誰のための科学?―SFで描く誰も取り残さない未来Who Is Science For? – Exploring Gendered Innovations through SF
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テレコムセンタービル 4階 オープンスペースC
出展者名
Blend
プログラム概要
ロボット、AI、自動運転に最先端の医療。ワクワクする科学技術はたくさんあるけれど、それって「どんな人を前提に」作られてるんだろう?もしかしたら、男性ばかり?大人だけ?車いすの人は使える?
このワークショップでは、科学技術に多様な立場の人の視点を取り入れる「ジェンダード・イノベーション」と、物語を通じて未来を試作する「SFプロトタイピング」を組み合わせて、自由に未来の世界を描きます。「いろんな人が使える技術ってどんなもの?」を、想像し、考え、語り合ってみませんか?
Robots, AI, autonomous vehicles, and cutting-edge medical technologies—science and technology are advancing rapidly in exciting ways. But who are these innovations really designed for? Just men? Only adults? Can people who use wheelchairs access them?
In this workshop, we’ll explore the future by combining gendered innovation—which brings diverse perspectives into science and technology—with science fiction prototyping, a method that uses storytelling to envision possible futures.
Together, let’s imagine, reflect on, and discuss what kinds of technologies could truly be inclusive and accessible to everyone.
登壇者プロフィール
江連 千佳
2000年東京生まれ。2021年、ショーツをはかないリラックスウェア、”おかえり”ショーツの販売会社として株式会社Essayを起業、代表取締役に就任。2024年”おかえり”ショーツ事業をソーシャルM&A®︎し、株式会社Essayを非営利株式会社ピロウに変更。科学・技術の社会実装におけるジェンダーギャップの解消に取り組む。また、起業の経験を踏まえ、フェムテックの社会的影響についてアカデミックにも探究し、研究は学会発表で受賞するなど評価を受けている。
瀧井 久美香
京都大学 薬学部 B4
専門の薬学の他にジェンダー/セクシュアリティ学にも強い関心を持ち、留学先のオランダではクィアアート展の企画運営に携わっていたほどアート好き。LGBT+運動など色々な取り組みを経て、現在はジェンダード・イノベーション推進活動に力を注いでいる。代謝の性差に関する研究を行っている。
本田 杏子
東京大学先端科学技術研究センター熊谷研究室。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科修士課程修了/社会デザイン学。対話をテーマとしたダイアログ・イン・ザ・ダークの運営に従事した後、大学院に進学。大学院在籍中にSHIBUYA QWSでコミュニケーターとして伴走支援に携わり、2022年より現職。
タイムテーブル
✏️出展レポート
話し合った未来像
私たちは、「科学技術は誰のもの?SFで描く誰も取り残さない社会」をテーマに、対話型のワークショップを行いました。はじめに、参加者ひとりひとりが、日常的に抱えている困りごとを出し合いました。次に、その問題を解決するために、未来においてどのような製品が生まれうるかを想像し、思い思いに製品を創造しました。さらに、その想像のなかで生まれた製品から、交差性の視点を頼りに、思いがけずにその製品を使用できる人を限定し、誰かが排除されてしまう可能性がないかディスカッションを行いました。
意見・論点
未来を考えることは一見、自由で創造的な営みのように見えます。しかし、実際には私たちの想像は過去の経験や社会的文脈に強く影響され、バイアスや既存の枠組みの中で行われていることに気づきました。だからこそ、自分の思考を縛る構造そのものに意識を向け、内省することが重要で、その「不自由さ」を自覚した上で想像される未来こそ、見かけの自由よりもずっと自由な未来なのかもしれません。
キーワード
交差性分析、ジェンダード・イノベーション、SFプロトタイピング、デザイン、バイアス、倫理
来場者との対話から得られたこと・今後に生かせること
ワークの対象者を中高生以上に設定はしていたが、広くご家族で参加できるワーク設定にするなど、ワーク自体のアクセシビリティについて見直したい。 またSFという自由な発想の枠組みを提供できたのは良かったが、現実に戻って考えると、まだまだジェンダード・イノベーションを実践するための環境が整っていないという意見もあった。問題意識をどこに向けていくかについても今後検討したい。