手作り装置で砂糖アメの溶けるシュリーレン現象を見るSchlieren phenomena for Melting Sugar Candy observed by Homemade Apparatus
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テレコムセンタービル 4階 オープンスペースD
出展者名
夏目雄平
Yuhei Natsume
プログラム概要
食塩、ミョウバンなどが水に溶けて落ちていく際に現れるシュリーレン現象は多くの教科書(小5)にも載っているが、その美しさ、意義を伝えるのは大変で、学校にはそのゆとりがないのが実情であろう。ここでは、手作りのスクリーンに、LEDライトで、砂糖アメが溶けていく過程の像を大きく映してじっくりと観察してみる。単に「きれい」という感動だけでなく「ものが水に溶けるとは何か?」という科学の本質にも迫る体験が出来る。特にこのテーマは物理と化学領域であって、科目わけにとらわれない観点も育まれると考えている。
✏️出展レポート
話し合った未来像
サイエンスにおいて「基礎の理解よりも、巧みな『操作方法』が重視される」傾向が目立っています。申し上げるまでもなく基礎をきちんと体得してこその応用であり、それが豊かな応用展開に繋がっていきます。じっくりと基礎的現象を観察して考えることが今こそ大切です。特に高校生以下の段階で「AIとの対処法」に偏って教えることは科学・工学の全体像を描き間違えるおそれがあります。「手段としてすばらしいこと」が、「目的として掲げるべきことかどうか」は考えるべきです。その意味で、「シュリーレン現象」という小学校5年生で扱われている実験テーマをわかりやすく再構成した本イベント(D2513)は大きな意義があったと考えています。
意見・論点
現象自体は小学校5年生の教科書にも載っていますが、実際に実験して観察してみると奥が深い。固体が液体に変わる現象であって、現代のソフトマター研究にも通じるものがあります。学校での理科教育がどうしても固体とか気体という扱いやすいものが中心になっているなかで、液体(溶液、溶解)に関する実験の演示は重要です。
キーワード
しっかり観察すると、いろんな疑問が新たに湧いてきます。像として見ている縞模様は何だろう? 縞の間隔はどの程度であってそれは何を意味しているのだろう? ものは砂糖アメは水の底に落とすとあまり溶けないのにぶら下げておくとどんどん速く溶けるのはなぜだろう? 砂糖アメに比べて、岩塩の方がどんどん溶けていくように見えるのはなぜだろう? 奥の深いテーマです。
来場者との対話から得られたこと・今後に生かせること
やはり、参加者各自が1時間程度の実験をするイベントは盛り上がります。ステージに人気のある方々を集めて、参加者が「観客として見るだけ」のイベントは(それなりの価値はありますが)サイエンスアゴラ(市場、交易、ひとだまり)本来の姿からは離れてしまうおそれがあります。このD2513のような満席の参加者がある程度の時間を使って、各自で実験を組み立てて実行する形式がサイエンスアゴラの中核になるべきではないか、と考えています。