報告書(別紙1) > 3.研究開発課題の個別評価

独創的シーズ展開事業 独創モデル化
平成16年度採択課題 事後評価報告書

平成17年10月

独立行政法人科学技術振興機構
科学技術振興審議会技術移転部会
独創モデル化評価委員会


(別紙1)
3. 研究開発課題の個別評価
 1 圧電トランスを使った安定化直流高圧電源の製品化に向けた試作

企業名 :株式会社 エヌエフ回路設計ブロック
研究者(研究機関名) :井森 正敏(東京大学 素粒子物理国際研究センター 助手)

1) モデル化の概要および成果
圧電トランスはピエゾ効果を利用したトランスであり、高い昇圧比と効率の良いエネルギー変換を利点とする。本年度は小型化と高電圧が同居するという実装面から相反する課題を解決し、耐放射線性と耐強磁場性を備えた、外部コンピュータとの通信機能を持つ小型マルチチャネルの安定化直流高圧電源の試作に成功した。しかしながら、モデル化の際に掲げた目標値の一部(出力電力(W)、出力ノイズ削減)を達成させる事が出来なかったため、その対応策について検討を行った。
なお、性能評価にあたっては、本試作品の実用品を必要としているCERN(欧州原子核研究機構)及びスイスPSI研究所に委託して行った。
2) 事後評価
1モデル化目標の達成度
試作を完成させ結果を出しているが、目標値の一部をクリアしなかった。
2知的財産権等の創出
知的財産権の創出は無い。但し、改良過程の中で新権利の創出が期待される。
3企業化開発の可能性
実験結果の評価、問題点の発見の手法をわきまえ、対策も練られていると考えられ、企業化の可能性は高い。
4新産業、新事業創出の期待度
耐放射線性・強磁場性の小型安定化直流高圧電源の完成は、社会に極めて貢献する新技術・新商品の開発である。この応用開発による製品化・実用化は期待できる。
5その他(国際評価への期待度)
試験期間中に企業が行った「スイスPSI研究所やCERN(欧州原子核研究機構)における本試作品の評価」という挑戦が結果として国際評価に繋がり、本研究成果に福音をもたらすことを期待する。
3) 評価のまとめ
 当初計画よりも実効体積を小さくした高精度な試作品は完成した。数値目標的には一部未達の項目があるが、これらの解決の道筋が得られていることから、それを着実に実行することにより完成度の高い新規な小型の直流高圧電源装置の製品化は可能である。また、応用開発品も含めて新事業化が期待されると共に、本研究成果が国際的に貢献する可能性が秘められている。

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This page updated on October 25, 2005
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