評価一覧評価報告書目次 > 6.研究開発課題の個別評価(別紙2)

「独創的シーズ展開事業 独創モデル化」
平成17年度採択課題 事後評価報告書

平成18年10月

独立行政法人科学技術振興機構
科学技術振興審議会技術移転部会
独創モデル化評価委員会


6. 研究開発課題の個別評価
 15 核酸物質の導入、作用発現のための徐放性非ウイルスベクターの開発

企業名 :株式会社 メドジェル
研究者(研究機関名) :田畑 泰彦(国立大学法人 京都大学)

1) モデル化の概要および成果
 核酸物質の導入、作用発現のための非ウイルスベクターの開発を目標としている。通常、非ウイルスベクターは安全性は高いが、導入効率が充分ではない場合が多く、またin vivo で効果を発揮できないという弱点を有している。そこで、基材として既に臨床でも用いられ、その生体安全性は実証済みであり、かつ生体に馴染みやすい高分子材料の多糖類を用いた。これは、核酸物質の安定性を損なうことがなく長期間の作用維持が可能である。また、これまで核酸物質の導入が難しいとされていた細胞に対しての適用可能性、in vivo での効果の可能性も示唆されている。
 本モデル化では、多糖の分子量、およびカチオン基の導入率を変化させた他種類の非ウイルスベクターを試作した。試作品の一部を使用して、Hela細胞を用いたin vitro実験系によるルシフェラーゼ遺伝子導入を行い、実験条件によって発現効率が高いことが示された。
2) 事後評価
1 モデル化目標の達成度
 低毒性と徐放性を特徴とするスペルミン化プルランの高い遺伝子導入効率を確認している。しかし予備実験の結果や高毒性の競合品の効率にはやや及ばず、評価系に問題を残した。
2 知的財産権等の創出
 現時点で出願はない。
3 企業化開発の可能性
 競合品に優る高効率製品を早期に獲得して、まずin vitro用遺伝子導入試薬の製品化を推進する。材料開発としては他の多糖類との比較検討やin vivo用途の最適化等の課題がある。
4 新産業、新事業創出の期待度
 安全かつ安定した高導入効率製品の実用化により、試薬のほか分化細胞による医薬評価、幹細胞による細胞治療や再生医療など多方面の事業への応用が期待される。
3) 評価のまとめ
 開発研究の実験も初期の段階で、実用化までには解決しなければならない課題が多い。引き続き開発を推進するとともに、新しい基材を使うなど、競合品を上回る製品開発を行っていただきたい。

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This page updated on November 7, 2006
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