1 ) |
モデル化の概要および成果 |
本開発のコンセプトは、装具の後方に1枚の支柱を配置する(後方平板支柱)ことにより、従来のプラスチック装具と同等のコンパクトで外観に優れたものでありながら、プラスチック装具では成し得ない自由度制約機能(装具の最重要機能)、調整機能を達成可能にした。短下肢装置では、従来の装具では例を見ない新規性の高いものである。
本開発は、一般工業製品と比較し、装具と呼ばれる補助装置の持つ特異性に留意し経済性を考慮した製品開発を目指した。
装具としての成立要件は、製品の高機能・高強度・極小空間という相反する課題の同時達成の必要性、患者の個別性にいかに少数の製品で対応させるかというコスト面への配慮、さらに、治療過程の中でそれを促進する調整性・即応性への配慮などからなる。本研究では、これら成立要件を吟味した上で種々のトレードオフ問題を回避することを念頭に置き、ある程度の工業製品化までのモデル化を実施した。その結果所期の目標はほぼ達成され、個々の患者に対する調整に若干の日数は必要とするものの、かなりの患者に対応可能であることを確認した。
|
2 ) |
事後評価 |
 |
モデル化目標の達成度
即応性(即日)の点はともかく、目標とする関節初期角度や底屈方向に対する抵抗モーメント等の目標は達成され、かなりの患者数に対応可能となり得ることが確認された。 |
 |
知的財産権等の発生
現在まで発生なし、今後の取得の可能性あり。 |
 |
企業化開発の可能性
装具各部品のキット化の可能性は確認できたので、製品機能試験による検証や臨床試験での機能確認等を充分に行えば、製品化の可能性は高い。 |
 |
新産業、新事業創出の期待度
医療用補助装具として機能面の改善が図られており、コスト次第で既存分野への拡大が見込めるものと思われる。 |
|
3 ) |
評価のまとめ |
試作装具の臨床歩行の結果、患者から軽くて、内外反を制御しながら歩行できるので歩き易いとの感想・評価が得られ、実用化に向けての効用が確認された。足の形に合わせられる最適フォーミング材の選択、後方支柱に係る最終仕様の検討、実用デザインの検討等を鋭意推進し、企業化に向けた研究成果が得られることを期待する。 |