1 ) |
モデル化の概要および成果 |
高磁界で損失の小さいコアを実用化するために、ハイブリッドコアという新たな磁界発生手段を提案する。ハイブリッドコアとは、相反する特徴を持つ2つの磁性材料を結合し、一部を高飽和磁束密度の珪素鋼板で、他の部分を低飽和磁束密度ではあるが低損失な材料(鉄系アモルファス材、ナノ結晶合金など)を使用し接合してコアとするものである。
本モデル化開発により達成されたハイブリッドコアは、従来の珪素鋼板コアと比較すると総損失がほぼ1/3程度に低減され、消費電力や発熱の低減が可能となった。このハイブリッドコアを実用化することで、新しいFFAG(Fixed Field Alternating Gradient)誘導加速手法を用いた、(1)大出力電子ビーム(10 MeV - 10 kW )、(2)従来の 1/2 のコスト、70%のサイズ(重量:40%)、(3)メンテナンス・フリーの電子加速器を実現できる。この加速器の実用化により電子線、X線の医療・産業分野への応用拡大が期待できる。
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2 ) |
事後評価 |
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モデル化目標の達成度
消費電力、コア面積の低減の当初目標は達成したが、異種金属接合方法、コア切断方法に課題が残った。パッキングファクターについては、加速器に適用できる大型のコアでの検証が必要である。 |
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知的財産権等の発生
今後、知的財産権の申請を行う予定。 |
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企業化開発の可能性
企業化の可能性は加速器へ適用できるか否かで判断される。具体的計画はないが、ハイブリッドコアの早期製品化を期待したい。 |
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新産業、新事業創出の期待度
低コスト小型の加速器が実現すれば、工学・医学分野への応用の期待は大きいものと思われる。滅菌、殺菌、医療向けの小型・高出力加速器として新事業創出に期待が持てる。 |
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3 ) |
評価のまとめ |
消費電力の低減、コア面積縮小の当初目標は達成した。今後の課題として異種金属接合技術、コア切断技術がある。パッキングファクターについては、加速器に適用できる大型コアでの検証が必要と思われる。ハイブリッドコアを用いた低コスト小型の加速器が実現すれば、工学・医学分野への応用の期待は大きいものと思われ、新事業創出に期待が持てる。ハイブリッドコアを利用した早期製品化を期待したい。 |