出展者名

産業技術総合研究所臨海副都心センター

Tokyo Waterfront, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology

プログラム概要

AIや情報セキュリティの研究って、実際どんなことをしているの? そんな疑問に、国立研究開発法人・産業技術総合研究所(産総研)の若手研究者が、研究の最前線や日々の生活、研究者になるまでの道のりを等身大で語ります。
観客との対話も交えながら、研究の楽しさやリアルを一緒に体感できるイベントです。研究に興味がある方も、ちょっと気になる方も、ぜひご参加ください!

What does AI and information security research actually involve?
Young researchers from the National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST), will answer these questions by sharing their experiences at the forefront of research, their daily lives, and their path to becoming a researcher.
This event will involve dialogue with the audience, allowing you to experience the fun and reality of research together. Whether you're interested in research or just curious, be sure to join us!

登壇者プロフィール

椿 真史

国立研究開発法人 産業技術総合研究所 人工知能研究センター 主任研究員
東北大学工学部卒。奈良先端科学技術大学院大学博士課程修了。2017年より産業技術総合研究所に入所し現在に至る。専門は機械学習・人工知能技術の物理・化学・生命科学データへの応用研究。山下記念賞、人工知能学会論文賞、NeurIPS workshop best paper賞など受賞多数。

林 リウヤ

産業技術総合研究所 情報・人間工学領域 サイバーフィジカルセキュリティ研究部門 研究員
2024年に東京大学大学院 情報理工学系研究科 博士課程を修了。大学院在学中に暗号理論と出会い、その魅力に取り憑かれて研究の道へ。現在は、量子コンピュータでも解くことが難しいとされる格子問題を基盤に、次世代の暗号技術の構築に向けた研究に取り組んでいる。

林 俊吾

産業技術総合研究所 情報・人間工学領域 サイバーフィジカルセキュリティ研究部門 研究員
2025年 横浜国立大学大学院 環境情報学府 情報環境先行 博士課程を修了。大学在学中にハードウェアのセキュリティに興味を持ち、研究者の道へ進む。現在は情報システムの信頼の基盤であるハードウェアの実現に向け、フォールト攻撃の評価技術と対策技術の研究に取り組む。

タイムテーブル

司会 森 理紗子
(産業技術総合研究所臨海副都心センター産学官連携推進室)

産総研研究者と話そう! ~研究者への道筋と見ている世界~
第1部

AI関連の若手研究者によるトークショー
椿 真史(人工知能研究センター機械学習研究チーム/主任研究員)
質疑応答

第2部

情報セキュリティの若手研究者2名によるトークショー
林 リウヤ(サイバーフィジカルセキュリティ研究部門セキュアプラットフォーム研究グループ/研究員)
林 俊吾 (サイバーフィジカルセキュリティ研究部門ハードウェアセキュリティ研究グループ/ 研究員)
質疑応答

✏️出展レポート

話し合った未来像

本セッションでは、AIや情報セキュリティ分野の若手研究者が、科学技術の進展がもたらす未来像について語りました。AI研究者の椿からは、今や研究者自身も驚くほどの進化を遂げており、膨大な知識やデータ、計算力、プログラミング技術が結集することで、かつてSFで描かれた世界が現実になりつつあることや、AIは分子設計や新薬開発など、科学の新たな発見を加速させる存在となり、今後は論文や知識も統合的に学習するAIが登場することで、科学者の知見をさらに拡張していく未来が期待されるという考えを述べ、それに関する議論も行いました。また、サイバーフィジカルセキュリティ分野の林リウヤ、林俊吾は、量子コンピュータ時代にも対応できる安全な社会の実現が目指されており、技術と社会の両面から、未来に向けて安全に情報技術を活用し、社会の未来を切り拓くためのセキュリティ研究の重要性を強調して紹介しました。

意見・論点

AI研究者の椿からは、「AIは分子や文章など多様なデータを同じ“言葉”として扱い、科学の発展に寄与できる」「研究者のキャリアは偶然の積み重ねであり、好きなことを続けることが大切」といった考えを述べました。セキュリティ分野の林リウヤ、俊吾からは、「理論的に安全な技術も、実装段階での脆弱性が社会的リスクとなる」「量子計算機時代に向けた暗号技術の実現可能性と効率性向上が喫緊の課題」といった論点が議論されました。また、研究のモチベーションや日々の過ごし方についても触れられ、「未解決問題に挑む楽しさ」「他者との議論やコミュニケーションの重要性」「健康管理や生活リズムの工夫」など、研究者としての姿勢や価値観が共有されました。さらに、すべての研究者から、研究者になった経緯やきっかけなども語られ、キャリアモデルの提示もできたと考えます。

キーワード

AI(人工知能)、サイバーフィジカルセキュリティ、言葉(人は言葉を使ってすべてを表現した。AIは言葉を分析する)、AIと人の違い、量子コンピュータ、暗号技術、研究者のキャリアとモティベーション、研究で大事なことー素人発想・玄人実行 、健康管理 、コミュニケーション

来場者との対話から得られたこと・今後に生かせること

来場者からは「言語と科学の関係」「AIが実現した技術的要因」「消費者やシステム利用者が気をつけるべきこと」など、研究の根本や社会実装に関する質問が寄せられました。研究者は、AIは多様な知識を統合的に扱う点が人間と異なり、直感や経験に頼りすぎないことが強みであると説明。また、セキュリティ分野では、理論だけでなく実装段階での安全性評価や、消費者が安全な製品を選ぶ重要性が強調されました。こうした質疑を通じて、専門家と一般来場者の間で知識や視点のギャップを埋める対話の大切さ、研究成果の社会還元やリスクコミュニケーションの必要性が再認識され、今後の研究やアウトリーチ活動に生かせる示唆が得られました。どちらの話題にも、会の終了後しばらく参加者と話し込む姿が見られ、意義深い会だったと思います。