出展者名

「死者AI」との向き合い方PJ

Research Project on our relationship with Dead AI

プログラム概要

A亡くなった人に関する情報・データから言動を動画などで再現する「死者AI」をテーマに、その是非や社会実装へ向けた課題について、皆さんと一緒に考えていきます。AI技術が私たちの「死」のあり方をどう変えうるのか、倫理的・法的・社会的側面から多角的に議論していきます。 ディベートを通じた対話により、一人ひとりが「死」に対する自身の考えを深め、多様な価値観に触れることを目指します。科学技術と人間社会の未来について、共に考えましょう。最先端の科学技術と社会の関わりに興味のある方、新たな時代の倫理や法に関する問題について考えてみたい方、多様な人々と対話をしてみたい方など、どなたでも歓迎します。

We will explore the theme of "Dead AI" – the recreation of the words and actions of deceased individuals through video and other data – and consider its pros and cons, as well as the challenges for its societal implementation, together with all of you. We will engage in a multi-faceted discussion from ethical, legal, and social perspectives on how AI technology could change the nature of our death. Through dialogue in a debate format, we aim for each participant to deepen their own thoughts on death and to be exposed to diverse values. Let's contemplate the future of science and technology and human society together. We welcome anyone, including those interested in the relationship between cutting-edge science and technology and society, those who want to consider ethical and legal issues of a new era.

登壇者プロフィール

丸山 雅貴 MARUYAMA Masaki

日本国際学園大学 経営情報学部 助教
農研機構 農業情報研究センターなどを経て、2023年10月より、筑波学院大学(2024年4月 日本国際学園大学へ大学名称を変更)経営情報学部 助教。教育の現場や農業・食品産業分野におけるAI関連技術の応用に関する研究開発や社会実装に取り組む。本セッションのファシリテータを担当。

タイムテーブル

ファシリテータ 丸山 雅貴(日本国際学園大学 経営情報学部 助教)

導入・アイスブレイク
情報提供「死者AIをめぐる倫理的・法的・社会的課題」
討論の方法に関する説明
討論(立論・質疑・反駁)
来場いただいた皆さんが本セッションの主役です!
質疑応答・まとめ

✏️出展レポート

話し合った未来像

「死者AI」をテーマに、先端科学技術の是非を問うだけでなく、人間社会がこの技術とどのように向き合い、どのような形でなら受け入れられるかという「社会的受容のあり方」を探ることを目的とした議論を行いました。
当日は、肯定側と否定側の立場に分かれていただき、来場者の皆さんが互いに討論する形式で議論を進めました。
その上で、「死者AI」の技術と倫理的に共生する未来は可能なのか、もし可能だとしたらどのような条件が必要か、という点について、1時間という限られた時間の中ではありましたが、効果的に熟議を深めることができました。

意見・論点

中心的な討論テーマとして、故人が生前に同意していない状況において、対話ができる人格を再現・生成することの是非を設定しました。 出展者からは、「死者AI」にまつわる故人の尊厳と同意、法的・制度的な空白といった倫理的・法的・社会的課題について情報を提供し、必要最低限の知識は共有した上で対話・討論を深化させるよう工夫しました。
こうした進め方に対し、来場者の皆さんからは、技術の二面性やメリット・課題の双方を理解できた、初めて知ることができ興味深かったといった旨の意見が寄せられました。
さらに、討論の形式についても、立場を明確に割り切って意見を出すことができたとの感想があり、有効な手法によるワークショップが実践できたと考えています。

キーワード

ワークショップのテーマ設定、情報提供、および来場者による討論の中では、下記のキーワードを中心に検討を重ねました。

  • 生成AIの特性
  • 倫理的共生
  • 社会的受容
  • グリーフケア
  • 故人の尊厳
  • 遺族の感情
  • 同意
  • 偽りの記憶
  • 著名人の権利 等

来場者との対話から得られたこと・今後に生かせること

・来場者との対話から得られたこと
賛否が揺れ動く複雑な倫理的課題に対し、意図的に肯定もしくは否定の立場を割り当てる討論形式を採用したことで、来場者が議論に参加するためのスキャフォールディングとして機能し、議論を活発化させることができました。
出展者の想定を超える多様な意見が交わされ、先端科学技術のあり方に関する社会的熟議を深める場を構築できたことは、私たちにとっても大きな発見となりました。
・今後に生かせること
先端科学技術の倫理的・法的・社会的課題について市民が熟議を行う環境をデザインする上で、来場者が主体的に議論できる討論の形式を取り入れる手法の有効性が示唆されました。
ワークショップでは、小学生から大人まで、多様な背景を持つ参加者が、他者の意見を聞き、対話を通じて自らの考えをまとめ、柔軟に思考する場を提供できました。
こうした経験に基づき、ワークショップの設計を、先端科学技術の社会的受容性を探る対話のユースケースとして活用できると考えています。
そこで、今回の設計から得られた知見を、Designシンポジウム2025等で紹介し、手法の普及にも努めていく予定です。