本エンコーダ素子は、3枚格子の光学理論に基づく投影型エンコーダの検出素子で、高精度・高分解能エンコーダを容易かつ安価に実現する。
エンコーダは回転検出や位置検出に広く用いられており、その性能も千差万別であるが、中でも高精度エンコーダは計測器や基準器として用いられてきた。しかし産業機械の高精度化、検査精度の向上に伴い、高精度エンコーダを直接機械装置に組み込む需要が増加しており、エンコーダ組み付けの容易性・低価格化が大きな課題となってきた。これに対し従来技術の高精度エンコーダは、 部品点数が多く、複雑である 組立調整工数が多い 機械部品に高い加工精度が求められるなどの点から、価格面や取り扱いにおいて問題があった。
これらの問題解決を目指した本エンコーダ素子は、MEMS技術を用いてシリコンウェハ上に光学格子と受光素子を形成したもので、高い信号精度と組み付けの容易性を実現している。次にその素子を組み込んだ回転型のエンコーダを試作したところ、 回転検出分解能3,600,000分割(0.36 arc-sec※) 位置読取精度±2 arc-sec 応答周波数4MHzと十分な性能を得た。今後さらに分解能を7,200,000分割(0.18 arc-sec※)以上、精度に関しては±1 arc-sec以下、応答周波数は10MHz以上への改善を図っていく。
素子の実現によって、今後は産業機械・検査装置など従来市場への需要拡大のみならず、宇宙産業・医療器械など、新規市場への応用も視野にいれ、開発を進める。
※ arc-sec(秒角):角度の単位、1/3600度
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