クローズドサイクル式冷凍機を用いた低温用多用途カロリメータの試作

「独創的シーズ展開事業　独創モデル化」
平成１７年度採択課題　事後評価報告書

平成１８年１０月

独立行政法人科学技術振興機構
科学技術振興審議会技術移転部会
独創モデル化評価委員会

６．

研究開発課題の個別評価

　９クローズドサイクル式冷凍機を用いた低温用多用途カロリメータの試作

企業名	：株式会社　ジェック東理社
研究者（研究機関名）	：加藤　英幸（独立行政法人　産業技術総合研究所）

１）

モデル化の概要および成果

　低振動のパルスチュ－ブ冷凍機に除振機構を有するクライオスタットを組み合わせることで、振動の影響を完全に排除した比熱容量計測システムを完成することができた。同システムでは極低温から室温（13Ｋ～300K）の任意の温度で長時間連続運転が可能であり、寒剤不使用に加え、バルブ操作の電磁弁によるリモート制御化により、測定の完全自動化が可能となっている。適正試料質量の場合の比熱容量測定の合成標準不確かさは0.2%以下を予想している。少量型サンプルセルに加え、広口型サンプルセルも開発した。各種サンプルセルの効率的な評価、及びライトユ－ザのために、-50℃～+80℃の温度領域を生成可能なペルチェ素子を組み込んだ予備恒温槽（室温用カロリメータ）を設計・開発し、計測制御ハードウェアのシステム改良も行いつつ、室温領域に特化したカロリメータにまで発展させた。

２）

事後評価

	モデル化目標の達成度　モデル化目標は概ね達成したが、耐久試験、安全性、制御等の性能評価試験を行い、実用化に向け残された課題の解決に努めて頂きたい。
	知的財産権等の創出　現時点での出願はないが、今後特許２件の出願を予定している。
	企業化開発の可能性　パルスチューブ冷凍機を用いた低温用断熱型比熱容量計は完成度が高く、実用化の確立は高い。またペルチェ冷凍機を用いたカロリーメーターは、パルスチューブ冷凍機システムと技術的共有部分も多く、それら技術を活用し、両方の企業化を進める予定である。まだ課題は残されているが、これまでの研究過程における技術能力、努力度は評価でき、実用化の可能性は高いと見られる。
	新産業、新事業創出の期待度　高精度と広温度範囲に自動化されたカロリーメーターは、分析評価の発展に繋がり、さらには室温用多用途のカロリーメーターへの展開が期待できる。特にバイオ、食品、医薬の分野において安全、安心が確保でき、販路拡大が期待される。

３）

評価のまとめ

　総合的に装置とシステムは完成したが、実用化に向けて完成度を高めるためには、耐久性、安全性等が残されている。商品化のために今後も引き続き開発の推進を行う必要がある。

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「独創的シーズ展開事業 独創モデル化」平成１７年度採択課題 事後評価報告書

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平成１７年度採択課題　事後評価報告書