どう守る?くらしとインフラ ~土木の力で解決~How Infrastructure Saves Lives? -The Power of Civil Engineering -
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テレコムセンタービル 3階 オープンスペースB
出展者名
土木研究所
Public Works Research Institute
プログラム概要
近年、地震や豪雨といった自然災害、土砂崩れや道路陥没などの事故災害のニュースが増えています。こうした災害や事故から私たちを守る技術や研究はどこまで進んでいるのでしょうか。
私たちの暮らしと自然の間には道路、堤防、水道、下水道、送電線、通信施設などの様々な施設があります。これらはインフラと呼ばれ、インフラを支える技術が土木技術です。土木技術に関する世界最大規模の研究機関「土木研究所」。最先端の研究やその成果で、私たちの暮らしはどう変わるのか。いろいろな技術を私たちはどう使っていけばいいのか。様々な技術に触れてこれから起こる災害を正しく恐れ、正しく備えてください。
In recent years, there has been an increase in news of natural disasters such as earthquakes and heavy rainfall, as well as accidents like landslides and road collapses. To what extent have technology and research advanced to protect us from such disasters?
Between our daily lives and natural, there are various facilities such as roads, levees, water supply systems, sewage systems, power lines, and communication facilities. The technologies that support this infrastructure are known as civil engineering. The Public Works Research Institute is one of the world’s largest research institutions dedicated to civil engineering. How will its cutting-edge research and findings change our lives? How can we make the best use of these technologies?
By learning about these innovations, we can understand the risks of future disasters and prepare wisely. We warmly invite you to join us!
登壇者プロフィール
藤田 光一 FUJITA Koichi
土木研究所 理事長 博士(工学)
1983年東京工業大学大学院土木工学専攻修了。建設省土木研究所と国土交通省国土技術政策総合研究所で、河川整備における治水・環境保全技術の体系化、気候変動適応を包含した治水技術フレームづくりに取り組む。建設省三重工事事務所長を務め、研究開発と現場実践の橋渡しに注力。国総研所長などを経て2022年より現職。著書に現代河川工学。
宮武 裕昭 MIYATAKE Hiroaki
土木研究所 地質・地盤研究グループ長
1991年東京大学土木工学科卒、同年建設省入省.土木研究所、内閣府防災担当,国交省沼津河川国道事務所長等。
土木研究所では主に土を使った構造物のマネジメント、土・地盤に関連する災害への技術指導に従事し、2020年より現職.最近では八潮市下水道陥没事故の原因究明委員会委員など
橋本 毅 HASHIMOTO Takeshi
土木研究所 技術推進本部 上席研究員(特命事項担当) 博士(工学) 技術士(機械部門)
1995年埼玉大学大学院機械工学専攻修了.日立造船(株)建機設計部主任、アボットジャパン(株)総合研究所研究員、ボーマクジャパン(株)技術課長、(国研)土木研究所主任研究員などを経て、2022年より現職。主に建設ロボット、情報化施工、無人化施工の研究に従事。
田中 孝幸 TANAKA Takayuki
土木研究所 流域水環境研究グループ 流域生態チーム 上席研究員
国土交通省に入省後、近畿地方整備局 河川計画課長、水管理・国土保全局 河川環境課 課長補佐などを歴任し、2024年より現職。
タイムテーブル
✏️出展レポート
話し合った未来像
土木技術は、地球と人の間に立ち、自然の力から命や暮らしを守り、またその恵みを活かすための“インターフェース”です。
土木研究所は、こうした土木技術を専門に研究する日本最大級の機関として、自然災害に強い社会の実現を目指しています。
セッションでは、「暮らしの安全と安心について、正しく知り、正しく恐れ、正しく備えましょう」を共通のメッセージとし、
最先端の土木技術を通じて、人と自然が共に生きる未来像を共有しました。
意見・論点
セッションでは、土木研究所の多様な研究分野から4つのテーマ(洪水・地震・建設機械・水環境)を取り上げ、災害に強く、人と自然が共に生きる社会の実現に向けた課題と展望を議論しました。
(1)洪水編では、気候変動による豪雨の激甚化を背景に、洪水リスクを「ジブンゴト」として捉える重要性を示しました。マインクラフトを活用した仮想洪水体験コーナーを設け、参加者がリアルな街並みで避難行動を体感できる取組を紹介しました。
(2)地震編では、能登半島地震を事例に、盛土強化や道路復旧技術の研究成果を紹介し、現場と研究の連携による被害抑止の重要性を示しました。
(3)建設機械編では、災害復旧における遠隔操作・自動運転技術の活用と、安全性向上・働き方改革への効果を紹介しました。仮想空間での建設機械操縦体験も実施しました。
(4)水環境編では、生物多様性の保全をテーマに、「多自然川づくり」や「ネイチャーポジティブ」の理念に基づく河川管理の方向性を議論し、環境DNAやリモートセンシングを用いた先端的な評価技術を紹介しました。
キーワード
<防災・減災>
能登半島地震/洪水/盛土強化/レジリエンス/正しく知り・正しく恐れ・正しく備える/ジブンゴト化
<技術と現場の融合>
建設機械/遠隔操作/自動運転/OPERA(オープンプラットフォーム)/AI・センサー技術/現場と研究の連携
<自然との共生>
水環境/多自然川づくり/ネイチャーポジティブ/環境DNA/生物多様性保全/リモートセンシング
<人と社会>
暮らしを守るインフラ/働き方改革/協働と共助/安全・安心な未来社会
<土木研究所の使命>
地球と人をつなぐ“インターフェース”/災害に強い社会の実現/現場に寄り添う研究
来場者との対話から得られたこと・今後に生かせること
来場した小学生からは、「洪水の避難訓練を体験して、洪水は怖いもので、すごく早く氾濫してしまうことが分かった」といった感想が寄せられました。
マインクラフトを活用した仮想洪水体験を通じ、災害の早さや恐ろしさを“ジブンゴト”として実感してもらえたことは大きな成果でした。
また、「無事に避難できました」「時間ができたら土研に入りたいです(笑)」といった声もあり、子どもたちが楽しみながら土木の仕事に興味を持つきっかけとなりました。
今後も体験型展示を通じて、防災意識の醸成や土木技術への理解促進を図っていきたいと考えています。
今回、初めてサイエンスアゴラに参加し、他のブースやセッションも見学する中で、研究内容を多世代にわかりやすく伝える工夫や、興味を引く展示・発信の方法など、多くの学びを得ることができました。今後の広報活動やイベント出展の参考にしていきたいと思います。