評価一覧評価報告書目次 > 6.研究開発課題の個別評価(別紙2)

「独創的シーズ展開事業 独創モデル化」
平成17年度採択課題 事後評価報告書

平成18年10月

独立行政法人科学技術振興機構
科学技術振興審議会技術移転部会
独創モデル化評価委員会


6. 研究開発課題の個別評価
 2 Si系有機・無機ハイブリッド薄膜を用いた長寿命非分子型有機ELフィルムの開発

企業名 :有限会社 マテリアルデザインファクトリー
研究者(研究機関名) :中山 弘(大阪市立大学大学院)

1) モデル化の概要および成果
 液晶ディスプレーや有機ELなどのデバイスプロセスにおいては100℃から300℃程度の低温薄膜プロセスが必要となっている。低温で安定した機能性薄膜を造ることは高度な技術であり、有機ELの寿命を決めているのもこの低温成膜と膜の安定化・保護膜技術である。
 本モデル化では、有機金属原料を用いる有機触媒CVDを新しい低温成膜技術として確立し、有機触媒CVDの標準モデル装置を開発し、作製される有機・無機ハイブリッド薄膜材料の物性および機能性評価を主眼としている。
 今回のモデル化では複合型有機触媒CVD装置の試料搬送機構、グローブボックス等の増設を行い、フル装備のプラズマアシスト有機触媒CVDシステムを完成した。またその応用として、Si系有機・無機ハイブリッド材料を用いた、フレキシブル有機EL用ガスバリヤフィルムの開発を行い、その商品化の目処をつけた。また、Si系ハイブリッド発光材料を用いた、フィルム型の長寿命ELの開発についても、その基本技術を確立した。
2) 事後評価
1モデル化目標の達成度
 Si系有機・無機ハイブリッド材料を用いたRGB発光材料の化学組成と発光効率の最適化には課題を残したものの、モデル化目標は概ね達成した。複合型CVDシステムの改造・増設の装置完成度と良好な水蒸気・酸素透過バリヤ性をもつバリヤーフィルムの開発に成功し、低温成膜機も完成した点は評価できる。
2知的財産権等の創出
 現時点での出願はないが、今後特許2件の出願を予定している。
3企業化開発の可能性
 モデル化目標の有機触媒CVD装置、封止膜受託について、今年度の事業化が報告されており、実用化の可能性は高い。また、有機・無機ハイブリッド発光膜を用いたELディスプレーの開発と事業化についても方向性は見えているので企業化の可能性はある。
4新産業、新事業創出の期待度
 ベンチャー企業としての開発体制を確立し、残された課題について計画的かつ、集中的な開発を進めることで新事業創出の期待は高まる。
3) 評価のまとめ
 開発プロジェクトへの取組は非常に優れており、この分野では成果を出した。新産業創出の可能性、その業種に対する期待は大きいが、残された課題の解決には、今後体制の見直しが必要と考えられる。

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This page updated on November 7, 2006
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