出展者名

JSTムーンショット目標2/日本科学未来館

JST Moonshot R&D Program, Moonshot Goal 2 / Miraikan

プログラム概要

ムーンショット目標2の研究開発では、「2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会」を目指しています。研究開始から5年目を迎え、未来の医療の姿が少しずつ見えてきました。大阪・関西万博でも一部の成果を展示します。未来の健康診断の姿を目に見えるかたちで作成していますので、科学コミュニケーターや研究者と一緒に、未来の医療の姿を考えてみませんか。2050年に社会の中心で活躍する中高生、大学生の皆さんのご参加も大歓迎です。

The research and development program, Moonshot Goal 2, aims to realize ultra-early disease prediction and intervention by 2050. Five years after starting the program, the vision is gradually shaped, and some of our achievements was showcased at EXPO 2025. How about joining us in exploring and drawing the future health checkups together with researchers and Science Communicators? We warmly welcome the participation of high school and university students who will play an important role in society in 2050.

登壇者プロフィール

内田 亮子 UCHIDA Ryoko

東京大学大学院医学系研究科・先進循環器病学・特任研究員
ムーンショット目標2 研究参加者(片桐PJ)
東京大学大学院医学系研究科において、片桐PJ課題推進者:藤生克仁先生の下、2021年より目標2がめざす「疾患の超早期予測・予防」の研究に参加。特殊な画像・動画解析技術とAIを組み合わせた解析を通じて、日常生活の中で生活習慣病を超早期に検知する研究に取り組んでいる。

神里 彩子 KAMISATO Ayako

国立成育医療研究センター・医事法制研究部・部長
ムーンショット目標2 課題推進者(合原PJ)
専門分野は、生命倫理政策、研究倫理。目標2がめざす超早期の疾患予測・予防に対し、これまで想定されていなかったELSI(倫理的、法的、社会的課題)の抽出、解決について研究している。ムーンショットに参加する他のELSI研究者と協力し、目標2をプロジェクト横断的に支えている。

瀬海 美穂 SEKAI Miho

京都大学大学院医学系研究科・分子腫瘍学・助教
ムーンショット目標2 研究参加者(大野PJ)
京都大学大学院にて免疫学を学び、博士号を取得。現在は、分子腫瘍学(PI:藤田恭之教授)において、がんを早期に診断し治療することを目指し、がんの成り立ちについて研究している。

加藤 昂英 KATO Takahide

日本科学未来館 科学コミュニケーター
来館者との対話活動やアクティビティの企画・運営を行っています。多くの人が「ここでは未来のことを語り合えるんだ!」と思える、そんな居場所づくりを模索中です。
未来に向けてより良い医療をつくるためには、みなさんからの率直な意見が欠かせません。ぜひ私たちと一緒により良い医療のあり方を考えてみませんか?

タイムテーブル

オープニング(5分)
目標2 研究や取り組みの紹介(5分×3)
みんなでつくろう! 「2050年の医療」のルール(50分)
ふりかえり(15分)
クロージング(5分)

本セッションは、抽選で12名様にご参加いただけます。
10月5日(日)24時までにお申し込みいただいた方で、抽選を行います。
当落のご連絡は、10月14日(火)までにメールでお知らせいたします。

✏️出展レポート

話し合った未来像

ムーンショット目標2が目指す、超早期に疾患の予測・予防ができる社会を想像し、多くの人にとってより良い医療の未来像を話し合った。参加者の皆さんの率直な意見を踏まえて、今後の研究開発や政策に反映させていきたいと考えている。

●すい臓がんを超早期に予測・予防できる未来社会。これまでの方法では超早期がんは小さいため見つけることができなかったが、超早期がんに特異的なバイオマーカーを発見したことで、超早期がん病変の診断が可能に。

●身体に触れないで高血圧・糖尿病を同時に見つけるシステムが街中に溶け込んだ未来社会。大阪・関西万博で実際に展示した、気軽に健康を確認できる未来の健康診断体験を「デバイスX」と称し、実際にサイエンスアゴラの会場でも来場者に体験いただいた。

意見・論点

●テーブルゲームの実施を通して、「デバイスX」を実際に社会で使うルールをみんなで考えた。未来の医療のために考えておきたい観点(自分のカラダのデータを毎日知りたいか、何について知りたいか、医療以外の目的でも使用されて良いか・・・等)の話題提供を踏まえて、より多くの人が納得できるルールはどのようなものか、具体的な未来像を話し合った。

●議論の一例として、ショッピングの帰りなど街中での使用を想定した「デバイスX」の議論では、以下の意見にまとめられた。
①ルールの対象となる人は、【使うときにデバイスXが何か分かっている人・健康状態を測りたい人】。
②デバイスXで知らされてよい情報は【本人に対して命に関わらない情報(体温、血圧等)。また、知りたい情報を自分で選択できるとよい】。
③その情報にアクセスしてよいのは【本人自身であり、測定時に同意をとる必要がある。子どもや高齢者の場合は、目的をはっきりさせたうえでOKな場合もある】。
④加えて【プライバシーについての細かなルールを設定すること、また他社が後ろから回り込んで結果が見られないような工夫をすること、測定時にどれくらい動いて良いかなどのルールを設定すること】が必要である。

●また、シチュエーションによらず複数グループから挙がった論点は以下の通り。

  • 測定のためのインセンティブをどうするか?
  • どのような情報を測定・表示するのがいいか?(シビアな情報を示されるのは好ましくなさそう)
  • 取得する/知りたい情報を選択できるようにする。異常値の時には知りたくない情報でも知らせたほうがいいのか?
  • 同意を得る必要あり=こっそり取られるのはNG

キーワード

超早期予防、発症する前に防ぐ、非接触で健康診断、ルールインセンティブ、選択肢、知る権利・知らない権利、同意

来場者との対話から得られたこと・今後に生かせること

ルールをつくる過程で来場者の皆さまが、どのようなルールであれば許容できるか、何について注意していきたいかなど、来場者の皆さまが自分事として深く考え課題をあげてくださったので、今後の社会実装を検討するにあたり非常に参考になった。シチュエーションによっても考えるポイントが違うことが明らかになったので、どこに設置するとより目指す未来社会に近づけることができるか等、具体的な点を今後検討するための大きなヒントを得ることができた。