報告書(別紙1) > 3.研究開発課題の個別評価

独創的シーズ展開事業 独創モデル化
平成16年度採択課題 事後評価報告書

平成17年10月

独立行政法人科学技術振興機構
科学技術振興審議会技術移転部会
独創モデル化評価委員会


(別紙1)
3. 研究開発課題の個別評価
 13 HIDAS合金を適用した騒音・振動抑制部品の試作

企業名 :有限会社 森住製作所
研究者(研究機関名) :磯野 宏秋(職業能力開発総合大学校 生産機械工学科 助教授)

1) モデル化の概要および成果
 本モデル化では、減衰能、弾性率、強度、耐食性に優れた新材料HIDAS(High Damping Stainless alloy、ハイダス合金)に関する発明をもとに制振性に優れた騒音・振動抑制部品の試作を行った。
 HIDASの制振性は実験で証明されているが、合金の耐熱性、耐久性、磨耗性等に弱点がある。それらの弱点を考慮した部品設計を行うことで、実用品としての性能を有する騒音・振動抑制部品の試作を試みた。具体的には「歯車」、「ブレーキ」、「ボルト・ナット」、「バイトシャンク」を試作した。
 「歯車」に関しては、騒音を10db低下させる目標が7dbの低下で終わった。「ブレーキ」は、10db以上の低下で目標を達成した。「ボルト・ナット」に関しては、メーカー実機で1,500サイクルで緩んでいたボルトが12,600サイクル(実働53日間)でも緩まず目標の10,000サイクル以上を達成した。「バイトシャンク(切削工具)」では、市販品より良い加工面を実現目標を達成した。
 今回のモデル化でHIDAS合金の制振性と機械要素として必要な耐熱性(200℃)耐食性、強度、量産時のコストの確認ができた。HIDAS合金が現在ある制振材の中でトップクラスの総合能力がある事を実証した。
2) 事後評価
1 モデル化目標の達成度
幾つかの応用の可能性のある分野への試作を試みた結果、予想以上の好結果が得られており、目標の達成度はかなり高い。
2 知的財産権等の創出
現在まで創出なし。今後の出願の予定あり。
3 企業化開発の可能性
工具、ネジ類については、製品として販売する予定だが、騒音・振動抑制等の特殊な用途を限定した製品とすると、市場性は低いと思われる。
4 新産業、新事業創出の期待度
制振機能として優れた性質を有しており、適切な用途面が見つかれば、新産業創出は期待できる。
3) 評価のまとめ
 モデル化の研究開発においては、応用面の開発のための事例を集めるべく真面目な取り組みがなされ、中には有望なデータが得られている。今後は用途を拡げるための更なる研究開発を継続し、本技術が普及するよう地道な努力の積み重ねを期待する。

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This page updated on October 25, 2005
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