報告書 > 評価結果(2)研究開発課題の個別評価

研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 56 (H15−202)旅客手荷物の麻薬火薬等不正薬物検査装置の開発

企業名 :株式会社 サムウェイ
研究者(研究機関名) :糸崎 秀夫(独立行政法人 物質・材料研究機構 超伝導材料研究センター ディレクター)

1 ) モデル化の概要および成果
 テロ対策として、旅客手荷物検査が行われているが、麻薬火薬等不正薬物等の化学物質の特定をバックなどにいれたまま可能とする検査装置の試作開発を実施した。検査装置の原理は、核四極共鳴NQRを利用する。NQRは化学物質それぞれに固有の共鳴周波数を有していることから、化学物質の特定が可能となる。試作した旅客手荷物検査装置は、荷物搬送機構として全長2.5m、幅33.5cmのコンベヤーを有し、トンネル構造の磁気シールド内に荷物を通し、内部に設置したコイルアンテナよりNQR信号を受信する。電子回路は装置下部に配置し、信号はパソコンにより処理し、不正薬物を検知すると、警告ランプを点灯させる。擬似爆発物質としてヘキサメチレンテトラミン500gを使用し、試作したモデル装置の性能評価試験を行い、明瞭なNQR信号の検知に成功した。NQR検知は手荷物検査などへ有効であることを実証した。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 爆発物の検知が確認できるなど、モデル化目標に向けて着実に技術開発が進められた。今後の進展を期待する。
知的財産権等の発生
 検査装置に関する特許出願が期待できる。
企業化開発の可能性
 実使用現場での検証データの収集により、機能や問題点の解明を一層進めることで企業化の可能性がある。検知対象物質を扱う工場現場での検査装置としての検討も必要であろう。
新産業、新事業創出の期待度
 包装品中の特殊物の有無を検査できる装置として事業創出の期待は大きい。
3 ) 評価のまとめ
 技術開発が着実に進められ、実用化に向けての基礎データの蓄積や残された開発課題の整理・検討にも努力しており評価できる。今後、実用化に対しては、電波遮蔽材の開発や使用現場での検証などを通じて、引き続き製品化のための研究開発を期待したい。あわせて、実使用に向けた各関係機関による認定などの調査研究も必要と考えられる。

一覧に戻る 次へ

目次に戻る


This page updated on March 25, 2005
Copyright©2005 Japan Science and Technology Agency.
www-admin@tokyo.jst.go.jp