公開され、ひろく利用されている点は評価できる。
 ・ 英虞湾の環境再生の限界や方向性を直接示すシミュレーションに力を入れることが求められる。
 ・ 時間の経過とともに改善、回復する水質や生態系を予測する解析モデルを示すことにより、他の海域への適用、波及効果が期待出来る。

3 成果移転に向けた活動状況及び今後の見通し
 成果は三重県という地域を越えた波及効果が期待され、同じ課題を抱える地域へ、システムとして売ることも重要であろうと思われるので、普及して広く使われる技術に仕上げることが求められる。さらに、事業化を促すために、費用対効果の分析や、海洋建設業と連携してPFI事業(Private Finance Initiative)へ応募するといったことも実施出来る体制ができることを期待したい。

4 都道府県等の支援状況及び今後の見通し
 英虞湾の海洋環境浄化を実行するには、三重県の関与が特に重要であるが、それが実行されており評価できる。成果の創出とともに、関係機関との調整等、県の関与すべき事項は増大すると思われるので、県の継続的な支援が重要である。その一環として、県の環境政策、土地利用計画といった施策の方向性の中で、本テーマの位置づけを強化することを期待する。

◆(参考1)事業の目標・概要

◆(参考2)フェーズI における学術的、技術的、対外的活動実績

◆(参考3)フェーズI における研究項目と実施体制

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